上司の批判的なフィードバックに対する従業員の受容の研究:論文レビュー
こんにちは、原田です。
上司からの批判的なフィードバックって受け入れづらいですよね…上司にとっても、どうすれば部下に批判的なフィードバックを受け入れてもらえるのか頭を悩ませるポイントだと思います。今回はこの批判的なフィードバックの受容に関する研究です。
今日の論文
When is Criticism Not Constructive? The Roles of Fairness Perceptions and Dispositional Attributions in Employee Acceptance of Critical Supervisory Feedback
批判が建設的でないのはいつか?批判的な上司のフィードバックに対する従業員の受容における公平性の認識と属性的判断の役割
Human Relations 2001
Kwok Leung, Steven Su, Michael W. Morris
サマリ
上司からの否定的なフィードバックに対する反応における正義感と属性的判断の影響を2つの研究で検討
研究1では、より公正な対人処遇で行われた批判が、上司についての属性的判断をより好意的にし、フィードバックの受け入れや上司および組織に対する反応を改善することが示された
研究2では、因果関係を明確にし、公正な対人処遇が否定的な属性判断を減少させ、それがフィードバックの受容と上司に対する態度を改善することを示した
また、研究2では、フィードバック形成に適用される正式な手続きの公正さと、提供中の対人処遇の公正さの結果を区別した
わかったこと:
批判的なフィードバックに対する受信者の認識が、フィードバックの受容にどのように影響するか
上記図の要素は以下の通り
Unjust Interpersonal Treatment (不当な対人関係の扱い)…
上司がフィードバックを提供する際に、受信者に対して不公正な態度や行動を取ることUnjust Formal Procedures (不当な正式手続き)…
上司がフィードバックを提供する際の方法や手続きが不公平であると認識される状況Negative Dispositional Attribution (否定的な属性判断)…
上司の行動やフィードバックの原因を上司の性格や恒常的な特性に帰属させることFeedback Acceptance (フィードバックの受容)
Attitudes Toward Supervisor (上司に対する態度)
Attitudes Toward Organization (組織に対する態度)
Improvement Effort (改善努力)
分かったことは以下の通りです。
不当な対人関係の扱いが否定的な属性判断に与える影響は非常に強い
否定的な属性判断はフィードバックの受容を大きく減少させる
不当な正式手続きもフィードバックの受容を大きく減少させる
フィードバックの受容は改善努力を増加させるが、その効果は中程度
論文から得た学びと活用場面
上司が否定的なフィードバックを提供する際に、対人関係の不公平さ情報不足に関する不当さを感じた際にフィードバックの内容が受け入れにくくなることがわかりました。批判的なフィードバックを行う際は人ごとにフィードバックを変えていないか(心理的な距離に左右されていないか)を確認し、フィードバックの内容に関する情報が十分か確認しながら行うのがよいかもしれません。
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