【F1 アゼルバイジャンGP】決勝レビュー
6/6 (日) に行われたアゼルバイジャンGP。バクー市街地で行われるこのGPはタイヤバーストやマシンの接触といったハプニングが多いことで有名です。そして今年も例によって波乱のドラマが待っていました...
(見出し画像: Honda Newsroom)
■ 序盤は落ち着いたレース展開に
決勝レースは6/6 (日) 現地時間16時からスタート。前日の予選でポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール (フェラーリ) を先頭に各車がグリッドにつき、レーススタート。1コーナーの最初の飛び込みでは大きな接触もなく、各マシンが順調に周回をこなしていきました。
6位スタートのセルジオ・ぺレス (レッドブル) は、1ラップ目で前の2台をオーバーテイク。一気に3位マックス・フェルスタッペン (レッドブル) の後ろに並びます。
アルファタウリの角田裕毅もクリーンスタートを決めたものの、フェルナンド・アロンソ (アルピーヌ) にパスされ、1つ順位を落として8位。
また、11位スタートのセバスチャン・ベッテル (アストンマーティン) も順位を二つあげ、9位にアップしました。
■ 予選で速かったフェラーリ、レースでは苦しむ
一方、予選で速さを見せつけたルクレールは、レースペースに苦しみます。
スタート時の1コーナーでは首位を守ったものの、3周目にはホームストレート上でルイス・ハミルトン (メルセデス) に抜かれてしまいました。その後も、レースペースに優れるレッドブル2台に立て続けにパスされ、4位まで後退しました。
その間、後方ではエステバン・オコン (アルピーヌ) がエンジントラブルによってリタイア。これがこのレース初めてのリタイアとなりました。
■ 各車ワンストップ戦略、ピットが動き出す
ほとんどのマシンがソフトタイヤでのスタートとなったこのレース。8周目ごろから、各車がタイヤ交換のためにピットインし始めます。
9周目時点で上位3台は、ハミルトン、フェルスタッペン、ぺレス。このなかで一番最初に動いたのはハミルトンでした。12周目にピットインし、ハードタイヤに交換。しかしこのとき、タイヤ交換に4.6秒かかってしまいました。
この好機をレッドブルは逃しませんでした。ハミルトンのピット後、首位を走行していたフェルスタッペンは13周目にピット。1.9秒という驚速のタイムでハードに交換してコースに復帰。この素晴らしいピットワークのおかげで、見事ハミルトンの前に出ることに成功しました。
続いて、ぺレスも14周目にピットイン。タイヤ交換はやや時間がかかったものの、ぺレスもまたハミルトンの前でコースに復帰しました。
これで実質的な1-2体制を築いたレッドブル。ハミルトンとしては、1位のフェルスタッペンと早く勝負したいところでしたが、2位を走るぺレスの巧みなディフェンスを前になかなか思うようなレースができません。
ちなみに、最後までピットに入らなかったのはアストンマーティンの2台。ベッテルは新品ソフトでのスタートだったため、他の上位陣よりも第1スティントを長く引っ張ることができました。これが功を奏し、19周目のピット後7番手でコースに復帰。一方、ストロールはスタートタイヤにハードを選択していたため、25周を過ぎてもステイアウトしていました。
■ 波乱の幕開け
レースが大きく動いたのは、30周目。ホームストレートを立ち上がったストロールのマシンの左リアタイヤがバーストし、壁に激しくクラッシュしました。ストロールは無事でしたが、コース上にはデブリが散乱。セーフティーカーランとなり、隊列が整えられました。
なお、アクシデント直後はピットクローズとなっていましたが、34周目にピットが再オープンし、アロンソ、ジョビナッツィ、ラッセル、シューマッハらがピットインしてソフトタイヤに履き替えました。
レース再開は36周目。ハミルトンはリスタートでトゥを使ってのオーバーテイクを挑みますが、ぺレスがこれを阻止して2位を堅持。
一方、5位ベッテルはリスタートを上手く決め、ルクレールおよびガスリーをオーバーテイクして4位にアップ。ガスリーはこの時点でエンジン出力に問題を抱えており、迫り来るベッテルに対しなす術がありませんでした。
■ まさかの悲劇
残り周回数も10周を切り、いよいよレッドブルの1-2フィニッシュが現実に見え始めたころ、まさかの悲劇が起こりました。
ここまでレースを完璧にリードしてきたフェルスタッペンのマシンがホームストレート上でいきなり挙動を乱し、ウォールに接触。「タイヤだ!」と無線で叫んだように、左リアタイヤのバーストによるものでした。
これによってフェルスタッペンはレースから離脱。また、レースは赤旗中断となり、各車は一旦ピットガレージに戻ることになりました。
■ フェルスタッペン「ピレリはデブリのせいにするだろうけど」 (motorsport.com)
■ ドラマはまだ終わらない...
