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シンドラーのリスト 感想

"シンドラーのリスト"を見たので、感想を書いていきます。 
"関心領域"を見に行ってから、ずっと見たいと思っていたのですが、やっと全部見れました。


感想

正直な感想を言うと、見ながら面白いと思える映画ではありませんでした。それに、多分作っている側も視聴者に面白いと思わせようとしてる感じではないんじゃないかと。
特に印象深かったのが、ユダヤ人に対して粗暴な振る舞いをしているのが、ナチスだけでは無くドイツ国民も参加している事。
ナチスもユダヤ人を迫害します。と国民に言いながら、何もしない訳にはいかないので、とりあえずゲットーに送ったという事ですし、ユダヤ人迫害は、ナチス、強いてはヒトラーだけが行った事では無く、当時のドイツ国民の意でもあったというわけで。それは、ヒトラーやナチスだけを悪役の様に言うのは確実に違うと思いました。
その当時の国、世界全体で迫害を行っていたんですね。
"戦争は、人の悪い所を強調する"(うろ覚え^^;)というセリフが正にだと思いました。
ナチスも全てが悪では無く、ユダヤ人も全てが善ではありません。立場が違えば、同じ状況に陥っていた可能性も十分にありえます。

スプラッターや虐殺を強調しているシーンは際立っていないと思いました。(理不尽に銃殺されるシーンは多いにありましたが)
トラウマになる、覚悟が必要と書いていて、気張っていたので、それに若干拍子抜けしながらも、迫害されているシーンやシンドラーが必死に救おうとしているシーンを見ました。
そうそう、銃殺されそうになったのに、銃が壊れていて、頭殴られるだけで済んだあのおじさんもモデルがいるのかなぁとか考えていました。

最後、実際にシンドラーに救われたユダヤの人々がシンドラーのお墓に石と花を備えるシーンにこの映画の全てが詰まっている様に感じました。

このシーンを少し過剰な気がする、と言っている方もいましたが、私は逆にこの最後のシーンが無かったら、感想は希薄になっていたと思います。このシーンまでは、どういう内容なのかを調べた後に見たので、そこまで響かなかったというか、実話だとしても、私が今見ているのは役者が演じている映画だ。という思いがどうしても抜けなくて、娯楽感が拭えなかったのですが、最後のこのシーンで一気に現実味が帯びて、このワンシーンに感動しました。こういう風に思うのは、私も所詮は部外者で、当事者ではないからだよなと痛感しました。どんなに分かろうと、映像を見ても今の私には分かりません。が、こういうことがあったと知り、知見を広げる事が大事なんだと胸に刻みます。



ホロコースト生存者の方の話を実際に聞くのが、一番実話なんだと痛感します。
特に、32分からの話が衝撃です。どう飲み込めば良いのか分かりません。
この方は今も罪悪感に苛まれていますが、私がその場にいたら同じ行動をしていましたし、むしろ、監視員へ少しでも言い返した貴方は勇気があると思います。私は言い返す事すらできません。
相手の方も、もう恨んではいないと思います。しょうがのないことで片づける訳にはいきませんが、しょうがなかった。そうとしか言えません。

自分の行いに苦しむ人の中に殺人を厭わない人もいて、その中で人を救う人もいて、人間とは本当に不可思議なものだと感じます。

ユダヤ人迫害以外にも、世界で差別は起こっています。私がよく考える事ですが、人の事を、ブスやデブ、バカと言って嘲笑する人は私達の周りにもありふれている訳ですが、これも差別なのでは?と感じます。これの延長線上にあるのが、差別なんだと思います。差別は相手の事を見下しているから起こるんですよね。
(ですが、こうやって嘲笑する人がいるからこそ、優しさを美徳としたり、私がこうやって考える事にも意義を持つ訳で。嘲笑してそれに憤って優しさを持って。人間の社会はそうやって成り立っている。それが無くなってしまったら、人間の個性が無くなってしまう様に感じるのは私だけでしょうか?それで本当に社会は幸せになるのか、分かりません)

でも、そういう人も、ナチスやヒトラーが行った事を、酷い惨いと言うんだと思います。ナチスやヒトラーが悪いのではなく、人間の思い込みや悪の部分が戦争によって強調されただけで、あの人達も、ありふれた人々でした。

人間は自分を客観視出来ない、これが差別が無くならず、人間がいつまでも歴史を繰り返す原因なのだろうと感じます。
人間は人間を奢り高く思い過ぎている。

そして、被害者だけでは無く、加害者も見て、全体を見る事が大事だと思います。ナチスやヒトラー、結果負けた事を思うと、本気で勝つと信じていただろうに、ユダヤ人迫害に賛成は絶対に出来ませんが、その気持ちを思うと悲しくなってしまいます。

どういう最後を辿ったのかを知る為に、今度は、ナチス視点の映画も見たいです。


では、また。







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