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《絵本レビュー》たかこ

〝古池や 蛙飛びこむ 水の音〟
長女は、国語の授業で俳句を学んでいるらしい。なるほどぉ、だから最近やたらと五七五で話しかけてくるのかっ。

時にはノートにまで力作をひねり出そうと書いていて、密かな私たちだけのブームになってました。

ということで今日は、そんな短歌や俳句に関連する絵本、【たかこ】のレビューをしたいと思います。

〔文〕清水真裕
〔絵〕青山友美
〔初版〕2011年4月

《ストーリーについて》

ある日小学校に、扇子で顔を隠し着物を着た転校生がやってきた。

転校生の〝たかこ〟は、変な言葉を使うし墨で文字を書き、おまけに音楽の時間は1人だけ琵琶をならす。

だんだんクラスのみんなと対立していき…

たかことクラスのみんなが、同じ経験の中で多様性を受け入れ成長する物語です。

《10コの視点》

【表表紙・裏表紙】
表表紙、扇子から顔をのぞかせるワンレンロングヘアのたかこ。裏表紙は、桜が描かれた扇子。どう見ても、平安時代の女性じゃないかっ(笑)

【見返し】
高貴な色とされる紫の用紙。絶対にこの紫色にもこだわってそうに感じる。日本の伝統色なのではっ!ということで私は調べたでございまする。〝藤紫〟か〝薄葡萄〟あたりが近い。

【題字の文字】
太い明朝体で、和色の赤。〝たかこ〟にピッタリな色だなと思うし、黄色い縁取りも雅だなぁ♪

【絵】
現代の子供と対照的な〝たかこ〟の身なりが面白い。あきらかに、どっからどーみてもちがうやん!と、ツッコミをいれたくなる。小学生の元気の良さも、感情の豊かさもほのぼのと描かれている。

【文】
私にも小学生の娘がいるので、共感できるような子供たちの言葉。俯瞰して書かれた視点からの〝たかこ〟と同級生からの視点で書かれた〝たかこさん〟がおもしろい。

【構成】
〝たかこ〟が転校生としてやってくる→クラスの子とトラブルが相次ぐ→からかわれる(軽くいじめ)→遠足の日に、たかこ大活躍→クラスの輪が深まる

【キャラクター】
たかこ・クラスのみんな・先生

【舞台設定】
教室・廊下・運動場・遠足地(野外)

【しかけ】
最初は、変な人(たかこ)がやってきたと、クラスのみんなは警戒していたけれど、その時間の中で悪い人ではないと安心していく様が描かれているところ。

【ハッピーエンド】
すっかり、クラスに馴染んだ〝たかこ〟が囲碁を流行らせてハッピーエンド。

《読み聞かせをしてみて》

『あ、たかこしってるよ!としょかんに あったもん』
『きものさぁ きもの おもたくないのかなぁ』
『七五三のときさ わたしたちも こんなきものを きたよね?』
と言ってました。

私の感想としては、小学生って露骨だよね!うんうんわかるっ!ていう親の視点で共感しました。
時に残酷で、コロコロ変化も激しく、受容する力もハンパないんですよね(笑)まさに多様性を受容できてるってことですな。

《おしまいの言葉》

もしも、私が小学生時代に〝たかこ〟が転校してきたら、めちゃくちゃ質問攻めすると思います。

話してる言葉、着ている服、髪型など。好奇心旺盛につきまとうかもしれません。(笑)ストーカー。
大人になっても割とそうかもしれませんが、変な人も多いのでそれなりに注意してます。

人の数だけ考え方や正解があるのでしょうから、子供にしろ大人にしろ、全ての人を受け入れるのは難しいですよねぇ。

でも、非定する前に、その人の事を知ることは大切だと思いますし、それでも無理なら心の距離を取れたらいいんでしょうが、なかなか難しいですよね。

みなさんは、昨今の課題でもある多様性について、どうお考えでしょうか?
わたしは、ゆくゆくは自分を楽にさせるものとして興味深く考えています。

〝たかこ〟とクラスの皆みたいに、仲良くなりたいものですぞ♪
ではまたっ☆彡


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