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FCバルセロナ 選手別レビュー【GK・DF編】

5月も終わりを迎え、2021-22シーズンも閉幕となりましたね。時間が流れるのは早いもので、チャビがバルセロナの監督に就任してから既に半年が経過しています。

つまりこれは僕がマッチレビューを書き始めてから半年が経過したということを示しているのですが、恐ろしいことにこの期間にアップされた記事は8本のみ。いや~、厳しいです。来季こそは頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

そんなことはさておき、シーズンが終わったら何をするべきか?ということで、今回は選手別レビューをします。移籍の話で盛り上がるぞ!とか言ってられる状況じゃないんでね。フレンキーを売らないと首が回らないとか、そういう話はもううんざりなんですよ。レヴァンドフスキの梯子を外すような事態も普通にありそう、それが今のバルセロナです。

ここでテンションを下げてても仕方ないので、早速いってみましょう。評価ごとに並べるやり方も考えたんですが、やっぱりここはポジション別に。ランク付けられるほどちゃんと見てもいないですしね。


MF陣はこちら!

GK

1.テア・シュテーゲン

4470'(49試合)57失点 クリーンシート15 平均勝ち点1.67

シーズン序盤は怪我で出遅れ、復帰後も不安定なパフォーマンスで批判に晒された。GKのパフォーマンスは守備のやり方にも左右されるので一概には言えないが、過去にあった絶大な存在感は薄れてきているようにも思える。某白いチームの2mさんほどの無敵感がある選手ではもはやない。
ただ、今季もまた彼に救われた試合は多かった。守備陣に怪我人が多発した中で、止めてくれたことでなんとかやり過ごせた場面は何度もあった。さらにビルドアップでのGKの貢献が欠かせないこのチームにあって、両足で気軽にSBへ通せるこのパス能力は今後も重宝するだろう。
GKに金を使っていられる台所事情も考えると、テア・シュテーゲンの復活がチームが再浮上するためには欠かせない。しっかりオフを取って臨める来シーズンでは、世代交代論を吹き飛ばすパフォーマンスを期待したい。


13.ネト

360'(4試合)5失点 クリーンシートなし 平均勝ち点2.50

カップ戦でも出場ほぼないのかよ!と本人が思っていたかは知らないが、リーガ制覇が絶望的になった煽りを受けて出場機会が減少してしまった。上背もあり、反応も速いのだがやはり広大なDFライン裏のスペースを守るのは不得手。さらに足元の技術もそんなにということで、うちじゃないチームのほうが輝けるよ君はと言いたくなる。
それでも、出番の回ってきたリーガ最終節ではキックやパスコースの選び方がうまくなっており、練習での努力の跡がみられた。放出候補の一人ではあるが、移籍先では必ず活躍できるはず。


26.イニャキ・ペーニャ

720'(8試合/冬に移籍) 11失点 クリーンシート1

シーズン前半では出場がなく、トルコの強豪ガラタサライへローン移籍。ELではバルセロナとも対戦し、数々のビッグセーブでバルセロナを苦しめた。
3/17のバルセロナ戦2ndレグまではスタメンを任されていたようだが、3/20からは一切試合に出ていない。ウルグアイ代表のムスレラおじさんが2月末まで怪我をしていたようなので、彼が元気になってお役御免という形になったのだろうか。クオリティは間違いないことを示してくれたので、来季は2ndGKとしてベンチ入りするかも。

DF

2.セルジーニョ・デスト

2042'(31試合)0G3A イエロー3(退場なし)平均勝ち点1.52

クーマンには重用されていたが、チャビが就任してからはなかなか出番を得られず。やっと試合に絡めるようになってからは怪我が続き、不完全燃焼のシーズンとなってしまった。大外でクロスを上げまくり、右のWGでも使われていたところから急にボランチの位置に入ってプレーしてね、と言われても戸惑うのは当然である。
スピードがあって小回りも効くが、馬力がないのとキックの種類も多くないのでそこに置くのが正解なのか?みたいな部分はあったりなかったり。稼働率も考えると、換金したくなる気持ちも分からなくはない。数少ない数字が見込める選手だしね。
チャビのオーダーに応えようと奮闘する姿が好きなので、個人的には残ってほしい。アウヴェスとチャビの指導を受けて成長するためにも、とにかく健康体でいてくれることを願うばかりです。


