もういいかい

うるさい路上ライブの歌に紛れて、
僕の心がひとりでに坂をかけ上っていく。
日向にいる間、伸び続ける影と、
ひび割れたスマートフォンの通知は似ている。
望んでいないのに、視界に焼き付いて。

都会は夜よりも、朝が暗いこと。
24時間空いているコンビニの
店員の顔がいつも同じこと。
聞き飽きたヒットソングは、
今日をかき消す為にあること。

僕がこの街で学んだ生き方、この身の隠し方。
見つかる前に、冷えかけた掌。
隠れたのは、見つかるためさ。
だからもういいよ。

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