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超リアル!本格派Lo-Fiエフェクト3選
毎度どうもでございます、お腹痛い系DTMerの原井です。
今回は・・・・・・ちょっとエクストリームなLo-Fiテクニックのお話です。
とまあ、こんな記事見るスケベな方々はきっと前書きが長くても見ないと思うのでさっさと本題へ。
Lo-Fiの犠牲になるのはこのゴミみたいな音源です。ゴミみたいですね!
おすすめの環境
かなり変な処理をする部分がありますので、Meldaのフリープラグインで再現できますが、より操作が柔軟な、この世の変態DAWであるREAPERを使用して処理することをお勧めします。このページでもREAPERを使用して解説しています。
AMラジオ
使うもの
Ozone 9 EQなど ( Brickwall Filter / Imager / Limiter が使えればよい)
直流が出るシンセ Vital/Serumなど
リングモジュレータ
(M Ring Modulator)
ReaJS: White Noise Generator
Comp
Trash2などの任意の歪みを描けるもの
HOW TO
ホンモノのAMラジオのサウンドを再現します。
帯域制限とリミッティングを行い、実際にAM変調して、ノイズを添加、整流して包絡線検波、フィルタリング、というように、AMラジオの送受信のシミュレーションをREAPER内で行ってしまいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1653367447879-yLDSNFagYz.png)
まずは送信側の設定。
Ozone 9 がいっぱい仕込まれていますね。
(いつぞやの無償配布のやつしか持ってないのがバレる)
はじめにOzone 9 で音源の帯域制限をしたり、送受信時のフィルタリングでBrickwallが大活躍なのでいっぱい使っていきましょう。モノラル化やリミッティングもこいつに任せるとします。今回は6000Hzの帯域幅のラジオを想定するので、6000HzにBrickwallローパスを仕込んでいきます。
そこからモノラル化してリミッティングします。
![](https://assets.st-note.com/img/1650356238756-8pASosW2M6.png?width=1200)
⑦Brickwall LPF 6000Hz
![](https://assets.st-note.com/img/1650358016649-WhKbJDIIRw.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1650358043990-1698h6QXVW.png?width=1200)
続いてSERUMがいます。Vitalでもいいです。こいつは直流を出力するためにいます。
直下にいるAmplitude Modulatorの変調率を調整するためにいます。
ここで直流を出して、波形が折り返されて歪むのを避けます。
直流を出すとき、SERUMまたはVitalのAttackとReleaseは完全に0にしてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1650358791244-cm1aycBWrD.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1650358346388-lGyjr0GTrl.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1650359393227-1J1p8T5Usv.png?width=1200)
こうすることで、波形が負の値にならないので、AM変調されるサイン波が反転せず、包絡線検波が可能になります。このとき信号が負の値に突っ込むと、検波時に波形が折り返し、変な偶数倍音が出ます。過変調っていう現象です。
![](https://assets.st-note.com/img/1650419499658-M3az1MRuc0.png?width=1200)
さて、いよいよこれからAM変調です。
REAPERについてるREAJSにあるAmplitude Modulatorで変調していきます。
入ってきた信号で、設定した周波数のサイン波(搬送波)を変調して出力します。
この時、一つ注意点ですが、搬送波は帯域幅以上の周波数で、かつ搬送波周波数+帯域幅の周波数が、DAWのサンプルレートの半分を超えないようにしてください。
今回はサンプルレート48000Hzでの処理、帯域幅6000Hz、搬送波12000Hzなので
12000+6000=18000 (Hz)
と、24000Hzを超えてないのでセーフ。
これは、標本化定理に基づいて、この周波数を超えると折り返し雑音が発生するのでAMラジオのシミュレーションに失敗します。
![](https://assets.st-note.com/img/1653368029040-04xase9fbT.png?width=1200)
変調すると、12000Hzを中心に、6000~18000Hzの帯域に、元のスペクトルが鏡写しになって出現します。
![](https://assets.st-note.com/img/1650421683765-GtaTiFZLTe.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1650421591987-qI2k9q0u22.png?width=1200)
鏡写しにスペクトルがでてくる
実際のAMラジオはこれをさらに高い周波数で搬送波を生成し、電磁波として空中に放ちます。シミュレーションでは12000Hzで、電波を出したつもりで音波のままの処理ですが、NHK東京第一放送は594000Hzでこういうことして、電波を出しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1650430036698-3OFujTXPCw.png?width=1200)
直流出力から変調までは、MRing Modulatorで代替可能ですが、直流の制御をMIDIでできるので、ワイは無理矢理やってます。また、直流の代わりにTrash2で上半分で振動するように制御してもいいです。(こっちのほうが楽かも??)
