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【小説】今の気持ちは、

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ごく普通の一般家庭に生まれたりなは不思議な感情を持っていた。泣きたいときに笑い、笑いたいときに泣いている。感情は思うようにコントロールすることはできるのか #1〜
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2019年6月の記事一覧

【小説】 今の気持ちは、 最終話

【小説】 今の気持ちは、 最終話

さとみが病院に運ばれてから3日、さとみの熱が一向に下がっていかない。40度の熱を常に上回っている。さとみは全身が重く視界がぼやけていた。耳から聞こえる

母さん!母さん!しっかりして!

母さん!

りなとこういちの声が聞こえたのは確認できた。

りなとこういちは懸命にさとみに声をかけりなは手を握りさとみの身体を何度も揺らしていた。

2日目の夜中病室から男の人の声が聞こえた。私の様子を見

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【小説】 今の気持ちは、 #7

【小説】 今の気持ちは、 #7

ー6月ー

りなは志望校に合格し、入学した。

親しい友達もできた。入学から気の合う女友達4人グループで、悪目立ちするわけでもなく勉強もほどほどに高校生活を楽しんでいた。放課後は4人で買い物やファミレスに行ったり、カラオケなど楽しんだ。

そして家に帰るとりなは1人噛みしめるかのように泣いていた。みんなといることが本当に楽しかった。でもりなはみんなとその瞬間を楽しんではいない、楽しいを演じていた。

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【小説】今の気持ちは、 #6

【小説】今の気持ちは、 #6

病室のベットに運ばれたさとみは2時間後ゆっくりと目を覚ました。

病室の先生は日々の疲れが溜まり身体に無理がかかっていていたと説明された。

よかった、

りなは少しだけ安心したがすぐに考えた。さとみが日頃から自分のことを気にかけていたことはわかっていた。今まで私に対する不安や心配で倒れてしまったのではないかと思い、りなは自分のせいだと思っていた。

少し遅れて仕事を早退してきたこういちが

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