『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ 著)細谷功』を読んで考えたこと。
■抽象概念を扱う
それは不連続な変化を起こすために必要な能力である。具体はとても大切でこれがないと何も進まないが、抽象を大切にしていかないと不連続な変化に対応することができなくなる。抽象にある自由度を楽しむことが大切なのだ。
そしてインスパイアされたと呼ばれるアイデアや事業、異質同士のぶつかり合いなどは全て抽象化することで生まれる。具体的なところで似てしまっていてはパクリになるが、抽象化して似ていればそれはインスパイアだ。パクリとアイデアの差がまさにここだと思う。
抽象化して、類似点を見つけ、異質と組み合わせる、新たな発想の生み出し方の1つだ。
これが抽象概念を扱うということだと思う。不連続な変化の時代に対応するために抽象概念でみてアイデアを生み出し、具体化する中で差別化(技術や手法、ターゲットなど)を行っていく。抽象概念を扱う1つの大事なメリットだ。
■永遠に噛み合わない議論
例えば、「リーダーはぶれてはいけない」「リーダーは臨機応変に対応すべき」というふたつの議論があるとする。この意見はどっちも正解だ。しかし、抽象レベルが全く違うがために矛盾だと思われてしまう。「ぶれてはいけない」は哲学や基本方針の抽象レベルで大切で、「臨機応変」は具体レベルで大切だ。ここが噛み合わなければ永遠の議論となる。
そして、話しがコロコロ変わるという人は具体レベル(行動)では変わっているが、抽象レベル(目的)の話しを認識合わせできていればコロコロ変わるということ思いは持たないだろう。抽象レベルでコロコロ変わる、または抽象レベルの考えがない場合は論外だが。
■仕事のやり方
人には好みの自由度がある。具体的な仕事を好む人もいれば、自由度の高い仕事を好む人もいる。あたりまえだが。ここの好みを誤って仕事を依頼してしまうとうまくいかないかもしれない。具体的な仕事を好む人に自由度高く「好きにやってよ」は不快にさせる。逆も然り。双方で仕事の自由度の好みを知っていることが大事だ。理解しあって仕事すれば必ずうまくいくだろう。
また話し合い、会議の場面でもそうだろう。お互いの抽象度があっていないと、どちらかにとっては「どうでもいい話」に聞こえ、どちらかには「些末な話」に聞こえるだろう。これではうまくいくはずがない。そして、二項対立の「考え方」の話しをしているのか、二者択一の「選択」の話しをしているのか。こんなすれ違いさえ起こってくる。
お互いの自由度、話しの抽象レベルをあわせるだけで仕事はより成功に近づけるはずだ。少なくともお互いのすれ違いや、理解不足はなくなると思う。
■シンプルにシンプルに。そして、的確に。
抽象化していくときに大切なのはシンプルさだろう。しかし、シンプルにしすぎてしまっても伝わらないことが多い。シンプルさの中に複雑を理解していなければ本当の意味で成しえないのが抽象化だ。その枝葉ばかりを理解して、幹を理解していない事象や知識をシンプルにはできない。逆も然りで、枝葉を理解して抽象化しないとなんか物足りない、ツッコミどころ満載、質問いっぱいの抽象化になるだろう。
だからうまく抽象化できるということは、具体をしっかり理解していなければいけない。
しかし、抽象化ばかりに目が行っている人は往々にして具体とか枝葉の部分を見ようとしないし、「本質がわかってないよね〜」なんて戯言を述べたりする(自分も気をつけよう)。
シンプルに的確にするために重要なことは、具体を理解して、抽象化し、しっくり来なかったらまた具体に戻って理解を深める。こうすることでしか、不連続な変化を起こせる抽象化にはならないのではないかと思う。
具体と抽象の世界を行き来する。
■最後に
具体と抽象の世界って奥が深い。白と黒の間に無限の色があるように、具体と抽象の間には無限のレイヤーがある。ここの意識合わせとどのレベルで対話をするのかプレゼンテーションをするのかを一番悩むべきだろう。
たぶん、プレゼンをして相手から質問をもらうときって、プレゼン内容とその人の具体と抽象の世界があってないから質問になるんだと思う。そして、その質問を聞くとその人の具体と抽象のレベルがわかるんだと思う。ってかその質問によって具体と抽象レベルがわからないと、的確な答え(応え)は出せないだろう。会議でも一緒。具体と抽象のレベルがあってから話すってすっごく大事だと思う。
あと”伝える”コミュニケーションの世界はすごく大切な概念だと思う。伝わるように伝える。ってたぶんこのレベルを合わせることが大切だと思う。
人は抽象で大枠を理解し、具体で感動する。具体的すぎる話しでは、話しが長くなるし結局何が言いたいかわからないことが多い。しかし、抽象的すぎる話で感動したことはない。人のモチベーションカーブを見てでは泣かないけど、そこで起こった具体的なストーリーで涙する。
この具体と抽象を上手く使えるようにこれから頭の中を行き来し続けたい。
この不連続な世界に変化を与えるために。
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