この作業が終わったら、念のため余計な帯域をなるべくなくすため、6000HzにBrickwall HPF、18000HzにBrickwall LPFを仕込みます。
![](https://assets.st-note.com/img/1650422035898-pVCIEBJQWH.png?width=1200)
つづいて、実際に電波として飛ばした場合、「通信路」ではノイズが混入します。そこで、ReaJSにある White Noise Generatorで適宜ノイズを加えてください。あと、ノイズが止まってくれないのでオートメーションでつけたり消したりします。
![](https://assets.st-note.com/img/1650422731878-imd3boWj0E.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1650422905816-Uzxwiqja9E.png?width=1200)
いよいよ受信側です。
EQで帯域を抜き出します。
![](https://assets.st-note.com/img/1653368255056-6dbQgThm0i.png?width=1200)
そして、早速登場するのは謎のコンプレッサーです。アタックが0、リリースがちょっと長い、そしてがっつり低いスレッショルドにかなりぶち上げたメイクアップ。なんだこれと思うかもしれません。
![](https://assets.st-note.com/img/1650423331202-U62vITSALj.png)
これは、実際の市販のラジオに必ず搭載されているであろう自動利得制御(AGC)を再現しています。これによって、信号の強弱にかかわらず音量が安定します。信号が小さいとノイズがでかくなります。
これを通したら、回路内の歪み再現の為、任意で信号を歪ませましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1650423936478-sG52B4Aex8.png)
そして、いよいよ検波です。
検波はTrash2で半導体ダイオードの電流-電圧特性をそのまま描くと、まさにリアルな歪みを伴って再現されます。入ってくる信号波形はほぼ正の側だけなので、降伏電圧は無視してもいいかもです。
![](https://assets.st-note.com/img/1650424230349-UYbXgUBSfQ.png)
このあと、包絡線とはハイカットのことなので、愚直にローパスをかけていきます。帯域幅が6000Hzなので、6000HzでBrickwall LPFをすれば、包絡線が拾えます。そして、適宜ローカットで直流成分を取り除いて、復元。
![](https://assets.st-note.com/img/1650431098116-PFL1RCRH5o.png?width=1200)
弱くマキシマイズして完成です!
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![](https://assets.st-note.com/img/1650434095034-LLWiITSbhV.jpg?width=1200)
トランシーバー (SSB)
よくあるトランシーバーのサウンドをリアルにしようと思います。伝送方式はアマチュア無線のように周波数変調(FM)による通信方式を使用するものもありますが、FM方式はかなり再現が難しいので、SSB方式なるものを使用します。
SSB方式は、航空無線(LSB)や、ロシア陸軍の乱数放送と考えられているラジオ「The Buzzer」(USB)に用いられている方式です。
使うもの
Ozone 9 EQなど ( Brickwall Filter / Imager / Limiter が使えればよい)
リングモジュレータ
ReaJS: White Noise Generator
Comp
Trash2などの任意の歪みを描けるもの
HOW TO
![](https://assets.st-note.com/img/1653369830555-4EvfQ3VroS.png)
まずは帯域制限ですが、狭めの3000Hzにします。
そして、ローカットはそこそこきつめにしておきます。
画像では150Hz 12dB/octのローカットです。
![](https://assets.st-note.com/img/1650531656546-8wYSvf6qQR.png?width=1200)
音声はモノラルにしておきます。
音量を安定させるためにマキシマイザーを通してもよいでしょう。
SSB変調は、AM変調のスペクトルの片側だけを使用する方式です。
なので、いったんAM変調します。が、今回は包絡線を取るわけではないので、波形に直流を追加したりして、波が負の部分に入ることを避ける必要はありません。
今回も12000Hzで変調します。
![](https://assets.st-note.com/img/1653369706637-3CzIxSZTpd.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1653370166586-MTZC3Kh7DF.png?width=1200)
帯域幅が狭いので、出てくる帯状の部位も細めとなります。
また、ローカットされたことにより、中央部分が暗くなっています。
SSB方式では、このスペクトルから、上半分をカットしたり、下半分をカットして、さらに帯域を節約します。
今回は航空無線と同じように、上半分を除去して下半分を取りだします。
送信波が12000Hz、帯域幅3000Hzなので、12000Hzから9000Hzの間を抜き出せばいいのですが、若干の余裕を持たせて、ハイカットを若干下げて、幅を狭めておきます。
