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相手をわかった気になることの危うさ、純粋に相手に興味を持ち続けることの大切さ

大人になると、経験から無意識に「この場合は大体こんな感じになって、こんな結果になるだろう」みたいな独自の法則のようなものを生み出してしまう。

職場やプライベートなどでも新しい人間関係に関わると、「あー、こういうタイプって学生時代にいたわ」「前の職場にこんな人いたわー」といった具合に、「真新しい人間関係」のはずがどこか「過去の人間関係」を投影してしまう。

そこそこ大人になってくると過去の失敗から人間関係のパターンを分析する。これから起こるであろうトラブルを予測し、なるべく回避したいと思うだろう。私もその1人である。

「こういう人、過去にも私の世界(身の周り)に登場してきたわ」と思いたくなるし、(というか思う。)なんならそれを世間では、経験値とか人生経験とかって呼ぶのかもしれない。

しかしそれは所詮、過去の人間関係の投影に過ぎないと思う。その人の中に「過去に登場してきた人間」を投影し、「こういう人だ」と決めつけることによってトラブルが生じる。それは事実ではなくて、投影だからだ。

人間関係のトラブルの全ては、この「投影」が原因だと言っても過言ではないと思う。自分の感じたことが全て真実だと思うことは、現実をしっかりと認識できていないことと等しい。

所詮「自分というフィルターを通して見た相手」であり、過去に登場してきた人間とは全く別の人間である。

大人になったからこそ、先入観に負けずきちんとニュートラルに、そしていかにフラットな視点で、新しく出会った人間を見ることができるかということを大切にする必要がある。

これは、いかにもやばそうな人にも先入観をもたずに、わざわざ接していけという話ではない。ざっくり言うならば、初対面の人間の人格を決めつけるようなことを無意識にしている自分に気づき、その自覚を頭の隅に置いておくような感覚だ。

自分語りになるが私は以前、2回くらいしか会ったことのない異性に「絶対居酒屋でバイトしてたでしょ」と(私が飲み終わったグラスやお皿を机の端に寄せている様子を見て)唐突に言われたことがある。私は居酒屋でバイトをしていたことはない。

またとある異性には、初対面で少し話しただけで「大体(私の)性格わかったわ」と言われたこともある。

上記に挙げた異性2人に恐らく悪気はない。いわゆる2人とも場の空気や相手の感情に敏感で、良くも悪くも察することが得意なタイプだったのだろう(これも私の投影と言えば、それまでだが)。

しかしやはり2人に共通することは「決めつけ」である。恐らく2人ともそこそこ人を見る目にそれなりに自信があるのだろう。しかし人間はそこまで単純じゃないし、初対面とか2回目で相手の人格が大体わかるなんてことはない。初対面では取り繕いがちな私は、余計そう感じた。

言い方は悪いが浅はかだと思った。まだ前者の異性は疑問として私に投げかけてきたので「違うよ」と口に出して否定できた。

しかし後者の異性に対しては「大体性格がわかった」と言われただけなので、変に反論するわけにもいかず、ただモヤモヤだけが残った。

口には出さないにせよ、私も心の中でこういったことを人に思いがちである。いざ自分がやられるとこうも不快なのか、と身にしみて感じた出来事だった。この体験があったからこそ、「大人になった今こそ、ニュートラルに相手に興味を持とう」と思い直すきっかけになった。