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1回生と夏合宿Second season!バスは今年も行きも帰りも倒れてた

1回生は順調に体力をつけていった
金銭的な問題で2人減ってしまったけど
それなりに形にはなってきた

さて、師弟関係を決めますか
という段階になり私は2人から指名された
どっちも頑張り屋さんだ、どっちでもいい
くじ引きで決めることにした

残りのペアも決まった
これからは練習の時は一緒に射つことになる
自分が射たなくても付き添うことになる
先輩もこんな思いをしてたのか
バイトが深夜帯が多かった為立ったままでも眠い

ランニングは一緒に走った
1番速い子と並走する日と遅めの女の子のフォローをする日を分ける

筋トレの回数を数えながら眠気で回数を間違える
あ、ごめん。もう一回最初からいこうか。
と後輩を戸惑わせる。

後輩たちは「ちゃんと出来てないからリテイクしてる」と思ってたらしい。まじでごめん。

上体起こしは5cmくらいしか上がってなかった
やりすぎると腰を痛めるのであまり良くないとは思ったが、筋肉のなさの危機感を持って欲しくて見本を見せた

同期に足に乗ってもらい頭の後ろで手を組んで
「いくよ〜」と
背筋だけでほば90度上体を持ち上げ
「これくらいあげる気持ちでやってみて〜」と笑う。
…うわぁ〜と言うのを聞き逃さなかった

え?もしかしてキモいの?
ちょっとだけ傷つく。

「来年はみんなできるからね」を繰り返す。

「柔軟しますよ〜」
「はい、脚180度開いて〜
そのままお腹を地面にペターだよ〜」

\先輩!脚そんなに開きません!/

「地面にべったり身体をつけたまま、え?なんで?と首だけぐるりと振り返る」

\怖っ!軟体怖っ!/

「みんな出来るになるよ。ペア組んで背中押すところから始めようか」

「片足ずつ慎重に体重かけて〜」
怪我の予防にもなるからお家でもしっかりやってね、特にお風呂上がりね

湯船は絶対浸かりなさいよ〜
風邪もひきにくくなるからねと時々おばあちゃんたいなことを言う

緩い掛け声だがすげぇ高度なこと求めている

毎年のようにこの時期はギャァァァ!と叫び声が聞こえる。

ストレッチバンドで基本の射形を身につける
足の向き 重心 目線
胴体 骨盤
腕 顎下
背中の伸び

「目の前に的があると思って狙って伸びて」
右手を離す
ゴムは左手にべチンとあたる

「すぐに身体動かさないで矢が的に届くまで左手は固定、イメージは脇の下の筋肉を締まること。油断しない。」

早く弓が届くといいねと
いつもこの頃が懐かしいなと思っていた

この練習を繰り返すので毎年ゴムバンドは擦り切れるまで弓は持てないのが風習だった

あと2回生のこれくらいの時期が1番身体が出来上がっていた気がする

次は懸垂逆上がりでもするかぁ〜といい1回生の練習は終える

後日、グラウンドの高鉄棒の前で筋トレの説明をする、

見本見せるからね〜と言って
軽くジャンプして飛びついて懸垂してそのままグッと腹を近づけてクルッと回る
そして勢いをつけずにゆっくり腕を伸ばしてもう一度懸垂しその動作を繰り返す

2回ほど見本で回る
ゆっくり地面に降りて目が回っていた
三半規管が弱すぎる

若干フラつきながら
順手でも逆手でもいいからやってみよか〜
と声をかけるがほとんどの1回生は高鉄棒の下でピョンピョン跳んでいた

ん?
もしかして…届かないのか…?
基礎練の腕立てを強化しよっか…と心に決めた
懸垂出来なくても弓は引けるし気にしないでいいよ。

男子は何人か飛び付けるが懸垂は出来て1回だった

普段の筋トレ場に戻る時に「先輩、器械体操とかやってました?」と聞かれた

「ううん、学校での部活は陸上だったよ。県立なのにちょっとした強化校だったから私はそんなに速くないのに筋トレで基礎体力だけついちゃったのよ」

大丈夫、同じこと出来るようになるよ。

「いやいやハードル高すぎますって」

諦めなければ出来るはずだ、期待してる

授業では1回生で落とした必修の専門科目を再度履修していた
目立たないように隅っこで小さくなってたのに
後輩たちに見つかってしまった

「あれ?りょう先輩じゃないですか」
「ここ1年の授業ですよ?」
なんの嫌味もない疑問をぶつけられる

「私さ去年、この必修落としたのよ〜。これ取れないと3年になれないの。」苦笑いする

「せっかくなんで一緒に受けましょうよ〜」と5人くらいに囲まれる。懐っこいな。可愛い。めっちゃ嬉しい。単位落とすのも悪くないなぁ。
弟や妹がいないからか余計に後輩が可愛い。
後輩だが浪人生が半数いて実質的には同級生なんだけど。

