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昭和ライフ

おいでませ。玻璃です。

田んぼの近くの小さなおうちに引っ越して、いろんな生活が変わった。

旅館の頃はあちこちの部屋にテレビがあったので、自分の観たいテレビ番組はどこかの部屋で必ず観ることができた。

だが、小さなおうちに引っ越して来てからはそうは行かなかった。

ちょうど日曜日のご飯の時間。
舞姉さんはNHKのレッツゴーヤングが観たい。
私はサザエさん。
結局先にレッツゴーヤングが始まり、18:40まで。
でもサザエさんは18:30から。
ラストいいところで妹にチャンネルを奪われる舞姉さん。

その頃は今のように聴きたい曲をいつでも聴けるという環境がなく、レコードを買うのもままならない。

そこで…昭和必殺!
テレビからカセットデッキで歌を録音する!

テレビのスピーカー部分にカセットデッキをピタリとくっつけて

「それではどうぞ」

という司会者の声に合わせて録音ボタンと再生ボタンを同時に押す。

ガチャン!

そこからはまわりは絶対に物音を立ててはいけない。もちろん喋ってもいけない。録音されてしまうからだ。
緊迫した空気の中、人気アーティストの曲は流れる。

でもそんな時に限って、醤油差しが倒れたり、食器が当たったり。

ダメだダメだと思うと笑いがこみあげてきて吹き出してしまったり、父が大きなオナラをしたり。

とりあえず最後まで録音して、停止ボタンをガチャンと押すと

「もう〜!静かにしてぇよ!」

舞姉さん、怒りの攻撃。
それでもまた次の録音の機会が来るまではそのオナラの音入りミュージックを聴かなければならない。

人生とは理不尽なものだ。

今回帰郷した時にこの小さなおうちは探せなかったが、近くまでは行ってみた。
新しい住宅が所狭しと並んでいた。

私が住んでいた当時はとにかく田んぼが多く、梅雨から夏にかけて道端にはカエルの死骸だらけだった。

大きなウシガエルから小さなアマガエルまで…。
車に轢かれた悲惨な姿のカエルたちが道のあちこちに乾いていたり、生々しい姿で転がっていた。

ある日、おつかいを頼まれた舞姉さんと私。高校生の舞姉さんが運転で小学生の私が後ろ。二人乗りで近くの商店へ。
暗くなり、街頭もあまりない道を走る。
その時少しだけガタン!と自転車が何かの上を走った感覚があった。
と、同時に

「ゲグェ!」

妙な声が聞こえた。

後ろを振り返るとウシガエルほど大きくはないが、確かにカエルが潰れているようだ。

「舞姉ちゃん、カエル!カエル!」

「玻璃ちゃん、見たらダメ!」

「舞姉ちゃん、轢いたやろ?」

「轢いてないよ!轢くはずないよ!」

と言いつつ、二人して

「ギェーーーー!」
「ギャーーーー!」

大声で叫びながら走り抜けて行った。

こんな事が日常茶飯事な昭和の光景。
経験ある人はいるだろうか?

では、またお会いしましょう。

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