あるインタビュアーの記録

※この記事は以下の公式noteを読んでおくと少しは面白みが増すので、絶対にこれを先に読んでくれ。

https://note.com/yuffystaff/n/nfdf23512bd0a

読んだ?じゃあスクロールしていいぞ。あと文中で各曲に感じた年代とか適当だから許してな。






 時はさかのぼって6月上旬。謎の企画が告知された。

「寺嶋由芙 オフィシャルインタビュアー募集」

 要は一般人でも選ばれればアイドルにインタビューができるという企画である。選考基準は事前に考えた寺嶋由芙への質問のみ…たぶん。遠隔地でもリモート参加できる、地方民にも優しいイベントだった。

 こういう面白おかしい企画にのらないタイプのヲタクではないので、冗談半分、一応きちんと考え半分で応募メールを出した。ただ、選ばれるとは思っていなかった。だってもっと適任のヲタクいるでしょ。

 それこそ当選発表日までそう思っていた。午後7時までメールが来ない、これは落ちたな、いやよかった、みんな面白おかしくまじめなインタビューをしてくれ…と思ってもはやこういうツイートすらした。本気でヲタクのインタビューが楽しみだった。

 午後8時10分。

 「厳正なる審査の結果、貴殿にぜひインタビューをお願いしたいと」

 いやメール今来た!!!!!どこに!?!??厳正な審査で私選んで大丈夫か!?!!!っていうか残業!!!!!!!

 主にスタッフさんの超過勤務に思いをはせながら、集合住宅で一人のヲタクが大声をあげていた。


 当日。

 あまりの緊張に、持っていこうと思っていたメモ帳とボールペンをすべて忘れる失態を犯し、さらに一瞬迷子になりかけ、会場に大汗をかいて到着したのは集合時間の一時間前。すでに別のヲタク(たわわちゃん氏)が遠目に見えた。

 もともと、「ほかにもインタビュアーが複数いる」ということは承知していたので、ははあ、あのヲタクも一緒にやるんだなあ!と少し安心したのも事実だ。

 当選メールには「約20分インタビュー」とあり、みんなで一緒にやるなら持ち時間は5分くらいかな、一問何を聞こうかなあと非常にのんびりとしたかまえで、近くの喫茶ルノアールに暇つぶしを求めた。

 45分後くらいして、甘味とデカフェコーヒーに胃の中を占領され、見事に大リラックスヲタクと化した私は、再び会場に戻ってきた。建物の入り口には、今度は別のヲタク(S氏)がたたずんで…なんか呆然と…たたずんでるな…。

 S氏「ねえ、今やってきたんだけど!」

 ???もう終わったってことかそれは。じゃあ複数グループあるのね、と思ったのもつかの間、

 S氏「あのさ…1対1だったわ…」




????????????????????





 どうも我々は大きな誤解をしていたらしい。20分は全体の持ち時間ではなく「お前単体」だったようだ。






????????????????????????




 いやいやいやいやいやいやいやいやいや無理だって!!!!!普段の特典会30秒くらいですら全然しゃべれませんけど!!!!!!!確かに4問くらい適当には考えたけど推しを目の前に!!!!!!!!!!!1対1で20分は!!!!!!!!!!ありがたいけど拷問だよ!!!!!!!!!!!!!!!!!

 事前に本企画に当選していたことを打ち明けていた夫に慌てて「一人20分だこれ………」とメッセージを送ると、ほぼ秒で「は」という文字が返ってきた。夫、理解がある。

 生気の抜けたS氏と別れ、急に自己主張が激しくなった心臓に気づかない振りをしながらエレベーターで会場のある階まで登っていった。

 むろん、まだ開始時間まで早いので、控室に通される。1時間前に見たヲタクがすでに「胃が痛い」みたいな苦笑を浮かべていた。

 流れとしては、最初に今回発売されるアルバム「サバイバル・レディ」を約30分で試聴。その後推しとスタッフさんの準備ができたらインタビューである。試聴の時点でまだ聴いていない曲があったため、結構テンアゲできたのはよかったかもしれない。

