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 牙を研いでいる。

 ずらりと並ぶは、僕の背丈ほどの牙。
 象牙だったり、毒牙だったり。

 一本一本、丁寧に磨き、先端を尖らせる。

 その一瞬のために。

 ほらやってきた。

 忌まわしき敵が。

 僕は手を虚空にかざす。
 その動きに合わせ、全ての牙が宙に浮く。
 奴に照準を合わせる。

 さあ、今だ。

 牙を剥け。

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