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《絵本レビュー》木にとまりたかった木のはなし


いつからだろう…私は、また人を信じることで自分が楽になって、それから縁というものも信じられるようになりました。

ちょっちょっちょいとお待ちを。
何も、スピリチュアルや科学的などちらかの方に偏った考えではありません。

どちらもそうだなって、思ってきたんです。
例えば、人との出逢いなんかもそうですよね。
家族も、友人も、職場も。
なんで、出逢ったのかは本当のところは自分がどう納得できるかみたいな…

信じるって、信じられない時の方が辛かったりすることもあるかもしれません。

さささ、今日はそんな奇跡の共演絵本【木にとまりたかった木のはなし】のレビューをしようと思います。パチパチパチ。

〔作〕黒柳徹子
〔絵〕武井武雄
〔発行所〕河出書房新社
〔初版〕2014年3月
〔価格〕1,800(税別)
〔ページ数〕40P


《ストーリーについて》


ある日、木は鳥たちに〝ぼくも木にとまってみたい〟と相談します。木と仲良くしていた鳥たちは、みんなで木を持ち上げて出発します。

山や公園、灯台や海と、木は初めて見る目新しいものに興味津々です。

とうとう、船にまでとまることになって!?

幼い頃から木登りが好きだった黒柳徹子さんが、木も木にとまりたかったんじゃないか?と着想したところから、この絵本つくりが始まります。

そして、絵をお願いした武井武雄さんは、その三週間後に亡くなります。その後、武井武雄さんの娘(三春さん)に相談し、いくつもの偶然が必然になって出来た物語です。

《10コの視点》


【主なキャラクター】
・木
・鳥たち
・リス
・キツツキ
・子ども
・船長
・ペンギン
・あざらし
・お魚(大小)
・旅人
・少年

【舞台】
・空
・山
・公園
・灯台
・海
・船
・南極
・暑い国
・丘の上

【構成】
ある日、木が〝木にとまってみたい〟と思い鳥たちに相談し、持ち上げてもらい出発する。

丘の上の大きな木に止まり、そこから見える景色に興味が湧き、船にもとまってみたいと鳥たちに運んでもらう。

マスト代わりになった木は船に運ばれ南極へ向かいペンギンたちと戯れたり、今度は暖かい方へ向かい魚たちと戯れる。

いろんなところを周った木は、丘の上に根を下ろし、いろんなものたちに、冒険話を聞かせながら過ごす。

【文】
徹子さん好きな方は共感していただけるかもしれない。
これは、徹子さん自身の人生観であり信念であり、哲学ということを表した文体だということを。

ところどころで、読者に問いかけているような部分があるのもまた考えさせられる。

【絵】
故・武井武雄さんの娘、三春さんが物語に合う父の絵を驚くべき記憶力で探し出したことも奇跡。そして、ピッタリの絵が全て見つかることもまた、奇跡。
鮮やかな濃淡のあるタッチも一見の価値あり。

また文を、飾り罫線で囲んでいるデザインもステキ。

【ハッピーエンド】
木が、冒険話をみんなに聞かせながらのハッピーエンド。

【表表紙・裏表紙】
まさに、飛んでいるような木が描かれている。裏表紙もそうで、いろんな鳥たちが木にとまっている様が描かれている、これもまた奇跡。

【見返し】
太陽を感じる黄色い用紙。

【題字の文字】
くすんだ赤色が可愛いエモい書体。

《読み聞かせをしてみて》


『ペンギンちゃん かわいいねー♡(8)』

『さいごのページさ てつこさんに にてないよ(10)』

『うーん わたしは徹子さんに 似てると思うんだけどなっ(母)』

いろんな場所を巡るような話なので、そこをわかりやすく伝わるように読み聞かせしました。

《おしまいの言葉》


実は徹子さんが初めてつくった、この絵本は、1985年に岩崎書店から刊行されていて、徹子さんは当時50歳前後くらいで。それは、まだユニセフ親善大使に任命される遥か前に書いてたものみたいで。

きっと、元々子どもたちが好きだったんでしょうし、価値観も人柄もちっとも変わらない徹子さん。もう私には、この木が徹子さんの生き様にみえて仕方がありませんでした。

人は、生まれた時から心(個性)が爆発的に変わるということがなかなかないのかもしれません。体はヨボヨボになっていきますがねっ。

その生い立ちや経験が、その人の心を成長させてくれるのではないかと改めて考えさせられました。

わたしも、よくスギの木に登ってましたよ。時に大量の花粉を被りながら、枝にガコンと頭をぶつけながら。

見晴らしの良いその景色は、なんだか自分の心も広くなるようにして重ねてたのかもしれません。



☆彡リンリン・シャンシャン・コボコボより

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