 具体的にどれくらいテンアゲだったかというのを、会場の近くにあったファミマ!で買ったRollbahnにしたためてあるので、文字起こししてみたい。なお、丸かっこ内は一部を除き後付けの注釈だが、それ以外はメモに忠実である。とりとめのないメモをそのまま起こしたので、流れとかはない、読みづらい。ゆるして。

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 Best Honey → Last Cinderellaの流れはアンサーソング感が強い、無邪気な奔放女子と振り回される男感がある。その後のみんな迷子→彼氏ができたのはギルティでは…?

 何が言いたいかというとアルバムは本当に一つのストーリーで、「アルバムの中でどうきこえるか」というのをしきりに推しが言うのは大事な観点だからこそ、このアルバム一つで受け取れるストーリーはいくらでもあるんだが、ことアイドル文化の「エモ」とか「ストーリー性」を重視する向き、卒論で推しがしたためたような「物語として」の寺嶋由芙の親和性の高さ

 はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー寺嶋はホントアイドルするために生まれてきたんやな

 何きこ(インタビューのこと) ムリやん(インタビューのこと)

 1:1はムリやて(インタビューのこと) それはええねんけど

 最後に仮縫いのドレスなの未だに寺嶋はこのアイドルライフが仮縫いの段階であると思てんかなって

 いかにもNHKのアニメのEDっぽさあるけどこのアイドル生活の幾年が帰る場所じゃないっていう、そういう歌詞が寺嶋に向けて書かれてそれが最後にあって、「つづく」とか出てきそうだなって

 多分あたらしいわたしとあわせて聴くとエモの大渋滞になる気がする、これが1枚にあんか、はーーーーーーーーー?

(ここで私のもう一人の推しでもあるレーベルスタッフのsさんが登場し雑に絡まれる)

 恋の大三角関係→冬みたい、夏なのに。ってなると男の方がすげーやな奴じゃない?友達でも恋人でもないのにキスしたん?相手の好意わかっててやってるよね?

 うわっ    ウゼェ    クズやん

 だから君も好きだったんだね、夏があるのか…立場逆転なのか…いやこれヲタクの妄想だけども…これがこれで私の受け取ったストーリーというか、私まじで字義どおりにしか受け取れんのよ、逆に言うと2017年三部作sさんキッズだから(???)

 やりようはあんのよ冬みたい、夏なのに。も実は男がじらしまくってじらしすぎて自滅した結果が君も好きだったんだね、夏ってそういうんもアリだし、(筆者が)百合豚なんで別の目で見ることも可、書こか? 書くなキモヲタ

 サバイバル・レディが流れる、イントロが良すぎるんだよベストテンで流せ あの画質で踊ってくれ ぜってーカラオケができる世の中になったら職場の飲み会で歌う 嘘、歌わん

 その後に恋の大三角関係が来るの時代がバグるな、前2曲がまあまあオールドな感じだから突然90年代アニソンみたいなん

 そうかこのアルバムは1枚でタイムマシーン…※全部2010年代後半~2020年代の曲です

 冬みたい、夏なのに。もオールドな感じなので恋の大三角関係がかなり差し色っぽい

 (突如冬みたい、夏なのに。の話題になる)60~70年代サマーメロディーなのに歌詞が肌寒い…夜しか会えないってなんなん?アダルトなん?ネトゲ?お前(筆者)その偏った思考なんなん?

