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虐待的監督と動機付けの好みが革新行動に与える影響:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回は、革新行動に不の影響を与えるものについての研究です。

今回扱う「虐待的管理(Abusive Management)」は、従業員のパフォーマンスに関わらず、持続的に敵対的な言動を行うことを意味します。虐待的管理は、身体的接触を除く言葉や行動での虐待を含みます​​。
また、動機付けの好みとは、ここでは内的動機付け(IMP)と外的動機付け(EMP)のどちらを好む傾向にあるかをあらわします。

今日の論文

The Effects of Abusive Supervision and Motivational Preference on Employees’ Innovative Behavior
虐待的監督と動機付けの好みが従業員の革新行動に与える影響
Sustainability, 2020
Jian Tian, Xing Zhou

サマリ

  • 主に社会認知理論に基づき、虐待的管理と従業員の革新行動の関係を調査し、創造的自己効力感の媒介役割と動機付けの好みの調整役割に焦点を当てた

  • 深圳の3つの技術革新企業からの時差データの分析により、虐待的管理は従業員の革新行動に負の影響を与え、その関係は創造的自己効力感によって媒介されることが明らかになった

  • さらに、動機付けの好みが虐待的管理と創造的自己効力感および革新行動との関係を調整することが確認された

  • 内的動機付けが強い従業員は虐待的管理に対してより影響を受けやすく、創造的自己効力感の低下と革新行動の減少を起こす

  • 一方、外的動機付けが強い従業員は虐待的管理に対してあまり影響を受けず、その負の関係は弱い

わかったこと:
虐待的管理が革新行動に与える影響と動機付けの好みの調整効果

本研究の理論モデルは下記の通りです。

P3

フレームワークの構成要素:

  1. 虐待的管理(Abusive Management)
    上司による継続的な敵対的言動を指し、従業員の心理的ストレスや革新行動に負の影響を与える。

  2. 創造的自己効力感(Creative Self-Efficacy, CSE)
    従業員が自分の創造的な能力を信じている度合いを表し、虐待的管理がこの感覚を低下させる。

  3. 従業員の革新行動(Employees’ Innovative Behavior, EIB)
    新しいアイデアの生成やその実行に関する従業員の行動を示し、CSEの低下により減少する。

  4. 動機付けの好み(Motivational Preference)
    内的動機付け(仕事そのものの楽しさや満足)と外的動機付け(報酬や罰の回避)のどちらを重視するかによって、虐待的管理の影響が変化する。

P9

動機付けの好みが高い(内的動機付けが強い)場合、虐待的管理の負の影響がより強く現れ、動機付けの好みが低い(外的動機付けが強い)場合、その影響が弱くなる。

P9

動機付けの好みが高い場合、虐待的管理の負の影響がより強く現れ、動機付けの好みが低い場合、その影響が弱くなる。

論文から得た学びと活用場面

虐待的管理が従業員の革新行動に与える負の影響は、創造的自己効力感の低下を介して発生し、さらに、動機付けの好みがその関係を調整し、内的動機付けが強い従業員は虐待的管理に対してより影響を受けやすいことが示されました。
部下指導において、優しさと厳しさの塩梅という話がでますが、厳しさを履き違えると不幸しか生まれないな、と学びになりました。

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