夜風の詩

きみにまで届かないのなら
せめて、朝日に向かう鳥でありたい
流線型の軌道を描いて
脊髄に突き刺さる美しさでありたい
あるいは、枯れた心を濡らす朝露でありたい
世界の隅から、優しさをすこしずつ集めて
やがて雪に変わる健気さでありたい

手を伸ばしたきみの、指先の少し先で光る
微かな後悔のようなものが、
いつか致命傷になった頃に、
僕の声が届いて、君の全部が夜に変わってしまう
灯りを吹き消すように、この夜風は流れ続ける
朽ち果てた心さえ、愛せるようになるまで
それを、愛おしいと呼べるようになるまで
さて、あと、どのくらいだ

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