 この流れで聴くと君も好きだったんだね、夏かなり古き良く聴こえる、ん?これほんまに2020年代のアルバムか?はーすげ

 トロピタイナ異質!!!急に国が変わった

 日本じゃねえ 日本じゃねえのか

 すげーなタイムトラベルだけでなくトラベルしたわ 脳がトラブル

 でもこれ思ったけど曲順変わったらどう聴こえんだろみたいなんあるよね、この曲順だからこそ胸焼けしないみたいなのは考えられてると思う。

 うわーっBest Honey急に 急に 何? 国じゃねえ サイバー空間だ 青っぽいネオンだ Perfumeっぽいんだな

 この間のつんく♂さんの対談とかでもあったけど一歩道を外すみたいな、そういう曲があって、でも確かに全部寺嶋だと思う

 すげー 飽きねえな ウケる 幅ウケる

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 ひでえメモである。ちなみに曲が行ったり来たりしているように見えるが、先に控えていたヲタクの試聴の音漏れにあずかっていたため、実質私は2周試聴していたのでこんなことになっている。

 ちなみにこの試聴の時点で緊張が本当にやばくなってきており、確かその日はワンピースを着用していたはずだが(記憶がない)、脇汗で色がじりじりまずいことになっていた。


 インタビューはご覧のありさまである。一応メモとったのだが、いつもの仕事モードの私ならもう少しまともに話を広げているはずだが、言い訳もできないくらい「推しと1対1」という事実にブチのめされており、ついでにほぼ密室で推しのスタッフsさんと別のスタッフさんが見つめており、緊張どころの騒ぎでなく思考が停止していた。

 後でほかのインタビュアーの記事を見ているとマジでなんでみんなあんな話せるんだと思った。無理だよ…よくみんなできるね、無理だよ…推しめっちゃしゃべらせてごめん…。

 完全敗北で20分が終わった。何も私いいところなかったな、さいなら…

 遠吠えとともに私は会場を後にした。雨でも降ったのかというくらい脇が変色していた。


 というわけで、落選の各位に申し訳ないインタビューが出来上がった。すまん、みんな。こういう脳トロが当選してマジですまん。推しに感謝しかねえ。

 ただ、サシで好きな女と20分もしゃべくるのはなかなか面白体験であった。感想にも書いたが、1も投げられぬヲタクに500くらい返してくれる推しの聡明さには改めて感服するところである。一生ついていこうと思った。


 と同時に、ヲタクとしても自らの身の振り方を考えさせられる機会となった。隙あらば自分語り奴で申し訳ないのだが、自分の職業選択について、すでに社会人を幾年も経った今かなり悩んでいたところだった。専門性が求められる職業で、中途半端な学びのまま飛び込んでしまったことに少し後悔していた。

 就職する前には家族にすら首を傾げられる職業だった。同期たちと「いつ辞めようね」なんて冗談めかして言いあうことも少し前まであった。でも、はたから見たら普通の社会人で、だからこそ推しのある一言に、思わず「ないですね」だけでしか返せなかった部分がある。その「ないですね」は文字だけでみるとなめらかだが、痛みのあまりつっかえながら発していたと思う。

 自分の職業は必要なもの、分かっていながらどことなく真剣に向き合えないでいる自分がいた。しかし、目の前の推しは、推し自らの職業に非常に誇りを持っていて、いやでもその差を見せつけられているような気もした。ああまぶしいんだよ。自分が嫌になる。帰り道、それに気づいてもっと嫌になった。

 私も推しみたいに、生きられたらなあ。インタビュー後の真の感想は、この一文に尽きる。


 歌って踊る推しをみて好きになったけれど、推しの言葉は推しをより好きにさせてくれた。ライブに行けば歌も踊りもMCも全部堪能できて大変お得なので、もし寺嶋由芙を知らないあなたに、私のこの駄文にクスリとしていただけたら、リリースイベントでも無料の配信イベントでもいいし、できることなら7月10日の生誕ライブをぜひチェックしていただきたいと思う。

 あと寺嶋由芙はサブスクで結構な曲数が聴けるのでお試しに飛び込んでほしいし、少しでもお気に入りができたならぜひ物理的に円盤を手に入れてほしい。インターネットの時代はつまみ食いから沼に浸かれて便利だぞ。


 何が言いたいのかわからなくなってきたのでこの辺で…。

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