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Footwork & Network vol.16 no.6 人を豊かにする繋がり

2020年11月29日の土曜日の朝、わたしが運営メンバーとして関わっていたオンラインイベント「学校についてのワクワクやモヤモヤを一緒に話しませんか?」が開催された。これはProject Adventure Japan主催の「3Piece │ カフェイベントをつくろう!」というプロジェクトだ。ちなみに3PieceはそれぞれPractice, Portfolio, Positiveを表している。3カ月弱という長い時間をかけてゆっくりと作り上げたこのイベントは、当日9名ほどの参加者が集まってくれた。
イベントの内容としては運営含む参加者がそれぞれ話したいテーマを持ち寄って、この指とまれ方式で気になるテーマでブレイクアウトルームに分かれて話をしていくことを3回ほど繰り返すというもの。集まった人で同じ関心事をじっくり話せて、更に最後は参加者同士で繋がれる時間が生まれたのは良かったなと改めて思う。

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(イベントで出てきた問い)

このイベントの運営メンバーになる機会をくださったのはたーぼうさんという方だった。たーぼうさんは公立高校教員×ワークショップデザイナーのパラレルワーカーをされている。ニコニコ笑顔がたーぼうというニックネームによく合っていて、教員もワークショップデザイナーも全力で楽しんでいらっしゃる印象のあるとても素敵な方だ。
出会ったのは8月19日に行われた「教育」をテーマにじっくりと話す大学講義。といっても、その講義は受講生以外も参加できたオープンな場で(わたしも受講生ではない)、皆で緩く話すオンラインイベントに参加するような感覚だった。
たーぼうさんは仕事の合間を縫って途中20分ほどいらした。皆で自己紹介をし合い、わたしも名前と大学名・学部に加え一言話した。その後主催者の方が“長岡ゼミの子だよ”と付け加えてたーぼうさんに紹介してくださると“カフェゼミに何度か行ったことがあります!”という言葉が返ってきた。思わぬ共通点を知ってたーぼうさんとの〈繋がり〉を感じたわたしは、絶対に後で挨拶しようと決めた。

そしてそのやりとりをきっかけに、その後の講義時間を〈繋がり〉についても考えながら過ごしていた。これまで出会った人とはなるべくFacebookで友達になることをしていても、少しメッセージでやり取りを交わしてそれっきりなことばかりだった。知り合う人の数がだんだん増えていくことは個人的にかなり嬉しいことで間違いはないけど、同時にその人たちとの関係が深まればもっと楽しくなるのでは!?と考えるようになった。更には、人と人が繋がるきっかけになるような場を自分でも作ってみたらおもしろいかもしれない。そう思うと、似た分野に興味を持っている人が集まれるイベントをやってみたい気持ちになった。

講義が終了した後にたーぼうさんへお話を聞いたときの感想をメッセンジャーで送った。いつもならそれでやりとりは終わってしまうけど、今回は〈繋がり〉のことや(ノープランだったし作り方も何も知らなかったけど)イベントをやってみたいということを、少し勇気が必要で勢いに任せる形だったが話してみることにした。ドキドキしながら返信を見ると“開催する時はお手伝いしますよ!”という嬉しいお言葉があり、そのお言葉に甘えて質問を交えたやり取りをいくつかさせて頂いた。その時に“今イベントを一緒に作る会をやっているのでもし良ければ”と、このイベント運営を紹介してくださったのだ。またまた思わぬ展開に驚きが大きかったが、それ以上にたーぼうさんの優しさが嬉しかったし、じわじわと自分がイベントを作る一員になれるのかという実感も沸いて楽しみになった。共通点があるという〈繋がり〉から更に深く新しい関係性を築いていくはじまりの瞬間ということにもワクワクしていた。

その一方でかなり無理やり感があったような気もしていて、申し訳ない気持ちにもなっていた。それでも、その時のことをたーぼうさんに伺うと“いや、めっちゃ嬉しかったよ”と言ってもらえて、これで良かったんだと救われた。更に続けて、“はるかが大学生だからっていうのが大きいと思うな。若い人のチャレンジは応援したいので、声を掛けることが多い”と話してくださった。まともに話したこともなかったわたしに対しても、応援したい気持ちで声を掛けてくださったのは本当に貴重でありがたいことだ。そして大学生でよかった~。それを利用していけばもっといろんな出会いがあるのかもしれない、そんなことを考えていた。

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声を掛けてくださった日から3週間後の9月9日に行われた運営メンバーとの顔合わせで、けーごさんという方に出会った。少し年上のけーごさんは愛媛県で小学校教員1年目をされている。わたしが言うのもなんだか変な感じがするが新任の先生っぽいフレッシュさがあって、ゆったりとした話し方が印象的なとても優しい方だ。
PAJの作るWSに元々参加されていたそうで、PAJの社員の方から紹介を受けて今回運営メンバーとして参画したと教えてくださった。コロナウイルスの影響を受けて学校が休校する中、「自分も何かしないと!」という感情がその裏にはあったという。

