ドラマワーク勉強会 その1
2月から各月に中目黒でドラマワーク勉強会をすることになりました。
昨年まではソシオドラマを体験する時間を定期的に持っていました。
ソシオドラマとは、参加者どうしが今の個人的な課題や関心のある社会問題を出しあい、それをもとに共通の普遍的な課題を出し、その設定にあった架空の主人公の生活やストーリを考え、ドラマとしてシーンをやってみるという手法です。
頭で理解していたことを実際に身体を使ってやり取りをすると、体感を通して思ってもみない方向でものごとの理解が深まることを皆で何度も体験しました。
それまでは、大学や高校の授業で、社会で起きている問題を自分たちから変えるきっかけを考えるドラマワークとして行ってきたのですが、こういったことに興味、関心がある人たちと共に、ソシオドラマだけではなくさまざまな手法を統合してアプローチしてみようと考えました。
第1回目のドラマワークの参加者は6名でした。お互い、よく知っている人、なんとなく知っている人、初対面の人とさまざまです。
最初に最近の近況を話してもらい、次にこのグループで扱いたいホットトピックがある人は出してもらいました。
その中から出てきた共有トピックとしては
・ものごとの潮目が変わる時とは
・力関係が変わるってどういうこと?
・いじめ、差別する側の心理は何が働いているんだろう?
という3つになりました。
そこで、ある設定での学校で起こった架空の生徒、先生の中で起こったいじめ問題をドラマで展開しました。
ある生徒が、担任の先生をいじめることにより、その雰囲気が全体に蔓延し、先生が教室から出ていく、その後。というものです。
共有トピックのいじめる側の心理は何が働いているのか、を体験してもらうために、私がいじめられる先生役になり、それぞれ、いじめる側、いじめ行動をけしかける者、やじる者、小さな声で止めに入る者、いじめを傍観する者、などさまざまな役を皆で設定し、そこから希望の役を選んでもらい、合計3シーンやってみました。
シーン1 いじめが起こる前
シーン2 いじめが始まった時
シーン3 先生を追い出してから、クラス全体の潮目が変わる兆し
すべて、5分以内に終わる短いシーンでとめ、それぞれが今心で感じていることを共有するなどの時間も持ちました。
いじめられる先生役のわたしとしては、ドラマをやる前は、直接いじめてくる人だけに注目していたのですが、実際にシーンをすすめながら体験した時には
そうなるようにけしかけていく役、何もせずにヤジを飛ばすだけの役、傍観者たちの言動に敏感になりました。
小さな声で何度も止めに入る人の声が最初は大きな高揚感にかき消されているのですが、シーン3ではやがて、あることをきっかけにあちこちからヒビが入り始めるところが出てきました。
わたしは役の中でいじめる当事者ではなく、その周りのエネルギーがどう動いているのかを見ながら、だめだと絶望したり、少し希望を持ったりしていました。
誰もが、自分とは異なるものが近くにいることを排除したい気持ちや、安心なところに身を置きたい、自分を正当化したいという気持ちがあると思います。
今回のドラマには、それ以外に、自分ではどうにもできない日頃の不満、取り戻したい関係を他者を使って解消することなども絡んできました。
架空とはいえ、経験や想像力を総動員させてリアルなやりとりが展開し、そして場面はある沸点を迎えました。
ドラマを終えて役から降りるためにも、こういったことが起こる前にファシリテーターならどんなことができるだろうかというアイデアも出しあってみました。
最後に役をやった感想、場をどうみていたかなどを共有し、3時間のワークショップは終わりました。
今回は参加した人が共通して「いじめ」をキーワードにしていたことも興味深いことでした。
他者に違和感を持った時、非難する方法ではなく、違う対処法を体感しておくことも必要かもしれないなと思っています。