鍼灸学校ってどうなの??その②(授業篇)

さて、いよいよ授業開始です!と思いきや、想定外の事態が起こりました。
Covid-19の感染拡大です。当初のデルタ株はまだわからないことが多く、行政も学校も混乱していました。
わたしが入学した学校はオンライン授業の準備ができておらず、結局授業開始は6月からとなりました。入学金も授業料もすべて振り込んだ後でどうすることもできません。正直、この年に入学を決めたことを後悔し始めていたのも事実です。
話は変わりますが、鍼灸学校の入学金はいくらくらいだと思いますか。
学校によってさまざまですが、鍼灸師(専科)のみの場合、3年間でおよそ400万から500万円ほどです。
専門実践教育訓練給付金で支給される金額が120万円ですので、300万円から400万円の出費は覚悟する必要があります。ちなみに、卒業後、1年以内に6ヶ月以上雇用保険に入ればお祝い金として48万円が支給されます。
あんまマッサージ指圧師+鍼灸師(本科)の場合は、500万から700万円ほどかかります。初めてこの授業料をみたとき正直驚愕しました!鍼灸師になるのにこんなにも授業料がかかるなんて!!国立の医学部のほうがずっとやすいですから、、。
国から補助金が出るとはいえ、本科はすぐにあきらめました。決してポンっと出せるような授業料ではないですよね、、。この授業料の高さも入学を悩む理由のひとつでした。
ちなみに、教員やクラスメートをみて感じたことは、経済的に恵まれた家庭のひとたちが多いことです。クラスメートの中で、社会人として自立して生活しているひとは、わたしともうひとりの女性くらいで、そのほかの30代、40代のひとたちは既婚者を除き、その多くが実家暮らしで中には授業料も親にすべて出してもらっているという恵まれたクラスメートも少なからずいました。
さて、6月からやっと授業始まりました。
はじめて会ったクラスメートたちは、高卒者から50代までとさまざまです。とくに、30代後半から40代の方が多いクラスとなりました。10代から20代の子たちを想像していたので少し安心です。
2ヶ月遅れてはじまった授業は、通常の授業とは異なり短縮授業となりました。通常では、1教科90分授業で1日2コマの授業が展開されますが、すでに6月。時間がありません。授業科目数が削られ、1教科60分の短縮授業で、1日3コマ。怒涛のように授業が進められます。
これが2年次の前半まで続き、ほんとうに大変でした。解剖学や生理学、東洋医学系の科目など初めて見聞きするものばかりです。そのうえ、実技の授業もものすごいスピードで進んでいきます。
事前に鍼灸治療は経験済みですが、毎日のように数十本と鍼を刺されるのは身体に大きな負担がかかります。鍼の刺激に強いクラスメートたちでさえ次第に疲弊していきました。
通常授業に戻ったのは2年次の後期です。このころ、学校がようやくオンライン授業の準備ができ、感染者数が多いときには座学のみオンライン授業が受けられるようになりました。他の学校は入学当初からオンライン授業が展開されていたそうなので、わたしが入学した学校の対応はかなり遅いと言わざる得ません。また、教員の多くが登校させることを大切にしていたため(学生の間では時代錯誤だともっぱら不評でしたが)感染状況が改善するとすぐに登校に切り替わりました。
ちなみに、学校では毎日感染者が続出し、教員にも感染者が出ていたため、みな戦々恐々としていたのも事実です。
入学前は「勉強がとても大変だから覚悟するように」と説明会などでも言われていましたが、実際はそうでもありませんでした。
学校では、西洋医学と東洋医学の両方をバランスよく学びます。初めて学ぶ解剖学や生理学はとても興味深く、新たなことを学べることにわくわくしました。また、東洋医学系の科目は抽象的な概念の説明が多く、科学的ではないため、白黒はっきりさせたいわたしの性格では当初は正直辛いものがありましたが、興味を持った東洋医学の書籍を読むにつれ、だんだん東洋医学に興味が湧いていき、2年次には「東洋医学ってなんてすごいんだろう。こんなことを紀元前の人が考えたなんて古代中国人はすごい!」と思うようになりました。
40才を過ぎてはじめて、「わたしは医学の分野に興味があったのだな」と自分自身の新たな一面を発見し、意外な気持ちでした。
東洋医学は、西洋医学のような科学的な根拠はなくとも、これだけの長い年月の間、今日まで廃れることなく脈々と受け継がれてきたということは、鍼灸の治療効果が認められているからだと思います。ちなみに、あまり知られていないかもしれませんが、WHOでも一部疾患において鍼灸の効果が認められています。例えば、妊娠時のつわりなどがその一例です。
授業が大変かどうかは本当にひとそれぞれだと思います。学生時代から勉強が好きだったひとは授業がそれほど苦痛に感じることはないと思います。むしろ興味を持って楽しく学べるのではないでしょうか。
一方で、勉強が苦手だったひとにとってはとても辛いようです。学生時代に勉強が苦手だったというクラスメートたちはかなり苦労していました。そもそも勉強する習慣がなかったり、これまでの人生で一度も勉強などしたことがないと豪語するクラスメートも多く、定期試験ではいつも再試、再再試と苦労していたようです。
ただ、出席日数さえきちんと守っていれば落第することはまずありません。出席日数が明らかに足りないクラスメートも数名いましたが、課題をやるなりして問題なく進級できていたのでそのあたりはあまり心配する必要はありません。
3年次の最後に卒業認定試験という学科試験がありますが、1回目で不合格になっても2回目、3回目、4回目と続くため、ほとんどのクラスメートが合格します。中には、何度受けても合格できず卒業できないひともいますが、それはほんの一握りで、3年間一切の勉強をしてこなかったひとたちです。その年にもよりますが、およそクラスの1割程度のようです。
ただ、国家試験はそうはいきません、、。
わたしの学校に関しては、合格率は8割前後。全国の国家試験の合格率はここ数年7割前後です。100%の合格率と謳っている学校もありますが、こういう学校はそもそも合格する学生しが受験させません。
先ほども書きましたが、卒業認定試験で不合格となったひとたちは国家試験の受験資格がありません。そもそも卒業できませんから、、。もういちねん3年生として授業を受け直します。
ただ、全国の国家試験の合格率は晴眼者だけでなく、視覚障碍者も合わせた合格率なので、晴眼者だけの合格率は8割を超えると言われています。
医療系国家試験の中で、はり師、きゅう師の資格取得は決して難しい資格ではないということがわかると思います。



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