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一夜星の詩

かわいいね、なんて乾いた
サンドペーパーみたいにざらついた舌先で
自らを削るように嘘をついた夜のこと

名前も知らないまま、好きなものも
嫌いな人もわからないまま、傷ついて
流れた血液さえも潤いだと狂った夜のこと

今日は流星群の日
知らないベッドの上で君は言う
今夜しか見られない星、消えていく時だけ光る星
瞼を閉じたままで君は言う

僅かに残った髄液を絞り出すかのように
それでも二人分ならと、買い込んだ
缶ビールはもう温い。汗をかいて。
街の灯りが責めるようだからと
閉め切ったまま、薄汚れたカーテンは揺れる

目覚めたら、消えているの
君の形にシーツは歪んだままだけれど
もう顔も思い出せないのに、君の残した
吸い殻にごめんねすら言えなくて
代わりに君の願いが叶うように祈った

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