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デュッセルドルフと卓球

ドイツといえばサッカーのイメージがあるが、他にも人気のスポーツがある。
その一つが卓球だ。

先月ミュンヘンで開かれていた卓球の欧州選手権。
男子シングルスの優勝者は、Dang Qiu チュウ・ダン選手。
ボルシア・デュッセルドルフの所属選手だ。

コロナ禍の中、たくさんのスポーツにおいて試合や大会の開催が見送られたり、無観客での試合が行われていた。
私の感じる2年と、選手の方々の2年は、重みが違うものだと思う。
体調や年齢、そして精神的なものも含めて、貴重な2年だと思うのだ。
選手の方々は、そんな厳しい状況下でも練習を続けて今があるのだと思うと、より一層尊敬の念が深くなる。

さて、デュッセルドルフにはドイツ卓球の寄宿学校がある。
Deutsche Tischtennis-Zentrum (DTTZ)

ここデュッセルドルフは、ドイツ卓球の本拠地ともいえるだろう。
ドイツ国内の才能のある選手がここに集められ、地元の学校に行きながら寮生活をしているのだそうだ。
 
ここは私のお散歩コースの一部なので、近くを通る事が多い。
 
建物入口の前には、二台の卓球台がある。
週末になると市民の方々が、卓球を楽しんでいる姿を見かける。

そして、先程触れた地元デュッセルドルフの卓球チームBorussia Düsseldorfも、同じ敷地内が本拠地。
試合がある日には、施設に隣接した駐車場が一杯になる。

日本の卓球も国民に人気のスポーツだけれど、
ドイツも頻繁にニュースで取り上げられている。
デュッセルドルフのチームもとても人気で、優秀な選手をたくさん輩出している。
先程のDang Qiu選手だけでなく、東京オリンピック銀メダリストのTimo Boll ティモ・ボル選手も絶大な人気のある選手だ。
他にも、水谷隼選手もこのチームに所属していたことがあるそうだ。
 

私は日本では生憎、体育の授業でしか卓球に触れる機会がなかった。
ドイツ留学中、学生寮には卓球台があり、洗濯室の近くだったので、洗濯機を回している間に
みんなが暇つぶしに卓球をしていた。
他の階の人とは知り合う機会がなかなかないのだが、卓球で仲良くなるという事もあった。
 
この卓球センターだけでなく、ドイツの公園では卓球台をよく見かける。

こんな普通の公園の片隅に、卓球台が並んでいる。

中学や高校の卓球部を思い出すと、夏場でも黒いカーテンを引き、窓を閉めて練習をしていた気がする。
卓球は非常に繊細なスポーツだと思っていたので、初めて野外の卓球台を見た時は、驚きだった。
 
 
外で卓球なんてできるの?
風が吹いたらどうなるの?
 
 
誰も卓球などやっていない・・・?と思うかもしれないが、これが意外にも週末には一杯だ。
 
子供達が遊んでいる事もあれば、若者達がグループで対戦したり、少しお歳を召したかたも
楽しそうに卓球台を挟み、軽い運動をされている。

そう考えると、卓球はドイツでは、とても身近なスポーツなのだと思う。
 

野外で卓球をして分かった事。
それは、風が自分の味方をする時がある事。
そして、その逆もまた然り。
更には、そのハプニングまで面白いと思える事。
 
日本では、どうだろうか。
卓球温泉という映画もあったけれど、温泉に行った時に卓球台があると、何故か嬉しくなる。
 
一度、神戸の地下街を歩いている時に、軽快な音が聞こえてきた。
何の音だろうかと興味を持って近づくと、それは卓球施設だった。
たくさんの人がゲームをしていて、順番待ちのかたもいた。
 
日本もドイツも卓球が人気という共通点が、なんとも不思議で面白いなと思う。
 
何かの特別な日や誕生日などでもなかったと思うのだが、パートナーが卓球のラケットをプレゼントしてくれた事があった。
時々このラケットで、近所の卓球台で汗を流す。

初めて一緒に卓球をした時に、私のラケットの持ち方が面白いと、そうパートナーが言った。
日本ではこれが普通だと話すと、多少驚かれた。
気になって調べてみたところ、私のラケットの持ち方はペンホルダーと呼ばれるもので、中国や日本独特の持ち方だった。
パートナーの持ち方は、シェークハンドと呼ばれるもので、世界的にはそちらが一般的なようだ。
試しに、シェークハンドでラケットを握ってみたが、私は上手くコントロールが出来なかった。

 
卓球をする時の、私達のルール。
それは、負けた方が勝者にアイスをご馳走すること。
何度も対戦しているけれど、私が嬉しいアイスを食べたのは、たった一回だけだ。
パートナーはなかなか手強くて、そして私に対して全く手を抜かない。
私にたった一度でも負けた事が相当悔しかったようで、いつも真剣に勝負に挑んで来る。
私はいつもギリギリで負けてしまうけれど、卓球は楽しくて、とても好きだ。

卓球が好きなのか。
それとも、アイスが好きなのか。

食いしん坊の私は、後者の可能性のほうが高いかもしれない。

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