ポケットは黄色
少女が見つけた小さな秋は
終始不満そうな顔をしていた
あれほど喜んでいたのに、銀杏の葉を染めると
いつもそうよ、あれほど騒いでいたくせに
クリスマスやら除夜の鐘やら、みんな
わたしのことなんて忘れて
冬に駆け寄っていくみたいに
わたしを踏みつけて、こんなに小さくして
夕暮れが色を分けた落ち葉に埋もれた
秋は泣いていた
秋の言葉は少女に聞こえなかったが
何故かしら悲しんでいるようだったので
少女はセーターのポケットにそっと
彼女をしまい込んで
また駆け出した
泣き疲れた秋は毛糸の間からさらさらと流れて
少女の足音を優しく消した
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