「とりあえず今回で授業4回目だけど、教授レジュメも内容も全く同じこと言ってる。次までにコピーして去年の試験問題もあげるね」

「やった〜ラッキ〜」

「でも、そのまま出るとは限らないからちゃんと受けてね?落とした私が言ってもちょっと説得力にかけるけどさ。」

授業中は相変わらず90分間起きていられず白目を剥いていたり、ぐらんぐらん首が傾いていたらしい。お手数かけて悪いんやけど椅子蹴って起こして?と後輩にお願いする。

数日後に、すげぇ書き込んであるレジュメを人数分コピーしてファイルにいれて渡す

「先輩って…意外に男らしい字書くんですね」

きちゃないって言ってくれていいよ

「なんでこんな勉強して落としたんですか?」
核心をつかれてうっ…となる

「ごめんよ、読めなかったら聞いてね」

「試験は教授が絶対に入れろって言ったキーワードを小論文で入れなかったから落ちたみたい」

「あと教授が教科書に線引けって言ってた箇所も一覧にしといたからマーカーしとき」

後輩たちは単位落とさせたくない
他の必修のレジュメと教科書も部室に置いて
「ご自由にどうぞ〜」
と付箋を貼っておいた

しばらくするとたくさんお菓子が積んであって
「ありがとうございました〜!」とルーズリーフが張り付けられてあった

しかも全部たけのこの里。
好みを把握されている。

その頃コンビニで生茶を買うとちっちゃいパンダのおまけが付いてきた

無性に気に入ってしまい至る所につけていた
毎日生茶を飲んで1匹ずつ増殖していった

後輩たちがそれを知ってみんなで買ったらしく
大量に生茶パンダをくれた
「レジュメと教科書のお礼です」とどんどん増える
無限パンダ

せっかくなので全部、携帯につけた
どっちが本体か分からない数になる
携帯をポケットにいれるとパンダが飛び出す
パンダをポケットにいれると携帯が飛び出す

さすがに多すぎる
矢筒をいれてるクイバーのチャックにも5匹くらい付けていた

同期に「愛されてんじゃん」とからかわれる

2度目の夏合宿が近づいてきた
合宿前に先輩たちとミーティングする
練習日程や民宿側に要望することを話合う

真面目に食事内容を少しタンパク質を増やして欲しいとお願いした
効率よく筋肉をつけたいという建前で。

あと出来ればご飯のお供に梅干しが欲しいと控えめに伝えた

謎の虫の佃煮を見た時ものすごく食欲を失った
今年はアジシオとオサラバしたい

格安で泊めてもらうのであまり注文は言えない

部屋割りの話になる
例年通り学年別で分ければいいと思ったが、他の宿泊客の関係で何日か学年を越えて同じ部屋に入れられることになる。
2回生と3回生か、1回生と2回生か。

