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小さな腕時計


擦り切れた僕に残された
あの日のままの時計を見つめている。

どんなに耳をすませても
秒針の音は聞こえなくて
別れの言葉だけが鼓膜の裏側で煩い。

何度となく繰り返したリズムが今は焦燥感。
ここに立ち止まっている。たったひとりで、咎。

二十四時間が過ぎれば、
またふたつの針が同じように重なることを
いつしか救いと呼んだ僕のせいだ。

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