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憧れに抱かれたあの日

十数年前、名古屋近郊ライブハウスにて。
私は憧れの吉井和哉を生で見ていた。

the yellow monkeyのボーカルとして一世を風靡し、活動休止後はソロとして活動しており、私が彼の存在を知ったのはまさにそんな時期だった。
当時の私はと言うと、ライブなど行ったこともなく、ライブハウスはなんだか敷居の高い場所の様に感じていた。

大学生の時、吉井氏の魅力にどっぷり浸かってしまっていた私は、彼のライブのDVDの購入者特典として、応募すればとあるライブハウスでの吉井氏のトークイベントに参加することができると知り、速攻応募した。
狭き門を通り抜け、見事当選し、参加することができた。

「選ばれし者」に渡された入場券を高らかに受付でかざし、ドヤ顔を受付のお姉さんにかましてしまうほど、うかれていた。
クジみたいなものを引かされて、よくわからない番号が書かれた紙をそこでもらい、開けたホールに進んだ。

高台にはお洒落な椅子が二つ置かれており、「あそこに現世に舞い降りたロックの神様が舞い降りるのか…」と気持ちを昂らせていたのを覚えている。

会場を見渡せば、女性、女性、女性…男性の人っていた?ってくらい女性だらけでした。
場違い感が半端なくてもじもじしていたのを思い出します。
女性がたくさんいる場所って意味もなく緊張するんですよね。誰も私の様な影の薄い頭も薄い人間のことを視界に入れるはずもないってわかってはいるんですけど、緊張します。

しばらくすると、スポットライトがあたり、吉井氏登場。

それはもう美しかったです。神々しかったです。直視できませんです。

ファン歴は浅かったですけど、ステージで歌い、踊り、ギターをかき鳴らすお姿をDVDで拝見しておりましたから、「えっ、あれほんとに吉井さん?」みたいなことを隣の女性に話しかけ、華麗にスルーされたのをよく覚えています。
ごめんなさいね、気持ち悪かったよね。

女子アナみたいな人が司会でいろんな質問をして吉井氏とお話をしている姿を見る、みたいな感じで一時間くらい経過したころでした。

ガラガラと机に乗せられた品物が出てきました。
そこには、今日来てくれた人へのプレゼントが用意されていました。
全員分は無理なので、入り口で受け取ったあの謎の番号が書かれた券が鍵になるそうな。

吉井氏がBOXから番号が書かれたクジを引き、その番号と同じ番号が出た人に順にプレゼントを渡すという神企画だった。

プレゼントは、サイン入りポスター、サイン入りポストカード、ジッポ…中でも超目玉が吉井氏がライブで使用したバーバリーのシャツ。
以上、四点だったと思います。

くじ運のかけらもない私はただ当選していく人たちを恨めしげに恋破れた可哀想なモブキャラのようにハンカチをキーッて噛みしめながら見ていた。

最後の目玉プレゼント。バーバリーのシャツ。

吉井氏「129番!!」

当たったんですよね。
放心し過ぎてしばらく気づかなかったです。
正気に戻り、その場で手を上げて立ち上がると、周囲の女性達から「おん?なんじゃおめえは。まさかお前じゃないやろな」と言いたげな視線が私に向かっているのがわかります。

吉井氏「おー、男の子か!背格好も俺と同じくらいだし私服でも着れるね!こっちおいで」

「着れるか、そんなん。額縁に入れて家宝にするわ」とは言えず、へらへらしながら壇上に上がりました。

バーバリーのシャツを吉井氏から受け取り、
会話もそこそこに抱かれました。

「ぎいいやああああああ!!!!!!!
ぎにゃああああああああfゔぁっdふぁふぁdsdhgjkshgjshjhlkgはjskldhがkjhgかjh!!!!!!」
という絶叫が客席から聞こえました。

吉井氏に抱かれました。ロックの神に抱かれました。
何話したか覚えてないです。有頂天でした。

トークイベント終了後、たくさんの女性に囲まれて、
「一緒に写真撮っていいですか?」と言われて、「え、俺と?」と返してしまい、「そんなわけねえだろ、カス」という目で見られながら、「いえいえ、そのシャツとです」と言われた時は恥ずか死するところでした。

この出来事以降、車で行ける距離で開催される吉井氏のライブには必ず参戦しておりました。
いただいたバーバリーのシャツを着ながらね。

補足:写真にあるのが、頂いたバーバリーのシャツです。
バックに乃木坂46のポスターがありますが、たまたまです。たまたまなんです。

べ、べつに乃木坂のファンとかじゃないんだからね!
ましてや、ちらっと入り込んでる西野七瀬が推しとかじゃないんだからね!
勘違いしないでよね!!

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