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FCバルセロナ選手別レビュー【FW編】 

 7月も終わりますね。そして!来たね!レヴァンドフスキ!見てるこっちが不安になるほどトントン拍子で補強が進んでいく今日この頃です。クンデも取っちゃって、まだアスピリクエタだとかなんとか噂があるんですからね。

 放出はここにきて停滞しまくっているようですが、契約解除なりなんなりで帳尻を合わせるのでしょう。チャビというカードをここで切ってしまった以上、ラポルタも必死なのです。


 とかいろいろ導入を考えてたんですが、遅れに遅れまして開幕戦が終わってしまいました。順風満帆とはいかないスタートですが、開幕戦の結果が当てにならないことはみんな分かっているはずです。なんたって去年の今ごろは4-2の撃ち合いを制して喜んでたんですからね。焦らずじっくり見ていきたい。

 ということで、ここからはテコ入れがかなり進んだFW陣の番でございます。これまでの分はここから!



7.ウスマン・デンべレ

1943’(32試合)2G13A イエロー4(退場なし)

 前半戦はほぼ負傷でおらず、クーマンは一切彼に頼ることができないまま解任されてしまった。戻ってきてからも契約更新がまったく進まずごたごたしていたが、最終的にきれいにシーズンを終えられたのはそのパフォーマンスあってのことだろう。まさに無双と言っていい活躍を見せたデンべレは、ベンゼマを抑えてラ・リーガのアシスト王となったのであった。
 この人の評価が難しいのは、ひとえに計算のしにくさであろう。バルセロナに来てからフルシーズンを無事で乗り切ったことは一度もなく、つかみどころのなさもピッチ内外で幾度となく発揮されてきた。来季はエースとなれるか、それとも一転して放出候補か。キャリアの分岐点はここからである。


7.アントワーヌ・グリーズマン

264’(3試合)0G0A イエローなし

 メッシがいなくなってしまったチームで攻撃の中心を担うかと思われたが、アトレティコへのレンタルが決定。自ら飛び出してきた実家に帰ることになった。
 超高額の移籍金や給与に見合う働きを見せてくれたとは言い難かったが、メッシがいる中でどうせいっちゅうねん!というところは確実にあったはず。好きな選手だったのもチャビの下で見たかったのも本当だが、やっぱりアトレティコのユニフォームが似合うよね。



9.メンフィス・デパイ

2476’(37試合)13G2A イエロー4(退場なし)

 クーマンに連れられてやってきたオランダのエースは、期待通り攻撃の中心としてチームを引っ張った。メッシがいたら苦労したんだろうな~と思えるような俺様ストライカーは、軸を失った攻撃陣を牽引する頼れる兄貴として活躍。見栄えのするフェイントや曲芸のようなトラップ、パンチ力のあるシュートなど、華のあるプレーぶりで瞬く間にクレの心をわし掴みにした。
 チャビが就任してからはベンチに座る機会が増えたが、最終的なゴールへの関与数はデンべレと同じ。自分でボールを持っていない時の貢献にはまだ向上の余地が残されているが、こういう決めるべきところで決められるヤツは心強い存在である。
 とはいえ、契約年数や加入選手のことを考えると売却候補のひとりであることも事実。ベンチに座っているよりは、他のチームで王様やってるのを見たい。


10.アンス・ファティ



 歯を食いしばりながら、そして涙を流しながら戦った1年だった。戻ってくるはずだと丸を付けた日付が何度通り過ぎようと、アンスはくじけずに戦ってきた。
 結局いちども完璧なコンディションで試合に臨むことはなかったが、彼が本物であることは未だに誰も疑っていない。なにせこの出場時間でチーム内5位(冬移籍組を除けば3位)の得点を記録しているのだ。キレのあるドリブル突破こそ見られなかったが、その得点能力はいつか見たものと同じままである。
 だからこそ、来シーズンこそ飛躍の年になってくれ!とは言わない。まずは無理をせず、健康にシーズンを終えることを目指してほしい。


11.アダマ・トラオレ

734’(17試合)0G4A イエローなし (冬加入)


 筋肉!スピード!ドリブル!イエーーーーーー!!!!






 はい、ということでね。とにかく印象に残る選手だった。相手が何人いようが構わず縦に突破し、クロスを上げる。基本的にそれしかやらないが、それだけだと分かっていても止められない唯一無二の能力を持っていた。
 だがしかし、そのプレーがどれくらい実効性のあるものだったかという部分では話が違ってくる。彼のクロスを待っていたのはオーバメヤンやフェラン・トーレスで、どちらも打点の高いヘディングを武器とする選手ではなかったのである。
 そもそも、縦に抜けられていたと言っても、それは相手の誘導に乗った上でのことだった。無理やり突撃し、相手から遠ざかりながらふんわりと上げたクロスは味方の頭上を越えていき、届きそうなボールのほとんどは相手CBにクリアされた。対策に人数を割かなければならない選手ではあったが、対策が難しい選手ではなかった、というのが正直なところだったのかもしれない。
 それでも、分かっていても止められないその特殊性はハマればとんでもない威力を発揮すること請け合い。所属元のウルブスがどういう判断をするかは分からないが、これからも暴走列車として走り続けてほしい。


