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ドイツのパン屋さん

ウルムのパンと文化の博物館に続き、ドイツのパンについて。

パンを食べる国は世界中に溢れている。
しかし、ドイツで作られるパンの種類が一番多いのだそうだ。

その事を教えてくれたのは、日本でゲーテ・インスティテュート(ドイツ政府運営の外国人のための語学学校)に通っていた時の講師だ。

「今日は美味しいパンを買いました」と、その講師がお話をしてくれた。
当時ドイツパンは入手がまだ簡単ではなく、講師のかたは色々と探し回って美味しいパン屋さんを見つけたと、満足そうに言っていた。

ドイツパンの種類は、なんと3000種。
私が食べた事があるのは、その中の数十種類しかないだろう。
まだまだ種類があると思うと、もっと食べてみたくなる。

旅行に出かけると、その街のパン屋さんに立ち寄りどんなものがあるのか見てみる。
同じパンでも違う名前だったり、少し形の違うものがあるから、見ているだけでも面白い。
どんな味なのか試したくなる。

2つ繋がったBrezelブレッツェルが可愛くて、思わず写真を撮ってしまった。


大好きなパン屋さん。
Bäckerei Behmer
デュッセルドルフ市内に何店舗かある。
いつも外に行列ができるほどの人気。

初めてドイツにホームステイした時に食べたドイツパンの印象は、酸っぱい!だった。
ライ麦酵母を使ったドイツらしいパンだが、食べ慣れない私には酸っぱく感じてしまった。
なかなかその味に馴染めずに、Brötchenと呼ばれる丸いパンばかりを食べていた。
しかし、食べ慣れてしまうと、この酸っぱさが恋しくなる。

いつも買うのはこんなパン。
Roggenbrotロッゲンブロートは
ライ麦が90%以上使われている物だ。
Heinemannというケーキ屋さんでは、パンも販売している。
チョコレートを買いに行った時に見つけ、ついでに買ってきたもの。
パンの生地が柔らかく、ほどよく酸っぱくとても美味しかった。


他にも、ライ麦と小麦粉の配合が違うと別の名前のパンになる。
ここだけでは書ききれないので、パンの種類はまた別の機会に。

私は、ドイツパンが好きだけれど、平日の朝ご飯としては食べない。
いつもはバナナとコーヒー、時々ヨーグルトという、簡単な朝ご飯で済ませてしまう。

土日のゆっくりした時間に、美味しいパンを食べる。
週末は、朝からご褒美をもらえた気分で、ちょっぴり嬉しくなる。

そして、誕生日が来ると、会社の休憩室に朝食やケーキを準備する。
たくさんの種類のパンを並べ、チーズやハム、サラミ、ペーストを並べる。
ミニトマトやパプリカ、きゅうりも、テーブルの色どりを華やかにしてくれる。
もちろん、甘いものが好きな人のために、ジャムやヌテラも忘れない。
私は、こんなドイツの習慣がとても好きだ。

お昼ご飯に、パン屋さんで具材が挟まれたパンを買う時もある。
こちらは、三角形のパンで、Leinsamen亜麻の実などと一緒に焼かれている。
噛むたびに美味しさが溢れる。

甘いパンも大好き。
渦巻き状のものは、Schneckeカタツムリと呼ばれるが、こちらはレーズン入り。
シナモンが効いていて、おやつに食べたくなる。

カーニバルや大晦日に食べられる事の多いベルリーナーは、中にジャムの入ったドーナッツだ。
左上の粉砂糖がかかっているのが、ベーシックなベルリーナー。

こちらは、Hinkelというデュッセルドルフで人気のパン屋さんで、黄色の紙袋だけですぐに分かるほどだ。
ひよこのマークが可愛らしい。

ショーウィンドーまでいっぱいに置かれたパン。
いつも大変な行列だ。

さて、日本の夕飯は、ご飯やパスタなどをはじめとして、温かいものを食べる事が多いと思う。
ドイツでは、Kaltes Essen 冷たい食事と言われる食事をする家庭がある。
これは、パンにチーズやサラミ、ハムなど挟んだ食事を指すのだが、まるで朝食のようだと思う。
掃除好き、綺麗好きの多いドイツでは、とても立派なキッチンをお持ちなのに、それを汚すのが嫌で料理をしないという習慣を持っているかたも結構いらっしゃるのだ。
最初に聞いた時には信じられなかったのだけれど、時々こういうかたがいらっしゃる。

朝はパン、コーンフレークや、Müsli ミューズリーと呼ばれるオーツ麦やドライフルーツのフレーク 、あるいは果物など。
会社では、Frühstückspause 朝ごはん休憩が15分ほど与えられる会社が多いので、そこで持参のパンやMilchreis お米で作ったプリンのようなデザート、果物を食べる方も多い。
バナナを入れる容器をプレゼントで頂いた時には、思わず笑ってしまった。
バナナを朝ごはん休憩やお昼ご飯に食べる方は結構多く、バナナが潰れないように専用のケースで会社に持参するのだ。
昼は会社の食堂や外食、もしくは持参のパン。
そして、夜はこの冷たい食事をするとなると、一度もキッチンを使わないのだそうだ。

色々なかたがいらっしゃるので、このような習慣を聞くのは、とても面白い。

日本にいた時は、美味しいお米があれば、それだけで幸せだと感じた。
炊き立てのご飯の香り、炊飯器を開けた時に立ち上がる湯気、ご飯を噛んだ時に感じるほんのりした甘み。

今は、その全ての感覚を、パンが補ってくれている。

焼き立てのパンの香り。
たくさんの種類のパンを目にする時の喜び。
紙袋を通して感じる焼きたてパンの温もり。
パンをかじった時の音。
そして酸っぱさや甘さ。

私の五感を、全て満足させてくれる。

美味しいパンがあるだけで、朝から嬉しくなり、幸せな一日がスタートする。
食いしん坊の私は、美味しいパンがあれば、いつでも幸せになれるのだ。

さぁ、今週末はどんなパンを買いに行こうか。

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