3.ジェラール・ピケ

3101'(40試合)3G0A イエロー11(退場1)平均勝ち点1.73

いなくならないと分からない、そんな有難みに気づけたことに感謝していきたい。なんて良く分からないことを言いたくなる、そんなシーズンだった。
リーガの開幕戦でいきなりゴールを決めたときは「このシーズン・・・いける!!!」と思ったものだが、ところがどっこいそうはいきませんでした。ピケ御大も寄る年波には勝てず、試合中に脚を押さえて顔をしかめるシーンが何度も。膝や内転筋の怪我で戦列を離れることが多く、そのたびにチームは失点を重ねた。
エアバトルの強さ、ビルドアップ能力、DFラインの統率などの能力を全てハイレベルで備えているがゆえに、ピケがいなくなるとどうしても守備陣が不安定になってしまう。強行出場からの途中交代で離脱期間が伸びてしまう悪循環に陥ってしまった背景に、彼の空けた穴を埋めきれないチーム事情があったことは間違いない。
チームのリーダー格としても欠かせない存在で、大事な試合にピケなしで挑むなんて考えたくもない。だからこそ、彼を休ませるための補強が必要だと認識させられる、少し切ないシーズンになってしまった。


4.ロナルド・アラウホ

3270'(43試合)4G0A イエロー7(退場なし)平均勝ち点1.84

上背があり、スピードがあり、パワーがあり、そして勇気も人一倍。守備者として求められる能力を高い次元で揃えた若武者は、チームに欠かせない存在としてDFラインに君臨した。
相手が裏に抜ければ楽々先回りしてボールをカットし、不用意に仕掛けてくれば簡単に弾き飛ばしてしまう。フィジカルの怪物は小気味よくパスを回すバルセロナのイメージにはそぐわないが、ボール保持に拘るからこそ背後のスペースを守れるCBは絶対的に必要な存在になる。
そこへきてこのウルグアージョは完璧に仕事をこなしてみせた。完全に抜け出した相手がシュート態勢を整える、その僅かな時間でさえアラウホには充分なのだ。
そして課題のビルドアップも、試合数を重ねるとともに上達していく様子が見て取れる。有り余る筋力から繰り出される殺人縦パスをカットできる相手はそう多くないが、それをトラップする者にも相応の覚悟が求められるのが難点。焦って蹴らずにトライしているのはいいね。


8.ダニエウ・アウヴェス

1392'(17試合/冬加入)1G4A イエロー3 レッド1(退場1)平均勝ち点2.24

古巣の窮地を救うべく駆けつけたレジェンドは、ラ・リーガ再デビュー戦となるアトレティコとの対決でいきなり大暴れ。絶妙なポジショニングで効果的にボールを前進させ、チームが上昇気流に乗るきっかけを作った。
守備面では流石に身体がついていかず、ファウルで止めるしかない場面もたびたび。それでも、デストが負傷がちな中で「ダニエウ・アウヴェスここにあり」ということを存分に示す働きぶりを見せてくれた。
近年のバルセロナの移籍市場は、ある意味で常にこの人の幻影を追い続ける日々だった。新たなアウヴェスになれるのか?というプレッシャーに打ち勝つ選手はおらず、どんな選手を獲得しても物足りなさが残る。そういう意味では、バルサの右サイドバックというポジションはずっとこの人のものだったのだろう。


15.クレモン・ラングレ

1235'(27試合)0G1A イエロー5(退場なし)平均勝ち点1.81

スペック的にはもっと活躍できるはずなんだけどな、という印象は変わらず。なんとなく信頼感がないまま1年を過ごすことになってしまった。
元々は鋭い出足でカウンターの芽を潰すプレーを得意としており、左足でのボール扱いのうまさも相まってチャビには気に入られるんじゃないかと思っていた。のだが、センターバックの4番手という扱いに降格。スタメンクラスの選手たちに怪我が多かったために試合数はそれなりに伸びたが、満足いくシーズンだったとはとても言えないだろう。
リスクを持って前に出るプレーも、本人に迷いがあるのかワンテンポ遅れたアタックが増えてしまいファールが嵩んだのが残念。冷静に攻撃をシャットアウトしていた姿は、結果が出なかったことで覇気がないと批判の的になってしまった。もっとやれるはずなんだけどな…


