黄帝内経・素問 上古天真論篇

前漢時代に編纂された中国の医学書・黄帝内経。
この時代から、日常の過ごし方の大切さを訴えて、それが健康寿命に繋がることを説いています。
少しずつ、紹介していきますね。

【その一】
養生の道の重要性を説明しています。
「上古」人類の生活のごく初期の段階の頃
「天真」先天的に与えられた精気、生命力
つまり人の生、成長、衰、死の変化から、長命であるか若死にであるかに至るまで、すべては「天真」の盛衰にかかっている。

 養生をわきまえ、陰陽の変化の道理にしたがって生活をととのえ、養生法に則って身体を鍛錬する。このことこそ、人々が自然な寿命を享受して百歳までも生きられる道。
 それに反して、不養生をしてれば、五十歳前後で老い衰えてしまう。

①飲食に過不足がないようにすること
⇒好きなものだけの食べ過ぎ厳禁
⇒食欲のない時は、まず好きで食べたいと思う物から食べると食欲がわく

②心身の過労を戒める
⇒労働と休息のバランス
⇒ストレスを溜め込まない
⇒怒り過ぎてイライラするとのぼせる(不眠、頭痛に)

③酒を水のように飲み、酔ってのセックスは厳禁
⇒酒を飲むと身体が温まり活動的になるが、酔いが醒めると体内の陽気(活動力)が余分にとられて冷える
つまり、色欲のおもむくままにして、精気を使い果し、生命力を消耗させます。



【そのニ】
人をとりまく病を引き起こす内因と外因についての教え
①外因
 虚邪戝風に注意して回避する(体が弱ったときに入ってくる邪気)

②内因
心がけが重要:貪欲であったり、妄想は厳禁
 (怒り、恐れ、愚痴、地位の高低の羨みなど)
⇒我々は心はきわめて穏やかで欲望が少なければ、心境は安定していて、恐れることはなく、肉体を働かせても過度に疲労することはない
⇒食べたものを美味しく思い、着たものを着心地よく思い、素朴で誠実であるべき

気持ちの持ち方、精神がうまく調和してれば病は生じない、病は気から



【その三】
養生法に注意すれば、寿命を延ばすことができるばかりか、子を産むことができる年齢も引き延ばすことができると。
2000年前の人の一生の観察と描写、参考にする価値はある。
①永久歯が生え、髪がのびる年⇒女:七才、男:八才
②男子は生殖能力がそなわり、女子は月経がはじまる⇒女:十四才、男:十六才
③智歯が生える⇒女:二十一才、男:二十四才
④最も充実した身体になる⇒女:二十八才、男:三十二才
⑤顔にしわが生じ、抜け毛が始まる⇒女:三十五才、男:四十才
⑥白髪ができだす⇒女:四十ニ才、男:四十八才
⑦女は四十九才で閉経、男は五十六才で肉体疲労顕著
⑧男は六十四才で歯も髪も抜けてしまう


【その四】
春夏秋冬の自然の状態に調和した生活をするのがよい
①春夏は気温が高く陽気も多くあります⇒それに合わせて人間も活動的なのがいい
②秋冬は陽気の少なく時期⇒静かにしているのがいい、活動して発汗すると風邪になりやすい

自然に調和して生きることが養生法の基本、これをよく守ると、真人、至人、聖人、賢人と言われる人間になり、不老不死も夢ではないという。

真人:陰陽の変化の規律を掌握し、精気を呼吸し、独り他の人と異なってた

至人:高遠で深い道徳性を具え、陰陽変化に調和し、四季の気候の変化に適応し、身体を保養して、世俗の正しくない生活から離れていた

聖人:天地の間の調和した気に安んじて住み、好みは世俗の習慣に適用させ、悩み怒り恨みといった感情の変化がなかった。全てやすらかで楽観的であるのを務めとした

賢人:天地、日月、星辰などの自然の法則をよりどころとして、四季を分別して身体を調え養った


*上古天真論篇は養生の積極的な意義を説いている
⒈単に疾病を予防できるばかりでなく、寿命を延ばすためにも有効な方法であると
⒉精神の修養、飲食と生活の調節、環境と気候への適応、肉体の鍛錬などといった具体的な養生方法を示している
⒊人の生、長、衰、老の過程から、子を産むという働きに至るまで、主要な鍵はすべて腎気の盛衰にあることを説明している。
⒋最後に四種の養生家のそれぞれの養生方法とその結果を示し、人々が養生に注意して、病にかからないようにし、寿命を延ばすように啓発している。

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