12.マルティン・ブライスワイト

248’(5試合)2G1A イエローなし

 開幕戦でまさかのドブレーテをかまし、変なダンスでペドリを困惑させたのがシーズンのハイライトだったのかもしれない。その後は負傷離脱後に無理をして復帰までの期間が延びてしまい、帰ってきたころには前線に彼の出場できるような隙間はもはやなかった。
 バロンドールを抱えている姿のコラ画像が大量に出回るなど、クレに愛された所以は常にひたむきに全力を尽くすその姿勢だろう。技術はなくとも、身体を張り駆けまわるその姿は見るものに力を与えるだけでなく、前線の駒やそのタイプが限定される中で彼にしかできない役割も確かにあった。
 さすがに大補強が敢行された今後のチームでは出番はないはずなので、新天地で頑張ってもらうことにしたい。契約を解除するとかなんとか、いろんな話が出回っている現在。果たして彼が選ぶのはどのような道なのか。


14.ピエール・エメリク・オーバメヤン

1514’(23試合)13G1A イエローなし

 「オーバメヤンがバルセロナの空港に来ているらしい」

 そんな事件が起きたのは冬の移籍市場もおしまいに差し掛かる頃。単なる噂でしかなかった情報は一気に加速し、ラポルタがサムズアップして満面の笑みを浮かべるまではそう長くかからなかった。
 ラポルタに負けず劣らずの幸せそうな笑顔でバルセロナに到着したオーバメヤンは、そこから半年で13ゴールを決めてチーム内得点王(メンフィスと同率一位)に輝くことになる。デンべレとのホットラインは常に脅威となり続け、ついでにバルサに残るように彼を説得するなど本当に多くの面で貢献してくれた。
 ロベルト・レヴァンドフスキの獲得によって出場機会は限定されていくことになるだろうが、この2枚の手札をチャビがどう使っていくかは非常に気になるところである。いずれにせよ、彼がヒーローになる試合は必ずあるはずだ。


17.ルーク・デ・ヨング

936’(29試合)7G1A イエロー1

 クーマンに連れられてやってきた2人目のオランダ人FWは、無策クロス戦術の象徴としてひたすらに批判を浴びせられた。クーマンが解任されてからは冬の放出が既定路線とされ、過ぎ去っていく数多の選手たちのひとりとなるのだと皆が思っていたはずだ。
 そのルーク・デ・ヨングがどのようにバルセロナでのキャリアを終え、カンプノウを去ったのか。このチームを追っていた人々の中に、それを知らないものはいないはず。

 そう、彼は英雄として、英雄のままチームを去ったのである。

 そしてどうやら、復帰した古巣PSVアイントフォーヘンでも5試合で2G4Aと大暴れしているらしい。流石だぜ、俺たちのルーク・デ・ヨング!

 


19.セルヒオ・アグエロ

165’(5試合)1G イエローなし

 共にプレーするはずだった大親友メッシは、まさかの登録不可能という形で入れ違いにチームを去った。本人もコンディションがなかなか整わず、バルセロナでのデビューは10月17日のラ・リーガ9節にまで持ち越された。
 それでも、常に楽しげに振舞い、チームの一員としてバルセロナでの暮らしを満喫するアグエロの姿は、傷ついたファンの心を虜にするには十分すぎた。ベンチでカメラに気づいた途端、セルジ・ロベルトにイムノを教えてもらい始めたりね。
 そんなアグエロが、シーズン半ばにして引退という選択をせざるを得なくなるなんて誰が予想しただろうか。デビューから2週間も経っていない10月30日のラ・リーガ第12節、アラベスとの試合が彼とのラストマッチとなってしまった。
 バルセロナでのキャリアは短いものだった。ゴールだって1点だけだ。エル・クラシコで決めた1点。2-0の状況で74分に投入され、96分にネットを揺らした。勝敗には関係のない得点。それでも、あのゴールを忘れることはきっとない。


19.フェラン・トーレス

1868’(24試合)6G6A

 冬加入組の中で群を抜いて高い5500万ユーロという移籍金で加入。よくわかんないけど点には絡む、と聞いていたのだがそれも納得のプレーぶりだった。というのも、とにかくチャンスに顔を出せるのだ。周囲と被らず、邪魔せず、それでいて相手選手からは鬱陶しがられるくらいの位置を浮遊しながらゴール前に突入するいやらしさ。幾度となくシュートを放てるのは、いるべき場所がきちんと理解できているからなのだ。
 しかし、問題もひとつある。肝心のシュートが、ちっとも枠に飛ばないのだ。もうびっくりするぐらいに。
 こういうものは気持ちの面も関係しているはずで、実際にチャビもいずれシュートが入るようになると言っていた。スアレスだって最初はそうだったんだってね。信じてるぞ!

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