【超短小説】年雄、レジに並ぶ

年雄は仕事帰り、スーパーに寄った。

値下がりしたお寿司をカゴに入れ、レジに向かう。

レジは3つ。

2つはすでに2人並んでいた。

並んでないレジへ向かう。

そんな年雄を、おじさんが小走りで追い抜いた。

年雄がレジに並ぶ直前の事だ。

横入りギリギリのタイミング。

映像で確認したいくらいのギリ。

年雄は何も言わずおじさんの後ろに並ぶ。

年雄はおじさんのカゴを見た。

おじさんのカゴはいっぱい。

年雄のカゴにはお寿司一個。

「おい!寿司一個の会計も待てないのか!1分もかからんぞ!自分のカゴに沢山入ってんだから、寿司一個くらい譲れよ!余裕のねー奴だな!横入りギリギリの技術、他で使え!」

なんて事は言えません。

大人だから。

浜本年雄40歳。

いつでも、心に1分ほどの余裕は持ちたいものだ。

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