後者になった。
3回生は色々と他の学年に聞かせられない話し合いがあるだろう。

1回生には可哀想なことをしてしまう気がする
ただでさえキツイのに私たちの存在で緊張感を与えたくない

あとお風呂は学年別で分けずにガンガン入れ替え式で早かったら次の子が入れるようにするのも提案した

最後に「夜行バス絶対酔うんで新幹線で行ってもいいですか?」とダメ元で聞く。
「アカンに決まってるやろ、薬飲んで1番前で大人しくしてろ」と怒られる。

みんな、今年も迷惑かけます、ごめんよ。
体質はそうそう変わらない。
前もって謝っておく。

去年ほど大騒ぎすることなく合宿は終わった
時々泣いて潰れる子もいたけど少し寝かせてあげたら復活してくれる

脱走もなかった
私も多少、点数に波がありながらも下級生がいるという緊張感からわりと冷静さを保っていた

練習場のボットン便所にお気に入りのボールペンを落としたくらいだった

それにしても今年の子は強いなぁ
頼もしい

お風呂も1回生と顔を合わせる
「気にしないで〜ゆっくり浸かっててね」

と言いながら洗い場に座ってボディタオルで石鹸を泡立ててそれを頭から乗せた

そのまま足の先まで洗って
シャワーで一気に流す

「お先〜」と言ってタオルで髪をガシガシ拭いて
二つ折りにしたら一気に拭いて
仕上げにタオルでパンパンパンパンと
肩腰肩腰と叩きつけて水滴をとる

オッサンみたいだからやめな?と
同期女子に嗜められる

そして服を着る

部屋に戻ってきた後輩が
「1年練習したらあんなに腹筋割れるんですか?脱いだらマッチョでびっくりしました」

「へへへ、よかったら触る?」
マッチョあるある。筋肉触らせたい。
撫でるように触られる

「あと先輩さっき髪も石鹸で洗ってませんでした?!」

「うん、いつもそうだよ」

「嘘ダァ…」と髪を触られる
何にもつけてないよ?と言うと

乾かしたばかりの黒髪をちょいちょいと触られる
「お宝髪質ですね。」

「いや、たまにはトリートメントするよ」
と言っておく。合宿中はしないけどね。

「キューティクルどうなってんですか」

「ん〜気合いで復活させてる」笑


食事も若干改善された
美味しい、目玉焼き最高、塩派

同期がマヨネーズかけてた、引く
卵に卵と油かけてる…言いかけてやめる
人の好みは否定したくない

そう言えば、この子学食でうどんにもマヨネーズかけてたな〜と思い出す。出汁もマヨネーズもどちらの良さも死ぬよ!?ってみんなで笑った。

OB訪問もイベントもこなす

あっという間に終わる合宿だった
むしろバイトがない分、睡眠不足が改善されて肌も体調も最高だった
運動部に染まり切ったら夏も余裕になる

何日目か分からないけど、トイレに起きて寝ぼけた後輩がなぜか私の布団に入ってきた

隣だし間違えたのかな?と
その後輩の布団に移動して寝た
起こすのも可哀想だし

早朝1番に起きたら何だか狭くて横を見ると
また隣に後輩がいた

なんなんだ…さみしがりか?
と自分の布団に移動する

私のこと好きなのか?
女の子にひっつかれるのは別に嫌じゃないけど
私はそういうんじゃない

結局、真相は聞けてない

平和に夏が終わる
バス以外は。

結局、帰りのバスも1番前の席で大量の袋を持たされて寝かされた

なんで酔い止めって効かないの?
色んな種類を試したが効いた試しがない

去年と違うのは
「俺もちょっと体調悪いんで」と言って
途中から未来の元彼season2が横に座ってくれた

「あれ?大丈夫なの?」と聞くと
「うん、嘘だから。なんかあったら起こせ」

いつも通り一睡も出来ずに
1人でなるべく静かに過ごすがどんどん気分が悪くなる
荒い呼吸音と時々反射的に漏れる声でむくりと起きてきた
「起こせって言ったろ、遠慮すんな」

