見出し画像

【外注】ゆっくり解説動画シナリオ外注の気になるところ【著作権】#14

webライター、はらのです!

三度の「ゆっくり解説動画外注問題」の記事です。
今回は前回書ききれなかった「著作権問題」にスポットを当てて好き勝手語っていきます。
どちらかというと外注前後の話になりますし、ゆっくり解説動画の闇には迫っていないのでご注意ください。

***関連記事***


いわばゴーストライター

ゆっくり解説シナリオ外注問題は、いうなれば「ゴーストライター」なんですよね。
信頼していたチャンネルがゴーストライターを利用していたとなると、まあショックでしょう。
せめてゴーストライターの名前を書いてくれれば印象も違うのに!
と、思われるかもしれませんが、著作権に関する契約があるため、中々難しい問題だったりします。


クラウドソーシングでの著作権の扱い

クラウドソーシングでは「クライアントに著作権を譲渡する」ことを前提として運営されています。
つまり契約上「これ、私が書きました!」って主張できないため、クリエイター側が不利な契約です。

しかしクライアントにとっては、完成した成果物(シナリオなど)をスムーズに使用するために不可欠な契約となっています。


二大著作権をチェック

まず著作権の基本を見ていきましょう。
著作権と言っても色々あるのですが、クリエイターが良く触れるのは以下の2つです。

著作権(財産権)・・・著作物を使用する権利のこと。
著作者人格権・・・創作したの人権を守る権利。

著作権(財産権)が財産を守る権利なら、著作者人格権は制作者の人格(心や名誉)を守る権利とされています。


著作権(財産権)は「使用する」権利

著作権(財産権)は「使用するだけ」の権利です。
ゆっくり解説動画なら「公開する」権利はあっても、「誤字脱字などを修正する権利」はありません。

もし「ちょっとここ修正したいな」という時は、クリエイター(著作者)に許可を取る必要があります。
クリエイターの許可なく手を加えた場合、「それ著作者人格権侵害してるよね??」と怒られちゃいます。

逆にクライアント側もクリエイターに、製作依頼した自社社名入りロゴなんかを使いまわされたら困るわけです。
無用なトラブルを回避するためには、予め著作権に関する契約を結んでおくのがベターとなっています。


著作者人格権は著作者の切り札

AさんとBさんが同じテーマでシナリオを作っても、コピペでない限り全く同じものは出来ません。
何故ならシナリオにライターの人格が表れているからです。

この「シナリオに表れるライターの人格」を、法律では「著作者人格権」と定義付けています。
そのため勝手に修正を加えると「著作者人格権の侵害」で本来はアウトです。

・公表をする/しない
・氏名を公表する/しない
・内容を勝手に変更されない

以上が著作者人格権の三本柱です。
もしクライアントが意図しない方法で著作物を使用し、著作者の人格(気持ちや名誉)を侵害した場合、クリエイターは著作者人格権を行使出来ます。

「一度公開した動画を非公開/削除させる」ことも可能ですから、著作者の持つ「公開する権利」よりも上位に相当します。


著作者人格権不行使特約……?

人格を誰かに譲渡出来ないのと同様に、著作者人格権は譲渡することは出来ません。
でもクライアント側としてはもっと自由に著作物を使用したい、そんな時に出てくるのが「著作者人格権不行使特約」です。

「著作者人格権を行使しないでね」という特別な契約のため、著作者人格権を事実上無効化します。
多くのクラウドソーシングではこの特約もデフォルト状態です。
クラウドソーシング以外でもデフォルト状態です。


特約、グレー!

著作者人格権不行使特約はクライアント、クリエイター、専門家でも意見が分かれている現在進行形の問題です。
著作者人格権が譲渡出来ない以上、この特約は有効か? っていうのは、裁判の争点にもなります。

「無効である」と考える専門家も多い一方、有効性を認める判例もあるようです。
しかしクライアント側としては無用のリスクは回避したい。
ですから基本的にこの特約を組み込んだ契約を結んでおきたいのです。


常識の範囲内で適正に使うならOK!

