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FCバルセロナ選手別レビュー【MF編】

ここまで書いてきて実感してるんですが、人の記憶って薄れていくものなんですよね。ということで、全試合レビューを書いてないせいでここまでの道のりが思い出せなくなってきております。こっちも必死なんです、よろしくお願いします。

というか、冬に一旦中間レビューみたいなものを挟んだほうがいいですね。選手の入れ替わりもあることですし。冬にがっつり動くと人数が多い!来年はそうします!


後ろの人達はこちら。まだ読んでないよって人はぜひ。


MF

5.セルヒオ・ブスケツ

4420’(51試合) 3G1A イエロー14(退場なし) 

 バルセロナの心臓は、今年も外せない選手として君臨し続けた。リケルメが「中盤の底で10番のようにプレーし、全てを上手くこなせるのはブスケツだけ」と評したように、ゲームを作る力とカウンターを阻止する力を高次元で併せ持つ特異な存在。ずっと俺たちのターン!を実現させつつキーパスだって突き刺せる、ボールを保持するチームで必要とされる能力を煮詰めて作られたような選手である。
 身体能力は常に弱点として語られているが、最近は身体的に恵まれていないわけじゃないよな〜と思ったり。だって189cmあるんだぜ?エアバトルでも頼りになる上、懐の深さでなかなかボールを奪われない。カウンター阻止の際も、この長い脚がにゅっと伸びてきて相手を引っ掛けるのだ。やっぱり反則だと思います。


6.リキ・プッチ


155’(18試合) 1G0A イエロー0 

 華奢な身体で相手をひらりと躱し、予想もしない縦パスを差し込むいかにもカンテラーノらしい選手。華があって見ていて楽しいのだが、どこか危うさが拭えないリスキーなプレー選択が起用を躊躇させる一因かもしれない。
 プレッシングは上手いのだが、非保持で計算できる選手ではないのも難しい。起用するなら彼がブロックに入らなくてすむようチームの形を決める必要があるため、それと引き換えとなるメリットを提示できないと厳しいのだ。
 バルサ愛によって移籍を拒んできたが、キャリアを考えるとそろそろ新天地を探す必要がありそう。ほら見たことか!と言ってくれる日を楽しみにしています。


8.ミラレム・ピャニッチ

1867’(26試合) 0G4A イエロー6(退場1) ※ベシクタシュでの成績

 バルサへの移籍が決定した際には涙を流すほど喜んでいたが、チャビ2世と見込まれていたアルトゥールとのトレードで加入したことで厳しい目が多かったことは否めない。それでも頑張るぞ!というモチベーションがどこまで残っていたかは分からないが、クーマンとどうにも反りが合わず、シーズン開始からトルコにレンタルされていった。
 ピボーテをやるには非保持で説得力がなく、インテリオールをやるほど推進力や局面打開力があるわけではない。加えて年俸の高さなどもあって、来シーズンも構想には入っていなさそう。まだ老け込むには早いはずで、どこか違うチームでもう一花咲かせられるはず。

11.ユスフ・デミル

290’(9試合) 0G0A イエロー0
658’(14試合) 1G0A イエロー2(退場なし) ※ラピード・ウィーンでの成績

 2003年生まれの小柄なレフティは、デビューシーズンでいきなりトップチームに登録され11番を着用。左利きのアタッカーが軒並みいなくなったシーズンというのを差し引いても、これはさぞかし期待されているのだろうと思わせてくれるシチュエーションである。
 しかし現実は筋書き通りには行かないもので、買取義務が発生する10試合まであと1試合というところでピタリと出番がなくなった。ウイングをやるにはスピードが足りず、中盤で起用するには非保持が不安ということで1000万ユーロを支払うには至らなかったのは納得。はじめはB登録なりで経験を積める形ならやりようはあったかもしれないけどね。ベンフィカ戦で惜しいシュートを放ち、観客を煽っていたのはいいシーンだった。


14.フェリペ・コウチーニョ

608’(16試合/冬にレンタル) 2G0A イエロー1(退場なし)
1338’(19試合/冬加入) 5G3A イエロー0(退場なし) ※アストン・ヴィラでの成績

 幾度目かの反逆のシーズンは、またしても半ばにして終わることになってしまった。1億3500万ユーロで加入した選手としての期待はいつしか失望へと変わり、結果が出ないことへの批判が集中した。シーズン通してのG+Aの最高値が16(17/18シーズン9G7A,18/19シーズン11G5A)というのは寂しい数字で、大怪我から復帰した今シーズンも納得のいく数字を残すことはできなかった。
 広いスペースで向かってくるDFを躱すのは抜群に上手いが、待ち構えられると手詰まりになってしまう。周囲が走ってくれる中でピンポイントで狙うスルーパスは上手いが、ワンタッチでテンポよくボールを繋ぐことは少なく流れを壊す。クレはメッシを見慣れているだけに、すべてのプレーが物足りなく思えてしまう。「俺たちのコウチーニョ」になることは、残念ながらできなかったと言うべきだろう。
 それでも、彼がバルセロナに来てくれたことは無駄ではなかったと思いたい。ハッピーエンドではなくとも、彼のゴールにガッツポーズした日々が確かにあったことは覚えておきたい。今までありがとう!