残り周回がわずかだったことから、このままレース終了かとも思われましたが、レースディレクターは再開を宣言。1周のフォーメーションラップを挟んで、残り2周の”超”スプリントレースが実現しました。
2位のハミルトンは、リスタート直後の1コーナーでぺレスを交わそうとしますが、ブレーキがうまく効かず、そのままオーバーラン。残り周回も少ない中で、勝負権を決定的に失ってしまいました。これは、誤ってスイッチに手が触れたためにブレーキバランスが適切でなかったことによって起こったようです。
■ ハミルトン「スイッチに触ったなんて思いもしなかった」 (AUTO SPORT web)
これにより、ベッテルが2位、そしてガスリーが3位に昇格。ガスリーは終盤、ルクレールから猛追を受けるも何とかポジションを守り抜きました。
やや後方では、リスタート時にアロンソが4台抜きを披露。逆に、角田はノリスとアロンソに抜かれたことにより7位に後退しました。
そしてチェッカーフラッグ。優勝はぺレス。終盤はマシンに油圧トラブルを抱えながらも最後まで走り抜き、レッドブル移籍後初の勝利を飾りました。2位にベッテル、3位にガスリーが入り、いつもとは違った表彰台の顔ぶれとなりました。
角田裕毅は7位。スタート順位も7位でしたが、フェルスタッペンとハミルトンがリタイアしたことを考えると、実質的には予選より順位を下げる結果になりました。
とは言っても、角田にとっては開幕戦以来の入賞。チームからも賞賛の声が上がりました。
■ ペレス「ジェットコースターのような展開」 (motorsport.com)
■ フランツ・トスト代表「ユウキは素晴らしい仕事をした」(motorsport.com)
■ 最終順位
1位: S. ペレス (レッドブル)
2位: S. ベッテル (アストンマーティン)
3位: P. ガスリー (アルファタウリ)
4位: C. ルクレール (フェラーリ)
5位: L. ノリス (マクラーレン)
6位: F. アロンソ (アルピーヌ)
7位: 角田裕毅 (アルファタウリ)
8位: C. サインツ (フェラーリ)
9位: D. リカルド (マクラーレン)
10位: K. ライコネン (アルファロメオ)
---------ここまでが入賞圏内---------
11位: A. ジョビナッツィ (アルファロメオ)
12位: V. ボッタス (メルセデス)
13位: M. シューマッハ (ハース)
14位: N. マゼピン (ハース)
15位: L. ハミルトン (メルセデス)
16位: N. ラティフィ (ウィリアムズ)
17位: G. ラッセル (ウィリアムズ)
DNF: M. フェルスタッペン (レッドブル)
DNF: L. ストロール (アストンマーティン)
DNF: E. オコン (アルピーヌ)
いかがだったでしょうか。
例に違わず、ドラマの多いレースとなった今回のアゼルバイジャンGP。最後まで息をつく暇がなく、観終わったあとはドッと疲れてしまいましたが、間違いなく今シーズンのレースのなかで一番面白かったと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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■ 関連リンク
【動画】アゼルバイジャンGP レースハイライト (FORMULA 1 Official Youtube Channel)
【動画】アゼルバイジャンGP 予選ハイライト (FORMULA 1 Official Youtube Channel)