見出し画像

ため息

世界のため息を聞いた
耳元で、諦めるように
まだ暗い夜明け前の
しんとした風のない時間

世界のため息を聞いた
足元から、這いずるように
忍び寄る寒さに震える
月も星もない空っぽの空

曇る視界に目を凝らした
耳鳴りがやがて朝を告げた
今、漏らしたのは嘆きか
愛なんて烏滸がましい
鳥が笑うように去った
誰もがその人を生きている
その只中にいて、屍

世界のため息を聞いた
また、はじめまして世界
白く淡い吐息が
また顔にかかって
いつまでも自分のため息と知った

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?