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中二病

おいでませ。玻璃です。

中学2年生になり、クラス替えもあって窓際族は解散となった。
それぞれ全く違うクラスになったのだ。
それでも私たちは休日や放課後は一緒に遊ぶことも多かった。

ただ、クラスの中にも一緒にいる友達が必要だ。
何のきっかけだったかは覚えていないが、新しく友達になったのが「とんちゃん」だ。

とんちゃんと行っても豚さんの「とん」ではなくトモコちゃんの「とんちゃん」。
とんちゃんはご両親が離婚していて、お母さんと二人暮らし。
お母さんはスナックを経営されていたので、夜はとんちゃん一人でお留守番だ。桜並木の遊歩道を歩いた先のアパートに住んでいた。
そのうち私は、とんちゃんの家にちょくちょく遊びに行くようになった。

とんちゃんには彼氏がいた。
誰もが知る3年生の番長的存在、アリジ先輩だ。
私がとんちゃんの家に遊びに行っているときもアリジ先輩が遊びに来ていたので、3人でテレビを観たり話したりすることもあった。

ある日の自習の時間、学校を抜け出して3人で近くのゲームセンターで遊んでいたのがバレて呼び出しを食らったこともあったっけ。

その頃、完全に中二病を発病していた私は両親にも反抗的だったし、帰ってもろくに口も聞かず部屋にこもって、長電話をしたりしていたが、とんちゃんの家に遊びに行った時は比較的ご機嫌に帰ってきたので、母もそこはうるさく言わなかった。

しかし、勉強を全くしないことにはさすがに母も対策をしてきた。
どういうルートで頼んだのかわからないが、教育実習に来ていた大学生の先生に家庭教師を頼んだ。
嫌で嫌で仕方なかった私は勉強中も全く集中することなく、ここでも中二病をかなり前面に押し出していた。

ある日の週末。
先生が訪ねてくる日にも関わらず、私は前日からとんちゃんの家に泊まったまま帰らなかった。
さすがに堪忍袋の緒が切れた母は先生と共にとんちゃんの家まで訪ねてきた。そして私を桜並木の遊歩道まで引きずり出した…その瞬間…
パシッ!!
はじめて頬を叩かれた。

「あんたが反抗したい年頃なのもわかっとる。
友達と遊びたいのもお母さんもそうやったから多めに見てきた。
でも、先生との約束を破るのは違うやろ。先生はずっと待っちょっちゃったんよ!(待ってらっしゃった)
約束を破って迷惑かけるのは、反抗期とはまた違う問題。ちゃんと先生に謝りなさい!」

「ごめんなさい…。」

私は先生に向かって深々と頭を下げた。

この日以来、家庭教師はやめることになった。
でも、とんちゃんとは相変わらず仲良しだった。
窓際族+とんちゃんで海に遊びにも行った。

数年前に窓際族のひろべえと共に帰郷したときに、スーパーで偶然とんちゃんに会った。お互いにすぐにわかって懐かしさでいっぱいになり立ち話。
とんちゃんは、買い物かごにお孫さん用のお菓子をいっぱい入れていて、
「孫がくるから。」と幸せそうな笑顔で話してくれた。

貴重な「中二病」期間をともに過ごしたとんちゃん。
今度は同じ「ばあば病」だね。

ではまたお会いしましょう。



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