スポーツチームの凝集性の測定:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回はスポーツチームにおける、凝集性の定義と測定に関する論文です。
凝集性 (Cohesion):
集団がその道具的目標の追求やメンバーの感情的ニーズの満足を図るために、結束し続ける傾向を反映する動的なプロセス(Carron et al., 1998, p. 213)
今日の論文
Cohesion: Conceptual and Measurement Issues
凝集性: 概念と測定の問題
Small Group Research, 2012
Albert V. Carron, Lawrence R. Brawley
サマリ
集団凝集性の定義および測定の問題について議論
データは、異なるスポーツのチームから収集され、質問紙の信頼性と妥当性を検証するために、主成分分析(PCA)や確認的因子分析(CFA)などの統計手法が使用された
著者は、Carron, Widmeyer, Brawleyらによって提案された凝集性の概念化が、さまざまな種類のグループに広く適用可能であると考えられているが、いくつかの研究結果がこの主張の妥当性に疑問を投げかけていることを指摘
方法
凝集性を定義するために「Group Environment Questionnaire (GEQ)」という18項目のアンケートを開発し、スポーツチームや運動グループにおいて凝集性の相関関係を調査
このモデルは、グループの結束の度合いを「タスク」(Task)と「社会的関心」(Social)の2つの側面に分けて分析
Group Environment Questionnaire (GEQ):
スポーツチームや運動グループにおける集団凝集性を測定するために開発された18項目からなる質問紙
GEQは、集団凝集性を多次元的な構成として捉え、その構造を「タスク志向」(Task)と「社会的関心」(Social)の2つの主要な要素に基づいて分析
さらに、それぞれの要素は「グループ全体の統合」(Group Integration; GI)と「個人のグループへの魅力」(Individual Attractions to the Group; ATG)に分けられ、最終的に以下の4つの構成要素で凝集性を測定
GI-T (Group Integration-Task): グループ全体の統合とタスクに関連する集団凝集性
GI-S (Group Integration-Social): グループ全体の統合と社会的関心に関連する集団凝集性
ATG-T (Attractions to the Group-Task): 個人のグループへの魅力とタスクに関連する集団凝集性
ATG-S (Attractions to the Group-Social): 個人のグループへの魅力と社会的関心に関連する集団凝集性
根拠となる論文:
Carron, A. V., Widmeyer, W. N., & Brawley, L. R. (1985).
"The development of an instrument to assess cohesion in sport teams: The Group Environment Questionnaire." Journal of Sport Psychology, 7, 244-266.GEQの開発と、その理論的基盤に関する初期の論文。GEQの概念モデルと測定方法が詳細に説明
Brawley, L. R., Carron, A. V., & Widmeyer, W. N. (1987).
"Assessing the cohesion of teams: Validity of the Group Environment Questionnaire." Journal of Sport Psychology, 9, 275-294.GEQの妥当性に関する研究。この論文では、スポーツチームにおけるGEQの測定の有効性と信頼性が検証
Carron, A. V., Brawley, L. R., & Widmeyer, W. N. (1998).
"The measurement of cohesiveness in sport groups." In J. L. Duda (Ed.), Advances in sport and exercise psychology measurement (pp. 213-226). Morgantown, WV: Fitness Information Technology.スポーツグループにおける凝集性の測定に関する詳細な議論を含む論文集。この章では、GEQの使用方法と、研究におけるその応用について解説
論文から得た学びと活用場面
スポーツチームにおける凝集性の概念もモデルがわかりました。
研究の限界として、スポーツ以外のグループでの適用については妥当性が不確かとされていますが、いろんなコンテクストのチームでも有効性が確認されてくると、よくいう「一体感」についてもう一段解像度高いディスカッションができそうです!
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