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プリズム

何でもかんでも
忘れてしまいそうになるのに
全部を忘れられない身体が
僕の輪郭だ

溶けた氷がなめらかに
崩れ落ちる夏のメロンソーダ
弾けているフィズ
思い出すことは難しい
ずっと昔からそうだった

透明な歩みだから
誰の目にも留まらず、風さえ僕を捉えずに
それでも振り返る道に残した足跡は
たしかに泥臭く光っていた。

脳に乱反射して、記憶のスペクトラムは
七色に千切れて
泣きながら抱え込んだ青紫の波長
紫外線まで、まるごと僕なんだ
何色でもない透明光が、実は全部を持っているよ

ああ、いかないで欲しい。
どうせいつか網膜に突き刺さるだけの
生まれたばかりの光
溶け切る前に潤した心、それが君の青

僕はいつかこの夏を思い出す、
目を閉じたままでも見える
暗順応、あるいは
夕暮れのハイパーベンチレーション

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