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街づくりを考えるときに知っておきたいある町の存在

ラーメンミュージシャン・井手隊長による巣鴨「すがも園」閉店の記事が出ていました。

「すがも園」は、私もリサーチ協力した「マツコ&有吉 かりそめ天国」で今年4月に放送された『専門家が忖度なしで選ぶガチガチランキング 王道チャーハン編』でも6位に入るなど、塩大福の店ながら町中華好きの熱い視線を集める店として知られていたのでした。

他ならぬ井手隊長からその美味さを聞き、いつかの機会に行かねばと思って課題店としていた矢先、コロナ禍による自粛期間のうちにひっそりと閉業・・・・・・。ついに味わえなかったのが残念でなりません。

この記事で、すがも園のすぐ隣に日高屋経営による中華店の影響が指摘されています。オープンは今年の2月だったようです。

●ハイデイ日高が「中華そば 神寄」1号店立ち上げ
「日高屋」が主力のハイデイ日高は、新業態の開発を加速している。昨年12月に立ち上げた新業態「ちゃんぽん菜ノ宮(さいのみや)」(埼玉・大宮)に続き、今月20日にはラーメン専門店「中華そば 神寄(しんき)」の1号店を東京・巣鴨にオープンした。新業態の開発は、企業としての今後の成長余地拡大や将来的な「日高屋」の品質アップなども見込んで積極化しているもので、ほかにも複数の新業態開発を検討している。

町を考えるとき、私が常に思い浮かべるのは「堀切菖蒲園」という町です。東京都葛飾区にある京成電鉄の駅ですが、住宅地であると同時に小さい工場が混在する地区で、町中華が密集しておりファンには「町中華の聖地」と称されるところです。

駅周辺には「堀切中央商店街」など、地域に密着した5つの商店街があり、加盟店は200以上。典型的な下町という雰囲気で、多くの買い物客で賑わっています。また「堀切菖蒲園」は、ファンには知られたラーメン激戦区。駅徒歩5分以内に、10軒以上のラーメン店がしのぎを削っています。下町情緒が残っているため、区画整理はほぼされていません。道幅が狭いところが多く、高齢者が多いエリアなので、自転車の運転でも細心の注意を図りたいところです。

中華店の多さの割に、ファストフード的なお店は松屋とモスバーガーがあるくらいです。チェーン店が時折進出してくるのですが、既存の個人店が十分に安く、そして常連を多く抱えているせいかビジネス的には難しいようで結果撤退していくという町なのです。

これは堀切という町の下町的な特性や人口分布にも拠ると思いますし、一概にチェーン店の利便性を否定するわけではありませんが、冒頭に挙げた「すがも園閉店」のようなニュースを見ると、町にとって必要なものは何か、周辺住民は心して考えておく必要があると思うのです。確かにチェーン店は便利で美味い。しかし「すがも園」のような味も個性もある店は、なくなれば帰ってくることはありません。

活気がなく、店が歯抜けになった商店街などには常にこの問題がつきまといますが、密集状態をいかに守るかは基本ながらけして忘れてはいけない課題と言えるでしょう。

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