朝焼けに猫は溶けゆく
こんな夜だってのに猫は
見えないふりをして街をゆく
雑踏の中の呻き声を
慰めるような低い声で
こんな夜だってのに君は
裸足のまんまで川辺をゆく
綺麗だねって見上げたのは
星の見えない空だ
もう少し明かりをつけようか
この世は影が多すぎるから
見えないままで
知らんぷりのままで
踏みつけた掌が多すぎるから
もう少しゆっくり歩こうか
今夜は影が濃すぎるから
隠れたままで
何となく、のままで
やり過ごす声が煩いから
ここが暗ければ暗いほど
見上げた空が輝くんだと
街頭を壊して闇を作っては
砕けたガラスに紛らす涙
ここがどこなのかも分からぬまま
ここにいるよって戯けている
君が輝けば輝くほど
灼けた瞳が眩むんだと
両目を瞑って闇を気取っては
瞼の裏でも消えない光芒
自分が誰かも分からぬまま
僕を見てよって喚いている
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