翔ける

高く飛ぶときめたから．

無酸素旅行は青の向こう
いつの間にか蹴飛ばした昨日が
悲鳴をあげてる，知るもんか
未練のいらない未来なんてないから
ごめんね，なんて言えない
長い滑走路で失ったいくつもの自分に

無自覚に緩む頬
不本意な誤解に流される午後
偽らないで踏み出せるほど甘くはないけど
こんな顔してる自分が嫌いで
息切れするまで呪う
散々で残念で
それなのに
一瞬だけ光るから捨てられない
私の日常

全部なんて
叶えることも抱えることもできそうになくて
こぼしつづけて今があるのなら
きっと何一つ満たされていない私は
羽ばたくことのできない両腕に
生かされ続けている

ただ前に進むだけで善いなら
もっとずっと早く
幸せになれたはずだけれど
ずっと渇いている，肺も腕も胸も
とっくにかすれた声で，それでも
夢を吠える獣でありたい
生み出す反作用，まだ途上で
きっと死ぬまで

今夜，曇天の予報に少しだけの浮力
向かい風は吉兆，
私だけを迎え撃つ空に
過去，ありったけの絶望を放って
いま，翔けろ，魂
翔けろ，私