著作権に関する契約内容はクリエイター不利となっています。
ですがこれ、常識の範囲内で適正に使うならそれほど問題になりません。

「あの時は誤字に気づかなかったんですけど、修正してもらっていいですか?」
というのを、「取引が終了した後」にやるのはぶっちゃけ億劫……。

既に取引終了しているし、高額案件でも追加報酬が発生するわけでもないし、自分のペンネームが出るわけでもない。
本意ではないですけど、「常識の範囲内で適正に」修正してくれるならどうぞ。
というのが私の考えです。

その結果なんだかチグハグな文章になってしまっても、それはクライアントの選択した結果だと思います。
ただし「クリエイターの個性がしっかりしている著作物」となると話は別です。


その人が作ったから価値のあるもの

作家による表現の違いを「爆発音がした」で例えたコピペをご存知でしょうか。
同じ「背後で爆発音がして振り返る」という内容であっても、クリエイターによって表現がかなり異なっています。
句読点の場所、単語、それらをほんの少し変えただけでも、クリエイターの個性は著しく失われてしまうでしょう。

このような「この人が作ったからこそ価値があるもの」は、クライアント、クリエイター共に慎重に契約を結んでいくべきです。


評価にかけて交渉するのもアリ

クライアントが修正した「何だこりゃ」な著作物でも、クリエイターの評価に関わってくるものです。
それでは困るという人は、著作者人格権不行使特約に甘んじることなく、クライアントと交渉します。

本業として行きたい人、デザイン関連の人は、しっかり交渉されるイメージがあります。
また、ポートフォリオへの使用許可や、修正したらクリエイターに連絡するなどの条件を付加する人もいるようですね。


ブランド力が問題になる場合も

ここでゴーストライターの話に戻ります。
何故ゴーストライターが横行しているかというと、普通のライターが本を出すより、超有名人が本を出した方が売れるからです。

ブランド力が重要ですから、超有名人が出版することに意味があります。
その超有名人が文章を書ければ全く問題ないですが、書けない場合はゴーストライターに白羽の矢が立ちます。

足りないものを埋めるために外注する構図は、ゆっくり解説外注も同じです。
ブランド力と文章力があれば外注しないし、受注しません。
ある意味クラウドソーシングでは、ブランド力と文章力のマッチングがされているというわけです。


デジタルコンテンツの法整備はこれから

オフラインの物事であっても時代に即した法改正はまだまだ不十分です。
インターネットが普及してから発展したデジタルコンテンツの法整備は、これから進んでいくでしょう。

ゆっくり解説動画シナリオ外注が問題になって、最早コピーコンテンツじゃねーかというほど類似チャンネルが乱立し、動画製作者も視聴者も「いや流石にこれはない」となった時。
じゃあ法律見直そうか、という時が必ず来ます。

それまでは現行法をクライアント、クリエイター双方が上手くやり繰りしていくしかないのです。
問題は山積みですが、契約書がしっかりしているクライアントは、安心して仕事が出来ます。


まとめ

最近ランサーズでは動画部門が再編集されました。
やったね、ゆっくり解説動画外注が流行るよ!

色々な問題が山積みではありますが、YouTubeでも税務情報の提出が必要になってきたりと整う所は整ってきています。
著作権も同様に、クライアントの権利、クリエイターの権利のバランスが上手いこと取れるようになることを願います。

そうなればゆっくり解説シナリオが外注されても、発注者、受注者、視聴者全員が安心出来るコンテンツになるのではないでしょうか。


最後に

当記事執筆に当たって情報収集致しましたが、専門家ではないため理解不十分の箇所もございます。
万が一誤認している個所や、明らかな間違い等ございましたらコメントにてご指摘下さい。

また参考にさせていただいたサイトへのリンクを以下に用意致します。
こちらも何か不都合な点がございましたら、対応させていただきますのでご一報下さい。

=参考&関連=



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?