![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/39549407/rectangle_large_type_2_b57c538b92f214d7b60b8d701ec4cf04.jpeg?width=1200)
Photo by
55danyl
はだかのケモノ
何もかも面倒くさくなったはずの朝なのに、燃えるゴミの日を忘れずに、律儀に守れるような人生は、気の抜けた夏のコーラみたいで愛おしい
何かを求めるわけでもないのに街に出ると、周りのみんなが何か、キラキラと輝くものを持っているように見えて、それは余計に、自分の求めるものを隠してしまう、影を作るように、風に攫われるように
いっそのこともう猫にでもなってしまおうかと、ダンボール箱に毛布を敷いて、拾ってください、と一言。言葉を発しただけなのに雪はこんなに近くまで積もって、毛皮を持たない僕らはこたつの中で伸ばした、足の先に人生の幸福が全部、詰まっているんだと知り、誰にも聞こえないように、生きててよかった、とつぶやく。だけの、少し頭の小さなケモノだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?