「なるべく吐きたくなくて。臭いとか迷惑かけるの悪いから」と耐えていた
食事は抜いてきていた。出ても水しか出ない。
胃がビクンとなり咄嗟に手で口を押さえる。

すぐに袋を広げてくれて
「もう我慢しないで出せ、楽になるから。みんな寝てるし大丈夫だ」

一瞬気が緩み、指の間から水っぽいものがこぼれてしまう
「あ〜もう、ほら」と言われて諦めて袋に吐き出した
「気にすんなよ」とすぐに袋を縛ってくれた

手も拭けとタオルを貸してくれる

結局5回くらい起こした
「バスに殺される…しんどいぃぃ…」

その度に大きな手で背中をさすってくれる
「苦しいな…少しずつ水分摂ろう。脱水なると頭も痛くなるぞ」

吐くものもないのに胃液が上がってきて背中に力が入るせいでどんどん痛くなる

座席を倒して真上を向けないくらい痛みがありずっと横を向いていた

好きなだけ倒せるように後ろの席は荷物にしてくれていた

彼がカバンから大きめのバスタオルを出してくれて丸めて背中と座席の間に挟んでくれる
かなり体勢が楽になる

毎回少し落ち着いたら水を開けてくれて
「ほら、口すすげ。こっちの新しい袋に出したらいいから」と嫌な顔せず片付けてくれる。

「ついでに飲めそうなら少しずつ飲め」
「ポカリとかもあるけど?どーする?」

「ありがと」
ところでさ
「ねぇ、このバスタオルちゃんと洗ったやつ?」

「しばくぞ」
ふっと2人で少し笑う

パーキングに着くたびに汚した袋を他の部員に見つからないようにこっそりと捨ててきてくれた


またバスが動きだして静かに話す
「汚いし。迷惑かけてごめんね」
「いいって。こうなること分かってたし、別に汚くないし」

「お前基本身体強いのに変なところ弱いよなぁ…」気の毒そうにいわれる

「うん、鍛えられない部分がある」
「それはしゃーないな」

「なんでこんなに優しいの?」と聞きかけてやめる
なんで…まで言葉にしていた

それで察したらしい

「お前覚えてるかな」
「1回生の4月に何人かまとめて弓具の採寸に行くのに新快速乗った時、俺さ、新快速の速さが怖くて。情けないけど、あの時倒れそうになってさ、あの時にお前すぐに気がついて声かけてくれたよな」

「あ〜…あったね、そんなことも」


(電車)
目の前にいる同期の顔色が悪い
声をかけると電車のスピードが怖いらしい
とりあえず座らせてあげたい

近くの席に座っている高校生に
「ごめんなさい。ちょっと友人が急に体調崩してしまいまして…すみませんが譲って頂けませんか?」とお願いする
快く席を譲ってくれお礼を言う

「こっちきて」
同期の手を引っ張り座らせる
手は冷たくて震えていた
「大丈夫だよ、しんどいね、目をつぶっておこうか」
「気持ち悪くない?ミント系ののど飴なら少しスッキリするから舐めとく?」
「2両移動すればトイレもあるから早めに言いな」

「ごめん。ありがとう。俺の地元こんなに速い乗り物ないから、正直怖くて」

「そっか、慣れるまでは怖いよね。あと10分くらいだからね。今しんどいところはある?」

「座れたから大丈夫、かなりマシ」

「うん、分かった。私、前に立ってるから安心してて」

「帰りも新快速乗るの怖かったら快速か各停で帰ろう、大丈夫やからね。なんならゆっくり動く地下鉄もあるから採寸終わったら帰り方相談しようね」

「俺、あの時都会の子は電車にも詳しいし優しいんだな」ってしばらく頭から離れなかった

「今も新快速のスピードは怖いけど、だいぶ慣れたお前のおかげだよ
大の男が電車のスピードが怖いとか情けない言ったのに笑わんでくれてありがとうな」

そう言って複雑そうに笑う

なんだかすごく昔のように感じた
あの時電車で震えている彼が心配でありながら
地方から出てきて頑張ってるんだな
えらいな…と思ったんだよ

どんどん身体も大きくなってさ
エース候補になっていって
顔つきもどんどん変わっていく彼と同期で良かったと思ったの

そんな長文話せるわけ無く、

「うん」と頷いた

この1年と少しの間、楽しいことよりも辛いことも多かったなとまた泣きそうになる

後輩もいるからもうあまり恥ずかしいところを見せたくない

う…っと声がつまる

背中をさすられる
タオルで口を押さえてボロボロとやっぱり泣いてしまった

「身体が弱ってるからだ」
「出しとけ」
俺しか見てないから

少ししてパーキングに止まって
トイレに行く子が起きてくる

「寝たフリしとけ」

顔全体にタオルをかけて横を向き寝たフリをする

「大丈夫ですか?」と気遣ってくれる後輩たちに
「大丈夫だよ。こいつさっきまで吐きまくってて、今やっと寝ついたところだからソッとしてやって」とフォローしてくれる

出発直前にサッとトイレにいく

また車内が薄暗くなり
やっと大学ある県に入った
もうすぐ帰れる

「ねぇ、隣ありがとう」
「疲れてるのに寝れなかったよね、ごめんね」

「大丈夫。俺、夜型やし」
「もう少し頑張ろうな」と笑ってくれる


全体の円陣を終えて2年目もフラフラで終えた
明後日は深夜にバイトだ
明日中に回復しないと

自宅に帰り隣にいてくれた同期に「ありがとう。おやすみ」とメールする。すぐに返信がきて「水分摂ってから寝ろよ。おやすみ。」

秋には初めて出る遠距離の大会がある
個人戦だ
それなりの公式記録がある人があつまる大会だ
いい経験になると思う

例年女子は出ないが経験積むのは悪くないと思いエントリーした
記念試合だろうけど楽しみだった

【2回生の夏が終わる】


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部活の思い出

無印良品のポチ菓子で書く気力を養っています。 お気に入りはブールドネージュです。