見出し画像

図書館の”気になるクラシックCD”を、いろいろ聴いてみる#9

図書館にある”気になるクラシックCD”。
今回は近年、近い存在になってきた現代音楽のひとつカテゴリーをの作品を借りてきた。

それは「ミニマル・ミュージック」。

今ではオーケストラの演奏会でも、その作品が取り上げられる機会が増え、現代音楽の中でも、かなり認知が進んでいる。

「ミニマル」(minimal)とは、「最小の」という意味。つまり、ミニマル・ミュージックとは「最小の(音の変化にとどめた)音楽」。

音楽にはいくつもメロディが出てきて重なり合ったり、音の強弱があったり、調性がいろいろ変化したり、それが面白いところでもあるのだが、「ミニマル・ミュージック」は、それを最小の変化に留めることが目的。その結果として、ひとつの単純なフレーズとリズムが繰り返され続けるように聞こえるのが大きな特徴となる。

それは執拗なまでに繰り返されるが、少しづつ変化が起こっていく。そして、いつの間にか最初とはちょっと違うものになっていたりする。

「なんだかつまらなそう」と、最初は思っていたのだが、意外や意外、これが面白い。同じフレーズが繰り返されるということは次も同じフレーズが来るので、それを予測することができるのだが、その予測をずらすような展開が行われると「おおっ」と引き込まれるようになる。「そして次は?」という期待感から、同じフレーズとリズムに耳を傾け続けることになる。

代表的な作曲家で、今日取り上げられる機会が多いのは、スティーブ・ライヒやフィリップ・グラス、ジョン・アダムズ。宮崎駿監督アニメの音楽を作曲したことで知られる久石譲も、最初はミニマル・ミュージックの作曲家として活動を始めている。

今回はスティーブ・ライヒの作品を聴いてみることにした。

画像1

シックス・マリンバス(6台のマリンバ)
  ボブ・ベッカー、コリー・グロスマン、ラス・ハーテンベルガー
  ジェームス・プレイス、ビル・ルイレ、ウィリアム・トリッグ
 (以上、マリンバ)

タイトルの通り、6台のマリンバが延々と同じメロディとリズムを叩き、少しづつ変化しながら進んでいく。若干の強弱が起こるのだが、これが滔々と流れる音楽の帯にうねりを起こしている。

それにしても、マリンバの柔らかい音色は心地よい。この木の乾いた音は、なにか原始的な音楽に立ち返るように感じさせられる。

カフェで集中するとき、周りの雑音消しとして、森の中の鳥の声、とか、波の音、滝の音のCDをスマホに入れてイヤフォンから流している。メロディがある音楽だと聞き入ってしまうので全く集中できないからだ。

その代わりにもできそうだ。と思い、実際やってみたのだが、徐々に変化していく過程が気になって、結局音楽に集中してしまい、手元の作業が遅れることになった。

意外にも虜になってしまうミニマル・ミュージック。取っつきにくい現代音楽に近づくには、良い入口になるかもしれない。

それにしても、6人がずーっとマリンバを同じリズムで叩いているわけだが、自分がどこでどう入り、どう変化させればいいのか、楽譜があっても数え間違いしたりしてグダグダにならないのだろうか。と心配になる。

これを聴いていて、ふと思い出した曲がある。

「チューブラー・ベルズ(パート1)」という曲。

ホラー映画「エクソシスト」のテーマ音楽として超有名なものである。ミニマル要素はあるのだが、多重録音したプログレという位置づけ。約25分もの長さである。

私はホラー映画は見ることができないので、音楽しか知らないのだが。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?