【小説】今の気持ちは、 #6
病室のベットに運ばれたさとみは2時間後ゆっくりと目を覚ました。
病室の先生は日々の疲れが溜まり身体に無理がかかっていていたと説明された。
よかった、
りなは少しだけ安心したがすぐに考えた。さとみが日頃から自分のことを気にかけていたことはわかっていた。今まで私に対する不安や心配で倒れてしまったのではないかと思い、りなは自分のせいだと思っていた。
少し遅れて仕事を早退してきたこういちがきて、さとみの状況を先生から聞いた。
1週間は病院で安静にした方がよいと医者に言われ、その日はりなを病院で見送った後、こういちとりなは車で家に帰った。
車中ではりながこういちにが話かけた。
私のせいかな
そんなことないよ。さとみは少し頑張りすぎただけだ。りなは何も気にしなくていいからね。高校受験が近いんだ。さとみのことは僕がみとくから大丈夫だ。さとみはりがな自分のせいだと思うことが一番心配だと思うよ。りなの気持ちもわかるけど大丈夫だよ。心配しなくていいから
、、うん、ありがとう
こういちの言葉にりなは少し微笑んだ。
りなは塾などきは通わず、学校終わりはすぐに家に帰り1人黙々と勉強していた。前のテストでは志望校A判定だったのでこのまま順調に行けば3月の試験では問題なく合格できる。しかしりなは勉強を熱心に続けた。さとみとこういちのためにも絶対に合格し、これ以上不安をかけたくない想いが強かった。
さとみの入院から2.3日経ち、さとみの体調はよくなり食欲も出てきた。毎晩仕事終わりのこういちが病院に来てくれて逐一りなのことや近隣の話しなどを報告してくれた。こういちの存在はさとみにとって本当に大きな存在だった。
りな大丈夫?
心配しなくて大丈夫だよ。りなはしっかりしてる。もう僕たち以上かも。
そっか、
1週間後、さとみは病院を退院した。
りな、受験で忙しいときに迷惑かけてごめんね
大丈夫だよお母さん、無理しないでね。
そう言うといつもの日常に戻って行っていった。
、、
、、、
被験者5組のうち4名、母親からほぼ同じ時期に体調不良を訴えて病院に搬送されています。そのうち2名は回復していますが他2人の意識がまだ回復していません。
原因は
それがまだわかっておらず、疲れ、ストレスからでた状況と診断しています。
子ではなく母親になにかしらの副作用がでているのか、それも同じ時期に、、解明を急げ、そしてまだ意識の回復していない2名のデータを集めろ。さっさと行け
は、はい
ここまで順調に問題なく実験が進んでいたがやはり最新技術ではあるものの、まだ完全に適応するには時間がかかるな。これは正義のための犠牲だ。キリスト、イスラム、仏教、さまざまな宗教があるから紛争が起きる。様々な生き方、多様化、価値観などというものがあるから。そのせいで違いが生まれ争いが起きる。全ての人間が同じ価値観を持ち、同じように、汗をかいて、幸福を感じ、哀しみを共有することで争いのない世界を創る。個性というものはもうなくていい。丸いものを全員が四角いものと答える世界にする。争わない世界を目指す。
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