見出し画像

【2週間越しのデビュー】ラ・リーガ第3節 ラージョ・バジェカーノ 対 FCバルセロナ マッチレビュー【24/25】

第3節でもうミッドウィーク開催の試合がやってきた。ネーションズリーグやるからってアンタ、ユーロもオリンピックもやった後じゃないの?ちょっとは自制ってもんを覚えたらどうなのかしら。大変なのは選手なんだからね。

前節から1週間空かないというところでダニ・オルモの登録が叶うのか若干心配だったが、なんとかここでお目見えということになりそうなバルセロナ。ハメス・ロドリゲスのほうが先にピッチに立つなんてことにならなくて本当に良かったです。

ラージョのホームスタジアムであるバジェカスはバルサにとってまさに鬼門というべき場所で、ここ3年のリーグ戦3試合で得た勝ち点はたったの1。フリックはその呪いを打ち破ることができるのか。

スターティングメンバー

バルサはダニ・オルモをベンチに置き、前節とほぼ変わらない形でスタート。唯一の変更は左SBのジェラール・マルティンで、これがラ・リーガ初先発となった。いきなりバジェカスなんて大変だね。

ラージョはハメスがまだ調整中ということでベンチ外。ルーマニア代表の青髪爆速野郎ラティウがコンディション不良でベンチに下がり、実はスペイン出身でラ・マシアの所属歴があるアルバニア代表バリウがスタメンとなった。どっちがどっちか分かりにくい。

降格したグラナダ、アルメリアからそれぞれ借りてきたグンバウとエンバルバもベンチスタート。正GKのディミトリエフスキがバレンシアに抜かれたが、昨季は控えだったカルデナスがそのまま立ち位置をひとつ上げたようである。

ちなみにママルダシュビリはローンという形で1年間バレンシアに残るみたいなので、代替として獲得したディミトリエフスキは控えという形に落ち着きそう。ラージョも同じように1年返却してほしい気持ちでいっぱいだろう。本人がどうかは知らないが。


前半

幅の狭いピッチの利点を存分に活かし、前に前に押し出してくるのがラージョのスタイル。食らいついてくるプレッシングと、奪った直後にはすっ飛んでくる後ろの選手の気合がこの迫力を生んでいる。

これまでの相手はまずアンカーを抑え、CBは牽制する程度に留めるプレッシングが多かった。しかしラージョは明確にボールを奪うために仕掛けてくる。

442で守るラージョだが、中盤からウナイ・ロペスがプレスに参加。2トップと連携して出所を潰しにくる。対面のペドリの役割が下がり目ということもあり、どんどん前に出てくる。

両ワイドはSBを見張っており、残るオスカル・バレンティンは背中のハフィーニャを忘れないようにしつつ中央を封鎖。フェランが内側に入ってくるのも気になる重労働である。

名前がかわいい左SBのパチャ・エスピノは風貌もプレー選択も全く可愛げがなく、ヤマル相手にアグレッシブかつ粘り強い対応で1対1を繰り返していた。安心安全のカディス印。

首尾よくボールを奪えばそのままカウンターになだれ込み、ボールサイドのSBが即座に加勢してゴールを目指すのがラージョ流。前に出てくるウナイ・ロペスはそのままターゲット役も務める。

とはいえ毎回そう上手くひっかけられるわけでもなく、うまく敵陣に侵入する機会もあるバルセロナ。しかしラージョは自陣からも安定した陣地回復の手段を有していた。

バルセロナのプレッシングの特徴は、WGが相手のCBに向かって制限を掛けに行くこと。レヴァンドフスキは主にアンカーの選手に張り付くことで移動距離を減らし充電。ヤマルもそこまで強くプレスには行かず、背中のSBへボールを通されることを警戒している。

そこでラージョはフリーになっている左CBのムミンからアンカー脇のイシや外側のアルバロ・ガルシアを窺い、フェランが詰めてくればその上を通してバリウに届ければクリーンに前進できるというわけである。ムミンはボールを扱うのを全く怖がらない選手で、配球役として適任っぽかったのはバルサからすると嫌なポイント。

ちなみにヤマルが前に出ないのは充電させておきたいこと以外に、SBのキャラクターも影響しているような気がする。クンデは元CBだけあってクロス対応に強く、バルデはスプリントを繰り返すことができる。バルデの前にいるSBに向けて浮き球を蹴らせるのはスライドするサイドをこちらで決めたいという意図もありそう。

しかしこの日は左SBがバルデではなくジェラール・マルティン。失点シーンは彼のスライドが若干遅れたこと、オスカル・バレンティンが元々左側(バルサから見て右側)にいたためハフィーニャがマークしており、レヴァンドフスキのタスクが不明瞭だったことが原因になった。

サイドを割られるとベルナルがクロス対応に下がるため、DFラインの前にできたスペースはペドリとハフィーニャが埋める設定になっている。そのため何らかの理由で彼が戻れないとそこそこ失点の可能性が高い。前節ではヤマルが、この試合ではレヴァンドフスキがハフィーニャと配置を入れ替えていたシーンで失点している。

ちなみに地上戦ではムミンからアルバロ・ガルシアやイシに刺し、エスピノが加勢に行く形が多め。守備ではヤマルとやり合い、攻撃に転じると果敢にオーバーラップしてクロスまで行くという重すぎる役割だが涼しい顔でこなしていた。さすがの異常走力。テア・シュテーゲンと揉めて自分の背中をカウンターで突かれるのを防いだシーンもらしさを感じさせた。