18.ジョルディ・アルバ

3893'(44試合)3G12A イエロー14(退場なし)平均勝ち点1.80

トップチーム唯一の左サイドバックは、ラ・リーガ2位タイの10アシストを記録した。左サイドをひたすら上下動するアグレッシブさは抑え気味に、体を労わりながらのプレーでこの数字だ。訳が分からない。
チャビが到着してからは特に、後方からチームを助ける役割が増えた。蹴れるボールの種類が多くないので下手くそと言われ続けているが、実はキックの質は特筆すべきものがある。ビルドアップを助けながら、ラストパスも狙える選手がサイドバックにいると相手はなかなか対策が難しいのだった。全体が押し込まれた中で、ペナルティーエリア前に現れる左サイドバックを掴まえておくなんて芸当は基本的にできっこないのである。
メッシがいなくなったことで攻撃参加の威力が落ちるのではと危惧されていたが、それどころか依存度が上がった感すらある。
さすがにこの体制のまま行くと大怪我をしそうなので、バックアッパーは確保しておきたい。


22.オスカル・ミンゲサ

1340'(27試合)0G2A イエロー2(退場なし)平均勝ち点1.59

クーマンによるリスク上等の突撃3バックスタイルでは成功を収めたが、4バックで普通に守るようになってからは帯に短したすきに長しという状態に。サイドバックができるほど器用ではないが、かといって安心して真ん中を任せられるほどの信頼感はなかった。
馬力がある程度あって足が速く、守備のユーティリティとして置いておきたくなる能力構成ではある。問題は相手を遅らせるということができないことと、ハイボール処理の苦手さ。ヘディングが弱いとかそういう話ではなく、ボールの落下地点を見極めるのがうまくなさそうなのが厳しい。
左サイドバックのアラウホへアーリークロスを合わせてアシスト!なんて冗談みたいなシーンもあり楽しませてもらったが、おそらくチャビの構想には入っていない。うまく嵌るチームが見つかるといいね。


23.サミュエル・ウンティティ

90'(1試合)0G0A イエロー1(退場なし)平均勝ち点1.00

出場時間を見ていただいても分かると思うが、まったくと言っていいほど試合に絡めなかった。ちなみに一度きりの出場はオサスナと対戦したラ・リーガ17節で、ダビド・ガルシアとチミー・アビラに決められて2-2で引き分けている。イエローカードは96分に異議でもらったものだ。
トップフォームを取り戻せばスタメンも確実視される選手のはずだが、いかんせん体調がまったく整わないまま1年が過ぎた。「契約を延長して1年あたりの支払額を減らす」というウルトラCによって財政への圧迫度合いを弱めた逆転の発想は見事だったが、このままだと不良債権化している現状は変わりそうにない。問題は彼が満足するオファーを出すクラブが現れるかどうかだ。


24.エリック・ガルシア

2808'(36試合)0G0A イエロー8 レッド1(退場2)平均勝ち点1.81

干されながらも契約満了を選んだことで、マンチェスターからの悪評ふんぷんの状態でチームに加入した。ボール扱いが上手いのは知っての通りだが、そのイメージとは裏腹に気持ちを前面に出して戦うタイプ。クラシコではヴィニシウスを挑発し倒し、将来バロンドールを取るんだろ?と煽ったシーンの切り抜きが出回るなどした。
ただ、こうやって相手を挑発するのは、身長の高さや身体能力による優位性を持たずに戦うための手段のひとつ。相当な集中力がないとこのレベルでやっていくのは厳しいはずで、実際に長期離脱からの復帰戦や慣れないサイドバックでの出場では露骨にミスが増えたりもしている。
それでも、周囲を叱咤激励し、自らも必死にプレーする姿を見ていると応援せずにはいられない。苦い経験もたくさんするだろうが、それを糧に成長できる選手のはず。






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