バーチャルチームにおけるプロセスフィードバックの影響:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回はバーチャルチームにおけるフィードバックに関する論文です。
バーチャルチームは、物理的に離れた場所で共同作業を行うため、チームプロセスに関するフィードバックや情報の不足が課題となります。そのため、意図的にプロセスフィードバックを行うことがチームのパフォーマンスにどのような影響があるのか研究されています。
今日の論文
Effects of Process Feedback on Motivation, Satisfaction, and Performance in Virtual Teams
バーチャルチームにおけるプロセスフィードバックが動機付け、満足度、およびパフォーマンスに与える影響
Small Group Research, 2006年10月
Susanne Geister, Guido Hertel
サマリ
バーチャルチームにおいて、オンラインフィードバックシステム(OFS)を用いたプロセスフィードバックが、チームの動機付け、満足度、パフォーマンスに及ぼす影響を調査
52の学生チームを対象にした縦断的研究で、OFSを使用したチームは、使用しなかったチームよりもパフォーマンスが向上することが示された
また、初期の動機付けがOFSの効果に対する調整変数として作用することが示され、特に動機付けが低いメンバーに対しては、OFSが動機付けと満足度に対して肯定的な影響を与えることが確認された
さらに、動機付けが低いメンバーにおいては、OFSのパフォーマンスに対する効果が対人信頼によって媒介されていた
方法
52のバーチャルチームを対象に、縦断的研究を実施
チームはOFSを使用するグループとしないグループにランダムに割り当てられ、5週間にわたって週ごとにフィードバックを受けた
データは、研究の開始時と終了時に収集された
わかったこと:
チームプロセスフィードバックの影響
OFSが特に初期の動機が低いメンバーに対して効果的であり、対人信頼を通じてパフォーマンスを向上させることがわかりました。
OFS使用チームのパフォーマンス向上:
主観的なパフォーマンス評価では、OFSを使用したチームが使用しなかったチームに比べて有意に高いパフォーマンス向上を示した
専門家による評価でも、OFS使用チームは提案書の形式に関して有意な向上が見られた
一方で、提案書の内容に関しては、OFS使用チームと非使用チームとの間に有意な差は見られなかった
動機付けおよび満足度への影響:
全体として、OFSが動機付けや満足度に与える影響は有意ではなかった
ただし、追加分析によって、初期の動機が低いチームメンバーにおいては、OFS使用が動機付け(特に価値観、自己効力感、対人信頼)と満足度を向上させることが確認された
初期動機が低いチームメンバーのパフォーマンスへの影響:
初期の動機が低いチームメンバーに対して、OFS使用は主観的パフォーマンスを有意に向上させた
これに加え、価値観、自己効力感、対人信頼にもポジティブな影響を与えた
媒介分析の結果:
OFS使用がパフォーマンスに与える影響は、主に対人信頼によって媒介されていることが示された
対人信頼がパフォーマンスに対して部分的に媒介する一方で、OFS使用の影響は完全には排除されず、部分的な媒介効果が認められた
論文から得た学びと活用場面
バーチャルチームにおいて、プロセスフィードバックはチームパフォーマンスを向上させる有効な手段であることが示されました。特に、動機付けが低いメンバーに対しては、プロセスフィードバックが動機付けと満足度を高める可能性があることが確認されました。
リモート環境でチームのパフォーマンスが気になる際は、プロセスをフィードバックする仕組みを作ると効果的かもしれません。
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