音声の低域信号が、周波数の高い側に分布しているので、11950Hzにハイカットを設定すると、信号の低域50Hzまでがカットされるような状態と考えられます。
![](https://assets.st-note.com/img/1653370665789-P8v3ly6B6f.png?width=1200)
ノイズをのせたら送信側は準備完了です。
![](https://assets.st-note.com/img/1653370559107-v6nKe8o0ts.png?width=1200)
いよいよ受信側です。
EQで帯域を抜き出します。
![](https://assets.st-note.com/img/1653371550791-K4pgUMDUyW.png?width=1200)
AGCも使います。
この時、ラジオと異なり搬送波がずっと出ていないので、音声がないときにはノイズが大きく聞こえるようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1653371580296-34qs0mMN3p.png)
復調にもAM変調を使用します。
周波数を正確に合わせられればいいのですが、実際の機器では難しい場合があり、これを再現するために20~30Hzくらいの間で適当にずらすのがミソです。
![](https://assets.st-note.com/img/1653371718338-Ra331Yw3py.png?width=1200)
すると、下側と上側にスペクトルが鏡写しで出現するので、フィルタで上側をカットします。
![](https://assets.st-note.com/img/1653371816957-P4GSuXX8zh.png?width=1200)
LSB方式の場合も、変調によって上下反転したスペクトルは0Hzを境目に再度反転するので、元通りの形として出てきます。
そして、フィルタリングをします。
![](https://assets.st-note.com/img/1653438634651-MyZQMn9S0i.png?width=1200)
つづいて、再生するトランシーバーのスピーカーの音質は、かなり癖のあるものとして、どこか1か所を極端にブーストさせて・・・
![](https://assets.st-note.com/img/1653439095242-mOWeP6rbeV.png?width=1200)
仕上げは割ります。
![](https://assets.st-note.com/img/1653439200743-dQNUvelWHj.png?width=1200)
ポストフィルタにハイパスをセットし、スピーカーのサイズに見合うようなローカットをして完成です。
![](https://assets.st-note.com/img/1653439381694-G2P7694GZn.png?width=1200)
携帯電話
これに関しては、プラグインだけで完結できませんのでご注意ください。
何も、携帯電話の音声の圧縮は、アメリカのQualcomm社が開発したQCELPという独自の圧縮技術が採用されていた時期もあって、この技術を拝借しようと思います。
使うもの
EQなど(Brickwallがつかえればよい)
PureVoice
QCELP方式を用いて音源を圧縮できるQualcommが開発したソフト「PureVoice」を使用します。
HOW TO
マイクの音質再現EQ→帯域制限→圧縮
という手順を踏みます。
マイクの音質再現は、画像ではこだわってますが、4000Hz手前の細いブーストと、700Hz近傍でのハイカットがあるとそれっぽいサウンドにはなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1653445534942-WDp7hAMYaQ.png?width=1200)
続いて4000Hzでブリックウォールし、下拵えは完了です。
![](https://assets.st-note.com/img/1653445879221-d4sY4yW2jh.png?width=1200)
ここからいよいよPureVoiceの出番です。
![](https://assets.st-note.com/img/1653445944180-Gj9X39TF76.png)
ウィンドウはかなり小さめです。
音声をいったんDAWから出力したのち、File→Openでファイルを開きます。
ファイルの種類はwavを選択して、出力したものを読み込みます。
![](https://assets.st-note.com/img/1653446084610-iR8abSjXYg.png?width=1200)
続いてFileタブからConvertで変換すると、ファイルがQCELPで圧縮され、Qualcomm独自のQCPファイル(Qualcomm Purevoice)に変換されます。
![](https://assets.st-note.com/img/1653446284670-9mb48nIwpZ.png)
そして、もう一度Convertすると、その音質のままwavに戻るので(サンプルレートが8000Hzになる)、これをSave As…で保存して完成です。
こんな風に電話の音とか入れておくとそれっぽいかも?
あとがき
いかがでしょうか?
ぜひこれらのテクニックで、音質劣化のサウンドメイクをよりリアルにして、趣ある特殊なサウンドメイクをマスターしてみましょう。
これに関するご質問などはDTM・音楽活動総合Discordコミュニティ 音楽熱狂軍団 で答えようと思います。ただし、参加する時にはコミュニティの方針に従い、ルールを守ってご利用ください。コミュニティの方針にそぐわない方、ルールを守れない方の参加は固くお断りします。
ワイにうまい棒を恵んでくれると飛んで喜びます。