先制は前半9分と早い時間だったが、その後も少し重心を下げつつアグレッシブな姿勢は崩さなかったラージョ。ビハインドのバルセロナはクンデを上げてヤマルと連携した突破を狙ったが、異常走力②ことアルバロ・ガルシアが根性でプレスと帰陣を両立させて何とかしていた。押し込まれたらイシも戻ってくる徹底ぶりである。

当然自陣にいる時間は長くなるが、たまにカメージョが頑張ったりなんだりでカウンターも怖さがある。そのままのスコアで試合は折り返しへと向かっていった。


後半

ハーフタイムに動いたのはビハインドのバルセロナ。フェラン・トーレスを下げてダニ・オルモを投入し、ハフィーニャが左サイドに入る。フェランには悪いがいつもの形というやつ。オルモは3節にしてようやくのデビュー戦ということになる。

フェラン・トーレスはランニングに特徴がある選手であり、レヴァンドフスキと入れ替わりながらゴールを目指すのが基本姿勢である。この2人のうち片方とハフィーニャが裏を狙い、残った1人が間受けを狙うのもよくみる形。カウンターシチュエーションではヤマルがドリブルで駆け上がるのを合図に3人が駆け出し、スピーディにゴールを陥れることを狙っていく。

しかしダニ・オルモはよりMF色が強い選手で、連続的なランニングでDFラインと駆け引きするタイプではない。彼が中盤の一角に入ることで、バルセロナはよりボール保持の色を強めていく。

この交代によって、オルモ&ペドリの2人を同じく2人で管理することになったラージョ。当然ながらプレスに突っ込んで奪えるわけもなく、次第に自陣に引きこもる時間が長くなっていく。左に回ったハフィーニャはフェラン・トーレスよりもSBと繋がる意識が強めで、外回りでジェラール・マルティンが持った時に欠かさずランニングしてくれる。

ジェラール・マルティンは常に複数の選択肢を持ちながら立ち回れる選手で、縦に走るハフィーニャと内側のペドリ、奥のレヴァンドフスキやオルモを適宜選びながら前進に関わることができるようになった。前半は選択肢が少なかったもんでな。

押し込まれるラージョはアルバロ・ガルシア、ウナイ・ロペスに代えてエンバルバ、シスを投入。引きこもりの強度を上げる作戦だったのだろうが、そのシスが失点に絡むのだから采配は難しい。

自身とオスカル・バレンティンの間をドリブルで突進するペドリを捕まえきれなかったのはまだしも、そこでなぜかスピードを緩めてしまいゴール前にフリーで駆け込むことを許したのは痛恨すぎるミスだった。60分、ハフィーニャとの距離の長いワンツーでペドリがゴールし同点に追いつく。

その直後、ラージョはデ・フルートス、カメージョに代えてグンバウ、エンテカを投入。さらにオスカル・バレンティンが負傷してしまい、チャバリアを追加で投入した。バルセロナはお疲れのジェラール・マルティンに代えてバルデがピッチに入る。

ラージョはグンバウがペドリ、エンバルバがオルモをそれぞれ見ることにしたようだったが、アクシデントでの配置変更にペドリ&オルモのポジションチェンジが重なって結構グダグダしていた。というかペドリを捕まえられずに失点の原因になっていた。クンデのファールで取り消しになったけど。急に入ってきたチャバリアの周辺に寄っていくペドリは本当に性格が悪い。

このVARチェックが長引く間に相談したのか、ラージョはイシを2トップの一角に戻してエンバルバが右、チャバリアが左の442にシステムを戻してきた。バスケのタイムアウトみたいだな。直後に飲水タイムもあり、両チームともに残りの15分の過ごし方を整理。

その後もバルセロナの猛攻を凌いでいたラージョだったが、82分についに決壊。セットプレー崩れからお互い若干整ったところでヤマルが縦に突破し、マイナスのダニ・オルモに渡してズドン。デビュー戦でいきなり決勝点を決めた姿はユーロで見た姿そのままだった。

試合はそのまま終了したが、最後の最後にカウンター対応に飛び出したベルナルが膝を負傷するアクシデントが。打撲で済んでほしいところだったが前十字靭帯断裂、半月板損傷でシーズンアウトという最悪の結果になってしまった。まだ17歳、強くなって帰ってこい。


見えてきた形

ついに新戦力がピッチに降り立ち、ゴールも決めた。ペドリやヤマルとは代表で共にプレーしただけあって相性抜群だし、左に回ったハフィーニャも元気そうである。というか裏抜けからそのままクロスやワンタッチのシュートを選べるぶん快適そうな気もする。

問題はやはりネガトラの局面で、ハフィーニャが左に回ったことで中盤中央のプロテクトがより難しくなるという側面もあったりする。ペドリとオルモとピボーテ誰かの3人で横幅をカバーするのは現実的ではない。もしかすると試合展開によってハフィーニャとオルモの配置が入れ替わっていくなんてことも今後はあるかもしれない。


2024/8/28 La Liga Matchday 3
Rayo Vallecano1-2 FC Barcelona
Stadium : Estadio de Vallecas
Referee : César Soto Grado






















































































































































































































































































































































































































































































































































この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?