見出し画像

上司のフィードバックと部下の幸福度:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今日は上司のフィードバックと部下の幸福度に関する論文です。

上司のフィードバックは一見部下のストレス源になりそうですが、実際は上司からの適切なフィードバックは従業員の仕事におけるストレスレベルを低下させる効果を持っています。(Offermann & Hellmann 1996,Ashford & Cummings 1983,Kluger & DeNisi 1996)
この論文では、上記の流れを受けて上司のフィードバックに対して部下が公正感を持つことに着目されています。

今日の論文

Fairness perceptions of supervisor feedback, LMX, and employee well-being at work
上司からのフィードバックの公正性認識、リーダー・メンバー交換(LMX)、および職場での従業員の幸福感
European Journal of Work and Organizational Psychology, 2008
Jennifer L. Sparr, Sabine Sonnentag

サマリ

  • 上司からのフィードバックに対する従業員の公正性認識と、従業員の職場での幸福感(仕事のうつ病、仕事の不安、仕事満足度、離職意図)および職場でのコントロール感との関係を調査

  • 結果、フィードバックの公正性認識は、仕事満足度と職場でのコントロール感と正の関係を持ち、仕事のうつ病と離職意図と負の関係を持つことが支持された

  • これらの関係はLMXの質によって媒介された

  • 仕事の不安は、フィードバックの公正性認識やLMXとは関係がなかったが、上司からの否定的なフィードバックの頻度と正の関係があった

研究の方法:

  • ドイツ、オーストリア、スイスで働く従業員を対象に、R&Dと公共行政の2つの異なる職種を対象にした縦断的研究を実施

  • 参加者はオンラインプラットフォームで募集され、2回のデータ収集が6か月間隔で行われた

  • フィードバックの公正性認識、LMX、仕事のうつ病、不安、満足度、離職意図、職場でのコントロール感を評価するために、自己報告の質問票を使用(LMXが媒介すると仮定)

  • 異なる2つの産業における99人の従業員を対象に、6か月の間隔で2回のデータ収集を行った階層的回帰分析

わかったこと:
フィードバックの公正性がLMXを介して職場での幸福感とコントロール感に正の影響を与えること

フィードバックの公正性認識は、LMX、仕事満足度、職場でのコントロール感と正の関係を持ち、仕事のうつ病と離職意図と負の関係を持つことが確認された。LMXは、仕事のうつ病と離職意図と負の関係を持ち、仕事満足度と職場でのコントロール感と正の関係を持つことが示された。

P199
  • フィードバックの公正性認識はLMXと正の影響がある

  • LMXは仕事満足度と正の関係があり、仕事のうつ病と離職意図と負の影響がある

  • LMXは職場でのコントロール感と正の影響がある

  • フィードバックの公正性認識は職場での幸福感と正の影響がある

  • フィードバックの公正性認識は職場でのコントロール感と正の影響がある

  • LMXはフィードバックの公正性認識と職場での幸福感との影響を部分的に媒介する

  • LMXはフィードバックの公正性認識と職場でのコントロール感との影響を部分的に媒介する

論文から得た学びと活用場面

フィードバックの公正性認識がLMXの質を高め、従業員の幸福感やコントロール感に寄与することが示されました。また、公正なフィードバックは、従業員の上司との関係を強化し、職場でのパフォーマンスや満足度を向上させる可能性があることも示唆されています。
従業員のパフォーマンスと職場での幸福感を向上させるために、フィードバックが公正に提供されているか一度確認してみるとよいかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?