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#介護小説
【第十三話】外部評価でGOGO!
─勝負の鉄則は、必ず勝てるカードを切ることだ。
「というわけで明日は外部評価が入ります。皆さんよろしくね、では解散。あ、カモちゃんちょっと」
夕方の申し送りの終わり、僕は施設長に呼び止められた。
「明日の外部評価なんだけど、彼の事は大丈夫?」
─彼、というのはもちろんあのおサルさん介護士だ。
何かあれば必ず問題を起こすあのおサルを外部評価当日、出勤させるわけにはいかなかったのだ。
【第十二話】涙の事故報告書。
突然のギックリ腰に襲われ、介護士にもかかわらず要介護状態を体験した僕はあれから1週間後の今日、ようやく職場復帰していた。
なった者のみぞ知るあの地獄の痛みから解放された喜び。に、満ち溢れているはずの僕の心はドンヨリと曇っていた。
ウラハラにって言うのはこういう時の為にあるんだな。
何であんな事言っちゃったんだろう。
そう、あの時─。
【第十一話】天使、それとも。
「カモちゃん!どうしたのっ!」
誰かがウワサでもしてるのかアレルギーなのか今日は朝からクシャミが止まらなかった。
屋上で洗濯物を干しながら何度目かの大きなクシャミをしたその時、稲妻のような痛みが僕の腰を襲い、僕は動けなくなっていた。
待てよ?
どうしたらいいんだ?
1ミリも動けないぞ?
【第九話】NIGHT OF THE LIVING MONKEY
「明日の朝は全国的に強い冷え込みとなるでしょう。それではまた明日のこの時間に。」
こっちはこれからおサルさんと夜勤だというのに、気象予報士は勝手に一日をシメている。
テレビを消して家を出ると、その役目を終えかけた太陽が反対の空に浮かぶ細い雲をオレンジ色に染めていた。
【第八話】その肩に触れる手は本当に優しいか?
「おいカモ、施設長が二人で事務所に来いってよ」
ある日の午後。
昼食をすませた入居者さん達もほとんど居室に戻り閑散としたフロア。
肩こりのひどいお爺さんはマッサージをするうちにウトウトし始めていた。
と、忙しい昼どきに突然いなくなったかと思えばフロアの喧騒が落ち着いた頃を見計らったようにひょっこり窓から入ってきたおサルさん。
「あ!先輩どこ行ってたんすか。忙しくなるといなくなるのやめてもらえ
【第七話】サルでも作れるシフㇳ表。
「おはようございまーす、センパーイ、何やってんすかー?」
ホームの入口にある大きな木。
そのてっぺんで全身の毛を逆立てた先輩介護士のおサルさんが道行く登校中の小学生たちを威嚇していた。
存分にその野生を丸出しにしたおサルさんに、チビっ子たちはキャッキャと黄色い声をあげながらスマホで写真を撮ったり、落ちている樹の実を投げつけていく。
【第六話】おサルさん介護士、避難訓練で大炎上の巻
「おはざぁーす、あ痛テテテ…」
「何だよ若者が朝から腰押さえちゃって」
僕の顔をみるなり、あっという間に僕の背中に飛び乗ってくるおサルさん。
「あ、先輩おはようございます。イテテテ、ちょっといったん背中から降りてもらっていいですか」
何だよノリ悪ぃな、
と僕の背中からひょいとテーブルに飛び移る。
腰をおさえて座る僕のちょうど目の前にサルさんの股間がぶらさがっている。
【第四話】介護士、禁断の恋に落ち。
「ちょちょちょっと!カモちゃん!
何やってんの!あ〜あビショビショだよ〜」
「あ、、すみません、、植木鉢だと思っちゃって」
「どしたの?今日は朝から何だかボーッとしてるけど、体調でも悪い?」
頭から水をかけられびしょ濡れになった施設長が心配そうに聞いてくる。
「すいません、大丈夫です。」
大丈夫じゃなかった。
─原因はあの女だ。