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喪服

 喪服の行列が歩いている。
 葬儀場へ向かっているようだ。

 自動ドアが開き、その行列は吸い込まれていく。

 僕は喪服を着ないで、そこら辺を歩いている。

 泣く男女。
 財産争いをする複数人。
 疲れ果てたあの人。

 人が死ぬというのは大変なことだ。

 それでも、僕はこれでよかったと思うんだ。

 ただ、一つ思うことがあるとすれば、
 僕の大切なあの人のこと。

 僕はその人の前に立つ。

 あれだけ輝いていた瞳が今は光を灯さない
 ごめんなさい、と言っても届かない。

 それでも、僕はこれでよかったと言うよ。

 ごめんね。

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