そんなけーごさんは、イベント当日メインのファシリテーター(以下ファシリ)をやられた。その役割は他のメンバーからの“けーご、ファシリどうよ?”の言葉から“やってみます!”という流れで決まった。先月行ったインタビューでその時の心境を伺うと、“やるっきゃないって感じだったなぁ。ノリだよね(笑)。PAJの方は皆良い人っていう良い意味でのバイアスと周りに絶大な安心感があったんよね、だからチャレンジできる場だったし自分にもできると思ったなぁ”と話してくださった。また、ファシリの経験については大学時代にサークルで似たことや勉強をされていたけど、ほとんどやったことがないに等しく、またオンラインでは初めての実践だったそう。それでも、当日、場の雰囲気を見ながら探り探りで進めていく姿は、なんだかわたしにはとてもキラキラして見えた。イベントの最後はファシリの一言で締めたのだが、その時にけーごさんが仰った“またファシリやります!”という言葉は今でもわたしの中に衝撃として強く残っている。

それは今まで自分の周りに、何かにチャレンジした後「またやりたい」ではなく「またやります」と言い切る人がほとんどいなかったからだと思う。この言葉は“つくったっていう達成感よね。俺にも作れるんや!”そんな気持ちから出た言葉だったそう。そしてけーごさんに羨ましさを感じたことも事実だった。けーごさんがファシリをやる話が出る前に、自分は他の役割を選んでいたから余計にそう感じたのかもしれない。やろうと思えばできたし、何となくやってみたい思いはあったけど勇気が出ずに結局言い訳をしていた。だからこの言葉を聞いたときには「わたしもやってみるしか!」なんて思った。この衝撃から、自信がなくてもやると楽しいかもしれないしとりあえずやってみなよ!みたいなことを改めて教えてもらった気がする。

1月の終わり頃、けーごさんがたーぼうさん主催の別イベントでファシリをされることを知った。わたしにとってその事実はすごく嬉しいことで、仲間が別の舞台で活躍していくことはすごい!とか応援したい気持ちに溢れるものだった。3月6日にイベントは開催されて、お邪魔させてもらった時も感じたが、人がチャレンジしている姿はとてもキラキラしていて自分もがんばろうと刺激をくれるものだと思う。
実際にわたしは今NPOで高校生のための場づくりに毎週チャレンジしている。楽しい反面、思っていた以上にできないし大変で落ち込むこともあるが、その時はいつもけーごさんの言葉や姿を思い出して、頑張ろう!と活力をもらっている。

そんなけーごさんの更なるチャレンジは“先日の教育に関心のある高校生や学生と対話をする機会(3月6日のイベント)をいただいてから、もっとそういう場に参加したいなぁと思いました!オフラインで地域の学生ともそういう交流の場が作って行けならいいなぁとも思ったり。けど、自分にとって大切にしたいのは今関わっている子どもたちに還元すること。子どもたちに話し合いのスキルを身につけてもらいたいのかもしれないし、僕のファシリスキルをもっと磨いて、子どもたちの力をもっと引き出したいし!”と話してくださり、わたしもそんな交流の場に参加してみたくなったし、これから学校でも素敵な場が展開されるようになっていくんだろうなぁという風に感じた。


去年の8月から今まで、1人の人を起点とした新しい人との出会いが広がるネットワークの感覚を知った。これからも縦横に関係が広がり続けていくのだろうと思うと、楽しみが止まらない。同時にイベントが終わってから3カ月以上経った今でも、ビデオ通話で近況報告したりお互いが関わっているイベントを紹介し合ったりしているという感じで関係性が続いていることにも、嬉しさが止まらない。

新しく生まれる〈繋がり〉も今ある〈繋がり〉も、それらは自分のことを豊かにしてくれるものである。たーぼうさんと出会えたことでイベント運営を経験できただけでなく、〈繋がり〉は自分から作っていくものなのだと学んだ。けーごさんと出会えたことによってファシリというものへの考え方が、「何となく興味があるもの」から「ちゃんとやってみたいもの」という風に変わるきっかけを得た。そして、やってみたら楽しいかもしれないということを頭でなく心で学んだ。今回わたしは人と人の〈繋がり〉が生まれるきっかけを作りたいという思いからイベント運営をやらせてもらった。イベントが終わりかけの頃、参加者が自分のFacebookのアカウントをどんどん貼り付けてくれている姿から人と人の〈 繋がり〉を感じて、とても嬉しかった。これからもそんな場作りに関わっていくことで、色んなものや人との〈繋がり〉を楽しいと感じるようになる人を増やしていきたい。そうすることで、人々はより豊かな生活を送っていけるようになるのだと思うから。

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(左:たーぼうさん、右:けーごさん)

今回はたーぼうさんとけーごさんへ、感謝の気持ちを込めて書かせて頂きました。いつもありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いします^^

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