皿
皿の上には何もない。
正しくは、見えない。
手に取ると、指に痛みが走る。
血が出た。
血はそれの輪郭を明瞭にする。
――ああ、これは僕が割ってきた皿たちだ。
暗い衝動で砕いた皿たち。
今更になって復讐に来たのかい?
なんだかおかしくなって、僕はそれを口に入れる。
硬いそれを噛み砕く。
口から血が流れる。
喉が焼けるように痛い。
それでも、僕は笑いだす。
暗い衝動に嘘はなかったと、証明してやるんだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?