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チームロールのモデル構築とクラスター:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回はチームロールに関する論文です。

定義は下記にて記載いたしますが、ロールの概念は社会科学において広く研究されている一方で、統一的なロールの枠組みが存在していなかったそうです。

今日の論文

Team Roles: A Review and Integration
チームロール:レビューと統合
Small Group Research, 2017年
Tripp Driskell, James E. Driskell, C. Shawn Burke, and Eduardo Salas

サマリ

  • チームロールに関する既存の研究を統合し、チームロール行動の基盤となる3つの主要な行動次元(優位性、社交性、タスク志向性)を提案

  • このモデルに基づき、過去の研究で記述された154のチームロールのクラスタ分析を行い、13の主要なロールクラスターを特定

  • このアプローチのチームロール構造とパフォーマンスへの洞察について議論

チームロールの定義

この論文では、チームロールを「チームメンバーが特定の状況において繰り返し示す行動のセット」として定義しています。他のチームメンバーの活動と相互に関連し、チーム全体の目標達成を追求するために重要な役割を果たします。また、チームロールは、次の3つの主要な行動次元に基づいて分類されます。

  • 優位性(Dominance): チーム内で主導権を握るか、他者に従うかを示す行動

  • 社交性(Sociability): 他者との社交的なやり取りや関係維持に関連する行動

  • タスク志向性(Task Orientation): タスクの達成に向けた真剣な取り組みを示す行動

チームロールの定義に関する参考文献:

  • Stewart, Fulmer, and Barrick (2005):ロールを「特定の状況において、ある人物が示す繰り返しの行動のセット」として定義

  • Linton (1936):ロールを「位置(ステータス)と切り離せない一連のパターン化された行動」として記述

  • Mead (1934):ロールを取ることが社会活動を可能にすると強調

わかったこと①:
TRIAD(Tracking Roles In and Across Domains)モデル3次元表現

  • 横軸(左から右へ): 低いタスク志向性から高いタスク志向性

  • 縦軸(下から上へ): 低い社交性から高い社交性

  • 奥行き軸(奥から手前へ): 低い優位性から高い優位性

わかったこと②:
13のロールクラスターの3次元散布図

13のロールクラスターは以下の通りです。

  1. Team Leader (チームリーダー): チームを指導・組織し、タスク達成を導く

  2. Task Motivator (タスクモチベーター): チームを刺激し、行動を促す

  3. Power Seeker (パワーシーカー): 権力と認知を求め、支配的な行動をとる

  4. Critic (批判者): 批判的な意見を持ち、問題点を指摘する

  5. Attention Seeker (注目を求める者): 注目を集めるが、タスクへの貢献は少ない

  6. Negative (ネガティブ): ネガティブな感情や行動を示す

  7. Social (ソーシャル): チームの和を保ち、対人関係をサポートする

  8. Coordinator (コーディネーター): チーム内外のタスクを調整する

  9. Follower (フォロワー): 他者に従い、協力的に行動する

  10. Teamwork Support (チームワークサポート): チームのタスク達成を支援する

  11. Evaluator (評価者): チームのアウトプットを分析・評価する

  12. Problem Solver (問題解決者): アイデアを出し、問題を解決する

  13. Task Completer (タスク完遂者): タスクを完遂するための詳細な作業を行う

論文から得た学びと活用場面

チーム効果に対するロールの影響を分析するためのフレームワークがわかりました。これはチームの構成やロールを振り返るツールとして、チーム効果を高めるきっかけになりそうです。

(余談)
個人的な振り返りをしてみると、13のロールクラスターの中では、コーディネーターとか問題解決者が多いかな、と思いながら所属したチームによるなあとも思いました。シェアド・リーダーシップ前提のチームでの振り返りとかにいいかもしれません。

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