14.ニコ・ゴンサレス

1861’(39試合) 2G2A イエロー7(退場なし)

 28番を背負って出場を重ね、コウチーニョのレンタル移籍で空いた14番を手に入れた大型カンテラーノ。身長が伸びたのはここ数年のことらしい。奪いに来る相手の逆を取って外すうまさは流石ラ・マシアで育っただけはある、と言いたくなるところである。
 しかしチームでの立ち位置はペドリ、フレンキー、ガビに次ぐ4番手で、シーズン終盤にはかなりプレータイムが少なくなってしまった。大きな体でボールを隠すのは上手いのに、いまいちコンタクトプレーやエアバトルでの強さが見えづらいのは、そういったプレーに慣れていないからか。下部組織でやっていたらしいピボーテで見てみたい選手なのだが、チャビはなかなかインテリオール以外で起用してくれない。何か思惑があるのだろうか。


16.ペドリ

1708’(22試合) 5G1A イエロー1

 バルセロナ、スペインA代表、五輪代表の3つのチームで主力選手として活躍し、その勢いのままに突入したシーズン。しかし流石に若さで誤魔化せる負荷ではなかったようで、無理が祟って筋肉系の負傷が多発した。
 それでもいてほしいので早めに復帰させ、また再負傷でお休みという負のスパイラルに突入。結局、ホームでフランクフルトに負けた試合が今季ラストゲームという消化不良な1年になってしまった。主力選手とはいえまだ10代。若いんだから無理するなよ、と肩を叩けるだけの余裕がこのチームにはなかったというのは悲しいポイントである。
 今シーズン、特にチャビが監督に就任してからは高い位置でプレーすることが増え、シュートを打つ回数も増加した(去年は3526分/52試合で4G)。ガラタサライ戦、セビージャ戦で決めたゴールにリオネル・メッシの面影を見た人も少なくないはず。まだまだ成長できる末恐ろしさを楽しみつつ、怪我なくシーズンを過ごすところを見たい。


20.セルジ・ロベルト

567’(12試合) 2G1A イエロー1

 とにかくいない試合が多く、持ち前のユーティリティ性能をまったく発揮することができなかった。契約最終年ということもあり放出か?なんて噂もバンバン出てくるほど存在感がないシーズンだったが、無事に23年までの契約更新が決定。健康でいれば出番はある選手なので、ぜひしっかり試合に出てほしい。
 というか、インテリオールでもサイドバックでも周囲のやりたいことを邪魔しないで動けるというのは凄いと思うのだ。メッシもラキティッチもいないのでサイドバックで出場する試合は少ないはずだが、緊急時に出場できる人間がいるというのはいいものである。
 フレンキーに運ぶドリブルをレクチャーしていたという話を聞いたことがあるような気がするので、来ると言われているケシエにもいろいろ教えてあげてほしい。もうベテランと言われる年齢だしね。


21.フレンキー・デ・ヨング

3527’(47試合) 4G5A イエロー8(退場1)

 フレンキーは今年も主力としてバリバリ働いた。働いたのだが、本当にこの使い方でいいのか?という疑問は未だに消えず。膠着した局面をひとりで解決してしまえる数少ない選手なのに、その能力を十全に発揮できたかというと疑問符がついてしまう。
 2列目からゴール前に突撃する動きはいいオプションになるが、別にそれでシーズン10点取れるような選手でもないのである。スタミナがあるのは確かだが、そればかりで消耗してしまうのはよろしくない。疲れてくるとトランジションが疎かになりがちなタイプだからね。
 テンハフの「フレンキーは動き回るから底でどっしり構えられるシェーネと2ボランチを組ませた」みたいなコメントをfootballistaで読んだが、好き勝手にピッチを駆け回らせるのが活躍の近道なのは間違いない。問題はピボーテの選手がそれをやってしまうと、防御したいスペースがぽっかり空いてしまうところ。そうなるとインテリオールしかない!ということで、ガビが大成すると意外と共存が難しくなる恐れもある。
 フロントが売りたがっているのにはこのあたりの事情もあるのかと思ってみたり。8500万ユーロで買った3年目の選手ともなるとそのあたりの査定もシビアになってくるのだろう。いて欲しい試合は必ずあるはずだが、果たして。


30.ガビ

3135’(48試合)2G6A イエロー15(退場1)

 負けん気とクソ度胸を混ぜて作られた17歳は、瞬く間に世界中にその名を轟かせた。ターンの巧みさ、ドリブルでのコース取りのうまさでウイングでの起用にも応えてみせたが、本来はインテリオールが主戦場。小柄な身体から連想されるイメージとは裏腹に、まったくフィジカルコンタクトを苦にしないのが印象的である。ついでにイエローカードもチーム最多。
 絶対おまえには負けてやんねー、と自分から果敢に相手に向かっていく姿は、若者らしい向こう見ずな危うさを秘めているようにも見える。しかしそのままバルセロナでスタメンの座を掴み、A代表でも当然のようにプレーされてしまってはこちらも脱帽して称えるしかない。怪我するなよ…と怯えるのではなく、「これがガビのスタイルなんだ」と胸を張って拍手を贈るのが筋というものである。でもやっぱり怪我はしないでね。進化していく姿をずっと見ていたいので。

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