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#13 古民家暗中模索中 浸水編その1

DAY26 6月2日 大雨が降る


6月2日に大雨が降る
とテレビの天気予報で言ってたのも知っている。
1日からひどい頭痛が久しぶりに続いていて、
これは相当気圧がよくないのだなと思っていた。
線状降水帯が発生している
というのも聞いた。
けれども、けれども、こんなに降るとは思わなかった…。


この家は建てて70年。
この近くの川はよく氾濫していた。
最近このあたりの家はみんな土地を高くして建てられている。
なのでこの家はどこよりも低くなり、よく浸水していた。
わたしの学生時代はこの家に関心はなかったので、よく母が
水ついた!ついた!(浸水したという意味)
と言って祖母と片付けに行っていたことをうっすら覚えている。

しかしそれも数年前の護岸工事でだいぶんなくなったらしい。
事実この20年、ちょっとずつ私が管理し始めてから、深刻な浸水はなかった。

ところが、それは突然季節外れの台風と共にやってきた。
とにかくすごい量の雨が降った。
テレビでこんなに和歌山、海南市の名前が連呼されることをあまり聞いたことがなかった。
曽祖父の家のお向かいさんに電話すると、周辺のみなさんは一番高いお向かいさんに避難しているという。
周辺の道路は通行止め。膝下まで来ている。
80年近く住んでいるが、こんなにひどいのははじめてだ。
と言われ、うちが浸水していることは決定した。

夕方から大阪へ向かう電車は明日もすべて運休予定のニュース。

3日土曜日は新今宮でフレル朗読劇の日だったので
まだはっきりはしないが、メンバーに現状の連絡を入れてすさまじい雨音と共に眠った。

DAY27 6月3日 乾かす、整理する、捨てる


早朝
阪和線は日根野駅まで運休。
南海線はなんとか動いている模様。

曽祖父の家の近くに住んでいる人が早くも周辺の様子をFacebookであげていて
川のようになった道路や、水没した線路を見て、ああ、これは大変なことになっていると実感。
海南市も相当ひどい様子。知人が周辺に多くいるのだが停電している家もあるので控える。
それよりもまず、今日の予定だ。
次々と欠席のお知らせが来たので、相談の上、お休みすることにした。

それならばとさっそく昼に竹由庵の様子を見にいくことにした。
道路はもう水が引いたようだが、あちこち崩れが起きているようだ。
母も気になるというので、連れていくことにした。

早いお昼を食べて、出発した。
道路はなんなく行けた。
しかしあちこち浸水した線が目立つ。

着くと、門には1間(180センチ✖︎90センチ)のベニヤ板2枚、2メートル✖︎30センチの木の板がつながった足場のようなもの、給水場の蓋、瓦礫、どこかのお醤油の器などいろんなものが流れ着いている。
鍵を開けると、水はもうひいていたが、土間にうっすらと泥のあとと、へっついさんの周りに置いてあった薪が全てびしょ濡れである。
とにかく濡れたものを外に出し、乾かすことにした。

思ったほどひどくはないけど、すべてびっしょり濡れている


とにかくあらゆるものを出して、ひろげて、乾かす
のくりかえし
土間も全体的にうっすらと泥をかぶっている様子

5月に買ったばかりの七輪は水を吸って触ればボロボロと崩れていく。

触ったところから崩れていく七輪

そして、納屋に置いてあった絵は全てが浸かってしまった。
この納屋は奥に行くほど下がっているので、大事なものとして奥に入れたものほど、多く浸かることに。

母、あーあ、の図

額はほぼ全滅。捨てるのに迷っていたけど、これを機にほぼ捨てることにする。
しかしこれだけのものを捨てるのに私の車で何往復しないといけないのか…。
と途方に暮れていると母が市に電話して取りに来てもらえないか聞けという
今日は土曜だし、お昼も過ぎてるし、だめだよ…
と言っても一度電話してみなさい、こんな時に役所が休んでたらダメなんだからと何度も言う
ダメ元で電話したら、なんとつながった!
土曜の3時過ぎだ。
事情を説明すると、順番になるべく引き取るので、何を捨てたいか、その分量、場所などを詳しく話してくれと言われ、とにかく今水に浸かって捨てたいものを全て言った。
Googleマップで場所の確認をしてもらい、月曜日にいきますが、何時とは言えない。火曜になるかもと言われる。
ここに住んでいないので、なんとか時間の予定だけでもわかったら教えてほしいとお願いするが、現場によるのでわからないとのこと。
まあ、引き取りに来てくれるだけでもありがたいことだ。とにかくお願いした。
いつきてもいいように月曜日に朝から待ってますね。と約束して電話を切った。
夕方くらいに向かいのおじさん夫婦が「手伝うよ」と来てくれる。
市に電話して月曜に引き取ってくれる話をすると、ならば、その場所まで運べるだけ運ぼう!と畑まで行って一輪車を持ってきてくれて10回以上往復してくれた。
100メートルほどの距離だけど、とにかく重さも大きさもまちまちのものが大量にあるので、それがなければもっと時間がかかっていたと思われる。おじさんは膝に人工関節が入っていてびっこをひきながら何度も何度も往復してくれた。
本当にありがたかった。
昨夜はとにかく恐ろしかった。こんな雨はここで暮らしてから初めてだった。
とひとしきりその夜の恐怖を話してくれた。

土間は一度水を撒いてデッキブラシをかけてみた。すると数時間後にはもう乾いていた。

綺麗さっぱり乾きました!
さすが土間!!


とにかく今日やれることはぜんぶやりきって終わったのは18時。
軽く軽トラ1台分はありそうなゴミたち。
でもまだまで捨てるものはある。

母も私もくたくただった。
明日はちょっとだけやろうと決めた。

祖母の描いた桜の絵は無事だった!
この絵は大好き