![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/92909714/rectangle_large_type_2_c1a53df81a1c5c33bfb48b689f682b69.jpeg?width=1200)
『ミザリー』(Misery)
スティーブン・キング読み返し。
![](https://assets.st-note.com/img/1670556835009-qnvCV6hx1h.jpg?width=1200)
大ヒット恋愛小説『ミザリー・シリーズ』
作家ポール・シェルダンは
「ミザリー・シリーズ」に終止符を打とうとしていた。
最終作を書き終たポール・シェルダン。
しかし雪道で自動車事故により瀕死の重傷を負う。
目を覚ました彼の前には
『ミザリー・シリーズ』の熱狂的な愛読者だと自称する
中年女性アニー・ウィルクスだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1670556911775-1t5RtfDfnc.jpg?width=1200)
1990年の映画は鮮烈だった。
ミザリーと聞くと
主演のキャシー・ベイツしか出てこない。
ついでに彼女が演じた役はアニーだ。
ミザリーだと未だに思い込んでいる人は少なくない。
彼女はこの映画でアカデミー主演女優賞を受賞。
後々『タイタニック』にも出演していた。
彼女演じる品の良い貴婦人が
実は
ハンマーを振り回してタイタニックを沈めるのか?!
と想像してしまった。
後年、映画「フライド・グリーン・トマト」で
ハンマーで家の壁をブッ壊していたのだから
意外と外れた想像でもなかった。
(この映画
「ミザリー」のパロディ要素もあったのでアリか)
後日、スティーブン・キングは
彼女を想定した
「黙秘:Dolores Claiborne」を書いている。
ポール・シェルダン役。
大人になるまで
ロイ・シャイダーだと思い込んでいた。
![](https://assets.st-note.com/img/1670557099107-YScv7Ocga8.jpg?width=1200)
スティーブン・キングの実体験をベースに
モデルにもなっているであろう「ジェニーン・アン・ジョーンズ事件」
ーこの事件も 闇深いなあ、と思う。
「ミザリー:Misery」
直訳すると
哀れ・惨めさ・悲嘆
そんな意味になる。
作中のアニーも そんなこと呟いてたような・・・
気のせいか。
![](https://assets.st-note.com/img/1670557659584-EyuGVsH6pt.jpg?width=1200)
雪山の山荘で最終話を書き上げた
ーシャイニングのジャックも小説を書いていた。
もし ジャックの書いていた小説が「ミザリー」で
「ミザリー」の中では「ミザリーの生還」が書かれて・・・
ーオーバールックホテルの見えない筈の住人達なら
そんな壮大なインスピレーションを与えてくれたかも知れない。
ジャックが この時使っていたタイプライター。
ポール・シェルダンが「ミザリー・シリーズ」最終話を
このタイプライターで書いていたら・・・?
ミザリーが希望した「ミザリーの帰還」
ー書き上げたタイプライターが
オーバールックホテルの物だったとしたら。
キング世界が煮込まれた頭の中では
楽しい想像が巡ってしまう。
![](https://assets.st-note.com/img/1670557142650-xFG41s19ND.jpg?width=1200)
スティーブン・キングが帰宅すると
自宅書斎に
ファンを名乗る男が立て籠っていた。
ある時、スティーブン・キングに
しつこくサインをねだるファンが来た。
断っても粘るのでサインすると
そのファンはキング作品について
語り始める。
数年後、
ジョン・レノンが射殺された
ニュースが流れる。
犯人は あの時サインをねだった男だった。
同じ人物かは覚えていない。
そうだったとしたら、怖すぎるだろう。
夢に出てもオカシクナイ!
そう思っていたら
「ダークハーフ:The Dark Half」
「秘密の窓、秘密の庭:Four Past Midnight」
へと繋がっていた。
スティーブン・キング・・・さすが だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1670557185337-rQAWfM8nSl.jpg?width=1200)
もし原作を読むのなら
できることなら 紙の本がいい。
電子版では再現しきれていない作品のポイントが
目で確認できて、より一層恐怖が深まる。
(原書が一番いいのだが、ネイティヴな方に任せよう)
![](https://assets.st-note.com/img/1670557404990-iM8MNxVlIl.jpg?width=1200)
作中
アニーによって警官が殺害されるシーンが出てくる。
映画では老警官が射殺された。
なのだが
小説だと、その方法が えげつない。
殺害されたのは若い警官。
手を芝刈り機で切断され、
背中に杭を突き立てられる。
映画でインパクト絶大だった
動けないポール・シェルダンの
足首がハンマーで折られるシーン。
小説では
足首を斧でバッサリ切断!
指なんか
小型の電動のこぎりで切断・・・
アニーの狂気の程が
実によく表現されているのだが・・・
映画以上に
めちゃくちゃ痛い!
何度読み返しても
この辺りのシーンは「痛い!痛い!」と
声に出してしまう。
![](https://assets.st-note.com/img/1670557812771-y1n4MDX9qq.jpg?width=1200)
文庫だと500ページ?600ページ?
十分なボリューム。
動けないポール・シェルダンの寝ているベッドと
その周囲だけしか 出てこない。
舞台が極めて狭いにも関わらず
読みながら
何時しかポール・シェルダンにシンクロしている。
![](https://assets.st-note.com/img/1670556986155-aaxpnoq85Z.jpg?width=1200)
スティーブン・キングは
小説という触媒を使って
読者を「作品世界」へと召喚しているに違いない。
煮込まれた魔法使いの鍋の中身には
そんなモノも詰まっている。
ドラマ「キャッスルロック」
アニーのエピソード。
女優さんは美人との誉高い方なのだが
登場した瞬間
「アニー」だった。
この記事が参加している募集
よろしければサポートお願いします。 クリエイターとしての活動資金に使わせていただきます。